うまずたゆまず

コツコツと

初観音(はつかんのん)

 
1月18日は観音さまを祀る寺の
初縁日の日です。
 
 

「初観音」(はつかんのん)とは

毎月18日は「観世音菩薩」の縁日です。
新年最初の縁日ということでこの日を
「初観音」(はつかんのん)と言い、
各所の観音に多くの参拝客が参詣し、
観音様を本尊とする寺では、
様々な行事が行なわれます。
 

観音講(かんのんこう)

大衆から「観音様」と親しみを込めて呼ばれる
この菩薩様は、広大無辺な慈悲の心をお持ちで、
その名を唱えるだけで救われると言われています。
そのため、古くより「観音講」(かんのんこう)という
観音様を信仰し、参詣するために組織された
信者同士の親睦共済団体が大いに発展しました。
 
 
特に京都の清水寺の「清水講」が最も知られ、
この講の信者達が毎月18日に集まって
酒食を共にしたことから、
観音様の縁日が18日になったと言われています。
 
 
中世以来、毎月18日の「観音講」は、
「女性の講」としての性格を有すようにも
なりました
近世の農村社会においては、
子授けや安産・子育てなどを祈願する
「子安観音」として全国的に信仰され、
組織された講は
「観音講」とか「子安講」と呼ばれ、
出産・子育ての情報交換の場であるとともに
娯楽の場でもあったようです。
 
 
近年は、元日(1月1日)の初詣に
観音様に参るのを「初観音」ということもあり、
元日にお参りすると
平日の百日分の功徳があるとされます。
(※) 元日は「初観音」とは言わないとする
  説もあります。
 

浅草観音の亡者送り

 
通称「浅草観音」と称される「浅草寺」では、
1月18日の「初観音」には、
「亡者送り」という
独特の悪魔封じの行事が行われます。
1月12日から18日まで、
温座秘法陀羅尼会おんざひほうだらにえ」が行われますが、
この法会が終わり結願となった夜、
境内の灯が一斉に消されると
松明をかざした鬼に扮した二人の僧が
物陰から出てきて、
これにより「亡者送り」となります。
鬼が持つ松明の燃えさしを拾って帰り、
戸口先に下げておくと
「疫病除け」「火除け」になると言われることから、
松明を持った鬼に子供や信者達が近づき、
追いながらこれを拾います。
 
 

京都・三十三間堂の「楊枝のお加持」

 
京都の「三十三間堂」では
「楊枝のお加持」(やなぎのおかじ)
(正式名称「楊枝浄水供結願ようじじょうすいくけちがん」)という
大法要が行われます。
後白河法皇ゆかりの1日だけの特別な法要で、
7日間祈願した法水を柳の枝で参詣者に注ぎ、
無病息災を祈ります。
 
 
三十三間堂」は、後白河上皇が
自分の離宮の敷地内に建てたものです。
上皇は長年ひどい頭痛に悩んでいました。
何とか頭痛を解消したいと、神仏に祈願して
いたところ、夢のお告げがありました。
 
その夢によれば、上皇の前世は「蓮華坊」と
いう僧侶でしたが、亡くなった後に、
その髑髏(頭蓋骨)が川底に沈み、
目穴から柳が生え、風が吹く度に柳が動き、
上皇の頭痛を起こしていたというのです。
 
 
川底から髑髏を引き上げて、
三十三間堂」の千手観音に納め、
柳の木を梁に使うと
上皇の頭痛は見事に治りました。
 
 
この言い伝えから、「三十三間堂」は
頭痛を治す御利益があるとされ、
毎年「楊枝のお加持」(やなぎのおかじ)
行われるようになったそうです。
 
 
またこの日、「三十三間堂」では
「大的大会」が行われます。
これは江戸時代の「通し矢」を由来とする
弓道の大会ですが、弓道を嗜む新成人が
晴れ着姿で弓を引く場面は、とても華やかで、
ニュースでも取り上げられています。