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お月見

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旧暦の八月十五日の今日は「十五夜」です。
日本では古来より、「お月見」と言って、
団子や薄(すすき)を供えて、月を愛でる風習が
あります。
 
 

「お月見」

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陰暦8月15日に当たる
「中秋」(ちゅうしゅう)の夜の満月は、
古来、仰がれ続けている名月です。
 
「暦」の日が定められたように、
「月」は古来より、日本人の暮らしにとって
かけがえのないものでした。
 
特にこの頃の月は大変美しいことから
十五夜」と呼んで月を愛で、
月の見えるところに
「薄」(すすき)を飾り、「月見団子」や
この季節に採れる里芋や栗などを供えて、
恵みに感謝する収穫祭を行ってきました。
 
なお令和5(2023)年の「十五夜」は、
9月29日(金)です。
晴れていれば、今年、最も美しい月を
見ることが出来ます!
東の空に輝き始める19時から、
南東の空へと昇っていく21時頃が
「お月見」におススメです。
 

「お月見」の由来

 
「お月見」は、Chinaの「中秋節」に由来する
習慣と言われています。
丸い満月はChinaでは「団欒の象徴」と考えられ、
この日は家族や親しい友人を招き、
月を愛でながら食卓を囲んで団欒を楽しみます。
また満月を象った「月餅」(げっペい)を食べたり、
提灯やランタンに火を灯したりする風習が
あります。
 
ただ「月」は、
人々の生活に密接な存在であることから、
日本でも「十五夜」ではありませんが、
縄文時代には、月を神聖視し、月を愛でる
風習があったと言われています。
 
平安時代の貞観年間(859~877年)頃に
Chinaから「お月見」の習慣が伝わると、
旧暦8月15日の満月を「中秋の名月」と呼び、
月を見ながら酒を酌み交わし、
船の上で詩歌や管弦に親しむ
風流な「月見の宴」をする習慣が
貴族達の間で広まりました。
貴族達は空を見上げて月を眺めるのではなく、
水面や盃の酒に映った月を愛でました。
 
室町時代には、
その「お月見」も簡素なものへと変化し、
「月」を拝んでお供え物をするという形に
変わってきました。
 
庶民も広く「十五夜」を楽しむようになったのは、
江戸時代に入ってからだと言われます。
十五夜」の頃は稲が育ち、
間もなく収穫が始まる時期であることから、
無事に収穫出来る喜びを分かち合い感謝する、
「収穫祭」とか「初穂祭」といった
意味合いが大きかったようです。
 
現在のように、祭壇を作って、
「月見団子」や「薄」(すすき)
用意するようになったのは、
江戸後期になってからということなので、
そういった意味では、
「お月見」は割と新しい歴史だと言えそうです。
 

「三月見」
(「十五夜」「十三夜」「十日夜」)

「お月見」と言えば「十五夜」が一般的ですが、
旧暦8月の「十五夜」以外にも
「お月見」を楽しめるとされる日があります。
旧暦  9月の「十三夜」(じゅうさんや)
旧暦10月の「十日夜」(とおかんや)です。
これらに「十五夜」を合わせて
「三月見」(さんつきみ)と呼ばれています。
 
季節柄、「十五夜」は雨の日が多いことから、
「月」が見えないこともありますが、
そんな時は、「十三夜」や「十日夜」に
「お月見」を楽しむことも出来ます。
 
「十三夜」は日本で生まれた
日本独自の「お月見」の習わしで、
「月見団子」は「十三夜」にお供えしたのが
始まりと言われています。
 
「中秋の名月」である「十五夜」を眺めたら、
約1カ月後に巡ってくる「十三夜」の月見も
楽しむことが風流なこととされました。
この二つを合わせて「二夜の月」(ふたよのつき)と言います。
十五夜」は比較的曇りとなりやすく、
見えにくいことが多いと言われているのですが、
「十三夜」は晴れることが多く、
「十三夜に曇りなし」と言われました。
そして「十三夜」を見逃すことは、
「片月見」(かたみつき)として忌み嫌われ、
不吉と言われました。
 
「三月見」の全ての日の夜が晴れて、
月を見ることが出来れば、
とても縁起の良いことだと言われています。
 

月待ち(つきまち)

昔は、名月や満月に限らず、
仲間が集まり、飲食をともにしながら
月が出るのを待って、
お経などを唱えて月を拝み、悪霊を追い払う
「月待ち」をしました。
「月待信仰」や「月待ち講」ということも
あります。
江戸中期から後期にかけて多く行われました。
「十三夜」「十五夜」「十七夜」「十九夜」
「二十三夜」「二十六夜」などに行われ、
特に「二十六夜」(にじゅうろくやまち)には、
阿弥陀仏・観音菩薩・勢至菩薩の
三尊仏の姿が現れると言われたことから、
願い事を託したそうです。
 

「お月見」のお供え物

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「お月見」は、この季節に採れる
里芋や栗、大豆などの恵みに感謝する
「収穫祭」でもあります。
 
旧暦8月15日の「十五夜」は芋類の収穫を
祝うため、別名「芋名月」と言います。
旧暦9月13日の「十三夜」は栗や豆の収穫を
祝うため、別名「栗名月」とか「豆名月」とも
言います。
旧暦10月10日の「十日夜」(とおかんや)
田の神様に感謝をする「お月見」です。
 
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月見台
お供え物は「月見台」を用意して飾りましょう。
即席の「月見台」で大丈夫。
月を眺められる場所があれば、それが我が家の月見台です。そこにお供えものを飾って、お月見を楽しみましょう。
庭やベランダに(ガーデン)テーブルを置いたり、
縁側にちゃぶ台を出したり、
窓辺にテーブルを置いたり、
出窓の張り出し部分を利用してもOKです。
そこに、月見団子やススキなどの
お供え物を飾れば「月見台」の完成です。
 
「月見台」の上には、
「薄」(すすき)の穂を秋の七草とともに
月の出の方角に正面を向けて供えます。
月から見て上座に当たる左に「収穫物」、
右には「月見団子」を三方に奉書紙を敷いた上に載せて置きます。
 

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月見団子

月に見立てたお団子をお供えすることで、
月に収穫の感謝を表します。
「月見団子」は穀物の収穫に感謝し、
米を粉にして丸めて作ったことが始まりと
言われます。
そしてその月に見立てた丸い団子をお供えし、
それを食べることによって健康と幸せを
得られると考えられていました。
十五夜」では15個、「十三夜」では13個を
ピラミッドのように積んでお供えします。
 
芒、薄(すすき)の穂

秋の七草の一つでもある「薄」(すすき)の穂は、
本来は、実りを象徴する「稲穂」を
お供えしたいのですが、稲刈り前なので、
「薄」を「稲穂」に見立てたものです。
「薄」の鋭い切り口が
「魔除け」になるとされているため、
悪霊や災いなどから収穫物を守り、
その秋の豊作を願う意味が込められています。
 
また「葛」など蔓のある植物を飾ると、
月の神様に通じるという意味もあるそうです。
 
秋の七草

「お月見」のお供え物と言えば
「薄」(すすき)ですが、
昔は他の「秋の七草」も一緒に飾っていました。
 
秋の七草」とは、秋を代表する7種類の花で、
具体的には、萩、桔梗、葛、藤袴、女郎花、
尾花(オバナ=ススキ)、撫子です。
春の七草」が「七草粥」にして
無病息災を祈るのに対し、
秋の七草」はその美しさを鑑賞して
楽しむものです。
 秋の恵みに感謝を捧げる月見の心は、
秋の野花への労りの心でもあります。
 

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農作物(里芋・栗・大豆)

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「お月見」は、豊作を祝う行事でもあります。
里芋、栗、枝豆など、収穫されたばかりの
農作物をお供えし、収穫に感謝します。
 
お供えものは、下げて食べることが大事です。
お供えものをいただくことで、
神様から力をいただき、結びつきも強くなると考えられているからです。
 
事前にきちんとお供え出来ない場合は、
夕食に里芋や薩摩芋料理、月見団子を用意し、
短時間でも、感謝の気持ちを込めて
お供えしてから食べるようにすれば
大丈夫です。
 
里芋

十五夜」は、9月頃に収穫される「里芋」を
お供えすることから
「芋名月」(いもめいげつ)とも呼ばれています。
主に東北の各地では秋の収穫を祝って、
里芋の入った鍋料理を頂く「芋煮会」が行われます。
 
芋類の収穫を祝う行事でもあるため、
里芋やさつま芋などもお供えすると
よいでしょう。
 

栗も里芋同様、縄文時代から栽培され、
食用として、また建築用の木材として
重宝されてきました。
そんな栗の収穫を祝い、
「十三夜」を「栗名月」と呼んで、
三方にお供えして飾ります。

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大豆

醤油や味噌、豆腐など、
大豆は日本の食には欠かせないものです。
そして昔から、「米」「麦」「粟」
「稗」(ひえ)(あるいは「黍」(きび))、
そして豆(大豆)は「五穀」と呼ばれる
大切な作物でした。
「十三夜」の月は「豆名月」とも言います。
 
お供えした食べ物
お供え物を「月見台」にお飾りしたら、
美しい月を眺めながら、
「月見酒」はいかがですか。
月やお供え物を眺めながら食事や晩酌をして、
デザートに「月見団子」をいただけば、
自前の「月見の宴」になりますね!
部屋の電気を消して、ろうそくなどで
明かりを灯せば、更に風情が出ます。
 
お供えした食べ物を食べて体に取り入れることにより、健康や幸せを得ることが出来ると考えられています。
 

月とウサギ

古くから「月ではウサギが餅を搗いている」と いう伝承があります。
 

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