「九星」(きゅうせい)とは、
いかにも”星”や”天文”と関係ありそうに見えますが、
暦とも直接には関係がなく、むしろ「占法」に属するものです。
そもそも人の「運勢」や「吉凶を占う」ために生まれたものです。
「九星」とは
「九星」は、
一から九までの数と、
白・黒・碧・緑・黄・赤・紫の七色と、
水・土・木・金・火の五星とを組み合わせた、
現実の天体とは無関係の「一白水星」から「九紫火星」の九つの星を
年や月、日から時刻、方位(方角)に割り当てています。
そしてその年、その月、その日、その時、その場所の吉凶判断をします。
各人の生まれ年に割り当てて、その人の運勢判断にも利用されています。
九星 | 読み | 五行 | 方位 | 八卦 | 色 |
一白水星 | いっぱくすいせい | 水 | 北 | 坎 | 白 |
二黒土星 | じこくどせい | 土 | 西南 | 坤 | 黒 |
三碧木星 | さんぺきもくせい | 木 | 東 | 震 | 青 |
四緑木星 | しろくもくせい | 木 | 東南 | 巽 | 緑 |
五黄土星 | ごおうどせい | 土 | 中央 | 黄 | |
六白金星 | ろっぱくきんせい | 金 | 西北 | 乾 | 白 |
七赤金星 | しちせききんせい | 金 | 西 | 兌 | 赤 |
八白土星 | はっぱくどせい | 土 | 東北 | 艮 | 白 |
九紫火星 | きゅうしかせい | 火 | 南 | 離 | 紫 |
「九星」は本来、暦に直接は関係がなく、むしろ占法に属するものです。
暦註としては百年そこそこの歴史しかなく、
その運用は、易占家がそれぞれ独自の秘伝を持って行うため、
占う人の解釈の違いで内容が変わってしまいます。
そのため、「九星」に何かしら神秘性を感じる人もいれば、
逆にひどく嫌う人もいます。
起源
「九星」は、
古代Chinaの神話「河図」(かと)に起源するとされ、
民間信仰のひとつだったようです。
それが後に易の八卦に記載されて、日本に輸入されました。
「河図」(かと)
China最古の王朝と言われる”夏 ”の創始者・禹 が、
河で見た亀の甲羅の模様から思いついたと
言い伝えられています。
亀の甲羅に「1」から「9」まで神紋が描かれてあり、
その中心に「5」を置くと、縦横斜めの数の和が
「15」になるものです。
4 | 9 | 2 |
3 | 5 | 7 |
8 | 1 | 6 |
この基本的な考え方は、欧米の数字遊び
「マジック・スクエア(魔方陣)」と同じです。
魔方陣のそれぞれの数字に、
白・黒・碧・緑・黄・赤・紫の7色と
木・火・土・金・水の五行、十干・十二支、易の八卦を配当し、
この数字が順次場所を変えた場合を考え、
それに解釈を加えて「九星」が作られました。
年月日への配当
「九星」は、年・月・日・時の全てに一つずつ割り当てられています。
そしてこれらは、数字の順番に沿って暦を回っています。
「年」と「月」は「隠遁」(いんとん)のみ行い、
「日」では年の前半に「陽遁」(ようとん)、後半に「隠遁」(いんとん)を用います。
また、「節切り」を用いていますので、
年が「立春」を区切りとしていることが特色です。
年の九星
「年の九星」は、一般には無限に「隠遁」(いんとん)で操られています。
「9」→「8」→「7」→・・・と一つずつ数字を減らしていき、
最後の「1」が来たら
また「9」に戻って・・・となっていきます。
「九星」は「節切り」を用いていますので、
「年の九星」は「立春」をもって切り替わります。
ですから、立春の前日の「節分」までは「前年の九星」ですので、
誕生日が「立春」以前の人の本命星は前年のものを使います。
「年の九星」には計算法があります。
西暦年数を9で割った余りを11から引くというものです。
例えば令和4(2022)年は、
西暦「2022」÷「9」=「224」・・・余り「6」
「11」ー余り「6」=「5」 ➡ 「五黄土星」
但し、余りが"0"の場合は"9"に、
余りが1の場合には"10"に置き換えて
計算します。
月の九星
「月の九星」は、月に一回、「節入り」の時に
「陰遁」(いんとん)で循環します。
なお、「9」と「12」の最小公倍数は「36」なので、
「月の九星」は3年周期になっています。
年の干支 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 |
子・卯・午・酉 | 八白 | 七赤 | 六白 | 五黄 | 四緑 | 三碧 | 二黒 | 一白 | 九紫 | 八白 | 七赤 | 六白 |
丑・辰・未・戌 | 五黄 | 四緑 | 三碧 | 二黒 | 一白 | 九紫 | 八白 | 七赤 | 六白 | 五黄 | 四緑 | 三碧 |
寅・巳・申・亥 | 二黒 | 一白 | 九紫 | 八白 | 七赤 | 六白 | 五黄 | 四緑 | 三碧 | 二黒 | 一白 | 九紫 |
日の九星
「日の九星」は、
「冬至」に一番近い干支「甲子」の日から180日間は「陽遁」で循環し、
「夏至」に近い干支「甲子」から180日間は「隠遁」で循環します。
つまり、冬から夏までの期間は、
「一白水星」から数え始め、
一白水星→二黒土星→三碧木星~というように「昇順」していきます。
これは、自然界に「陽」の気が満ちていくことを表しています。
これを「陽遁」(ようとん)と呼び、
この陽遁が降順に切り替わる日を「陽遁始め」の日と言います。
「陰遁」から「陽遁」に切り替わる時は「一白」が2日続きます。
一方、夏から冬に向かう期間は、
「九紫火星」から数え始め、
九紫火星→八白土星→七赤金星~というように「降順」していきます。
これは、自然界に「陰」の気が満ちていくことを表しています。
これを「陰遁」(いんとん)と呼び、
この陰遁が降順に切り替わる日を「陰遁始め」の日と言います。
「陽遁」から「陰遁」に切り替わる時は「九紫」が2日続きます。
<参考>令和4(2022)年
- 陽遁始め:1月11日
- 陰遁始め:7月10日
九星の閏
このように繰り返していくと陽遁と陰遁とで360日となりますから、
1年の長さに5日ないし6日足りなくなってしまい、
冬至・夏至に最も近い干支「甲子」の日が切替日ではなくなってしまいます。
そこで、11年~12年に一度、
陽遁・陰遁の期間を30日ずつ延長して
(陽遁・陰遁をそれぞれ210日ずつとし)、ズレを調整します。
この延長された期間(60日)を「九星の閏(うるう)」といいます。
なお、「九星の閏年」で関係あるのは「日の九星」だけで、
年と月の九星は変わりません。
時の九星
「時の九星」も「日の九星」と同様に陽遁・隠遁の別に循環します。
時は2時間を1刻としています。
日 | 子刻 | 丑刻 | 寅刻 | 卯刻 | 辰刻 | 巳刻 | 午刻 | 午刻 | 申刻 | 酉刻 | 戌刻 | 亥刻 | |
陽遁 | 子・卯・午・酉 | 一白 | 二黒 | 三碧 | 四緑 | 五黄 | 六白 | 七赤 | 八白 | 九紫 | 一白 | 二黒 | 三碧 |
丑・辰・未・戌 | 四緑 | 五黄 | 六白 | 七赤 | 八白 | 九紫 | 一白 | 二黒 | 三碧 | 四緑 | 五黄 | 六白 | |
寅・巳・申・亥 | 七赤 | 八白 | 九紫 | 一白 | 二黒 | 三碧 | 四緑 | 五黄 | 六白 | 七赤 | 八白 | 九紫 | |
陰遁 | 子・卯・午・酉 | 九紫 | 八白 | 七赤 | 六白 | 五黄 | 四緑 | 三碧 | 二黒 | 一白 | 九紫 | 八白 | 七赤 |
丑・辰・未・戌 | 六白 | 五黄 | 四緑 | 三碧 | 二黒 | 一白 | 九紫 | 八白 | 七赤 | 六白 | 五黄 | 四緑 | |
寅・巳・申・亥 | 三碧 | 二黒 | 一白 | 九紫 | 八白 | 七赤 | 六白 | 五黄 | 四緑 | 三碧 | 二黒 | 一白 |
「陰遁始め」「陽遁始め」
九星の星の回る順番が入れ替わる日を
「陰遁始め」(いんとんはじめ)、「陽遁始め」(ようとんはじめ)と言います。
「陰遁始め」となる日は、毎年「夏至に最も近い甲子の日」、
「陽遁始め」となる日は、毎年「冬至に最も近い甲子の日」です。
これは、「干支(六十干支)」と「九星」の組み合わせが
一巡する期間となっています。
・「夏至」を過ぎれば徐々に日照時間が短くなります。
→ 自然の万物が衰微する時期が「陰遁」
・「冬至」を過ぎれば、徐々に日照時間が長くなります。
→ 自然の万物が伸長する時期が「陽遁」
「陰遁始めの日」「陽遁始めの日」は、
一年の陰陽が切り替わる時で、暦の中間点であり、
一年の「折り返し地点」を示す指標です。
「エネルギーの転換日」で、
気の流れが大きく変わる日と言われています。
そのため、気持ちの切り替えと、
これからの在り方を考えて行動に変化をつけていく日です。
「陰」と「陽」には、それぞれに役割があります。
<陽の気>
「肉体」「行動的 」「明るい」「発散(外に向かう)」「春夏の気」
<陰の気>
「精神」「リラックス」「優しさ」「吸収(内に向かう)」「秋冬の気」
全てにおいてバランス「中庸」というものがあります。
「陰」には陰の使い方があり、「陽」には陽の使い方があり、
それぞれに相応しいエネルギーの使い方というものがあります。
日々の生活の中で、
このエネルギーを正しく使えることが出来るようにしていくと、
気の流れがスムーズになっていきます。
また、「陰遁始め」「陽遁始め」の日は
60日に1度やってくる吉日の「甲子」の日と重なります。
「甲子日」のパワーを借りて、成果を出していきましょう。
「陰遁始め」の日
陰へ向かう極陽(陽が極まっている)の時期となります。
この日から少しずつ「陰」の気が増えて、
徐々に万物が「衰微」する時期です。
「衰微」とは、勢いが衰えて弱くなることを表しますが、
陰陽においては悪い意味ではありません。
植物で例えるならば、
花が咲いて、実が生り、枯れ葉となって葉が落ちていくという時期です。
これを私達の生活を考えると、
新規のことにどんどんチャレンジしていくというよりも、
今までやってきた事を完成させて(実らせて収穫する)、
次のステップへの準備をする大切な時期と言えます。
「陽遁始め」の日
陽へ向かう極陰(陰が極まっている)の時期となります。
この日から少しずつ「陽」の気が増えて、
徐々に万物が伸長する時期です。
植物で例えるならば、種から芽が出てグングンと育っていく時期です。
今までやってきたことにこだわり過ぎて、
新しい種まきをしないままでいては、芽は出てきません。
まずはやってきたことを迅速に完成・完結させ、
その後、早いタイミングで出来るだけ新しい種をまいていきましょう。
そして、次の「陰遁始め」まで、
育て実らせていくためにアクティブに活動していきましょう。