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寒鰤(かんぶり)

 

寒鰤(かんぶり)

 
鰤は、「養殖」ものは1年を通して
美味しく楽しむことが出来ますが、
「天然」の鰤の旬の季節は「冬」です。
11月〜2月にかけて、脂をたっぷり溜め込んで丸々と太った天然ものの「寒鰤」(かんぶり)
水揚げされ、高値が付きます。
 
鰤(ぶり)
 
(ぶり)はスズキ目アジ科ブリ属に分類される
回遊魚です。
光沢のある青緑の背と銀白色の腹が特徴で、
目から尾にかけて黄色い線が入っています。
 
成長度合いによって名前が変わる
「出世魚」(しゅっせうお)です。
地方によって、出世していく名前が違います。
 
 
関東では、小さいサイズから順に
「ワカシ」⇒「イナダ」⇒「ワラサ」⇒「鰤」、
関西では、
「ツバス」⇒「ハマチ」⇒「メジロ」⇒「鰤」の
順番で呼び方が変わっていきます。
 
成魚に向かうほど、
脂の乗りや旨味が増していくため、
約4年を掛けて全長が70㎝を超えた
「鰤」(ぶり)は旨味が強く、
脂がたっぷり乗っています。
 

「鰤起こし」(ぶりおこし)

「冬の雷」(ふゆのらい)
 
冬になる雷を「冬の雷」(ふゆのらい)と言います。更に「寒の内」になるものを
「寒雷」(かんらい)と言います。
 
雷は夏に多く、
俳句などでは夏の季語に定められ、
雷の原因となる「雷雲」や「入道雲」
(どちらも「積乱雲」)も夏の季語です。
 
 
冬にも、大陸の高気圧と寒冷前線通過に伴い、
大気が不安定になって雷が発生することが
あります。
日本海側、特に北陸地方に多く見られる
現象です。
 
なお「積乱雲」と言えば、
背が高くモクモクのイメージがありますが、
冬の日本海側で発生する「積乱雲」は、
さほど背は高くなく、夏のような激しさもなく、
一発で鳴って御終いということが多いようです。
ところがこの一発の雷のエネルギーは
夏の雷の100倍以上と非常に大きく、
落雷すると大きな被害をもたらします。
これは世界的に珍しい現象だそうです。
 
雪起こし
「冬の雷」(ふゆのらい)との音は、
重々しく不気味で、
何かの前兆にも聞こえるとして、
雪国の人々は、これを雪の前兆とみて、
「雪起こし」と呼びます。
空が急に暗くなったかと思うと、
突如雷が激しく響き、
その後、季節風が強く吹き、雪が降るのです。
 
鰤起こし(ぶりおこし)
 
冬の訪れとともに、日本海の北で
栄養をたっぷり蓄え込んだ寒鰤は、
産卵のために温かい場所を求めて
南下する途中、
ちょうど日本海の真ん中で飛び出ている
能登半島にぶつかり、
そのまま富山湾へと入ってきます。
 
 
ちょうどその時期に、北陸地方特有の
地響きがするような雷が鳴つことから、
漁師が網を「起こす」というのと、
寝ている鰤を「起こす」という意味をかけて、この時期の雷は「鰤起こし」(ぶりおこし)
呼ばれています。
 

寒鰤の産地

鰤網(ぶりあみ)
冬季、陸地近くまで回遊してくる
鰤を獲るために仕掛けた大敷網(おおしきあみ)
特に「鰤網」(ぶりあみ)と言います。
大敷網に入った鰤を運ぶ船を
「鰤船」(ぶりぶね)と言います。
鰤の需要の多い年末や大漁の時には
漁港は賑わいます。
 
ひみ寒ぶり
(富山県・氷見漁港)
 
富山湾の氷見の沿岸部に入ってきた寒鰤は
仕掛けられた定置網に迷い込み、
丁寧に水揚げされ、船上で大量の氷冷海水で
「沖締め」と言われる方法で締められ、
漁港へ運ばれます。
 
 
中でも「氷見の寒ブリ宣言」が出された期間に
 ①富山湾の定置網で獲られ、
 ②氷見漁港で競られ、
 ③6キロ以上の重さがある
ブランド寒鰤を「ひみ寒ぶり」と言い、
1尾ずつ販売認定証を付けられ、青い箱に入れて
全国各地へと出荷されていきます。
品質・鮮度共に全国的に高い評価を得ています。
 
 
出世魚であるブリは富山県では、
「ツバイソ」→「フクラギ」→「ガンド」→「ブリ」と
呼び名を変えます。
 
 
佐渡の寒ブリ
(新潟県・佐渡島)
 
日本海に浮かぶ、日本で二番目に大きい島、
「佐渡島」で漁獲した寒鰤の中から、
 ①新潟県佐渡島の各漁港で水揚げされ、
 ②定置網及び一本釣り漁業で漁獲され、
 ③一本8kg以上で
  漁師の目利きにより厳選され、
  漁協・JF新潟漁連が認定したもの
を「佐渡の寒ブリ」として出荷しています。
 
 
出世魚であるブリは佐渡では、
一般的に「ズンベ」→「イナダ・フクラギ」→
「ワラサ・ニマイズル」→「ブリ」と呼んでいます。
 
 
天然能登寒ぶり
(石川県・能登半島)
日本海に突き出す
能登半島の東沿岸部に当たる
珠洲市〜七尾市の内浦では、
戦国時代から
定置網漁が盛んに行われてきました。
出世魚であるブリは石川県では、
「ぼうず」→「こぞくら」→「ふくらぎ」→
「がんど」→「ぶり」と変化します。
 
 
「天然能登寒ぶり」は、
例年11月〜2月にかけて漁獲される
7kg以上のブリのブランド名です。
身の脂含有率は30%を超え、
刺身が醤油を弾くほどです。
 
 
若狭の寒ブリ
(福井県・若狭湾)
 
冬の日本海の荒波に揉まれ、
若狭湾の豊富な餌を食べて育つ
「若狭の寒ブリ」は
身が締まり、脂が乗って絶品。
「越前がに」と並ぶ、福井の冬のご馳走です。
出世魚であるブリは福井県では、
「アオコ」→「ツバス」→「ハマチ」→「ワラサ」→
「ブリ」と呼び名が変わります。