「十二直」(じゅうにちょく)は暦注の一つで、
建・除・満・平・定・執・破・危・成・納・開・閉の
十二語を毎日に割り当て、日々の吉凶を占うものです。
「十二客」(じゅうにかく)とか「十二建」(じゅうにけん)などとも
呼ばれます。
また暦の中段辺りに記載されることが多いので、
「暦の中段」という異名もあります。
- 十二直の歴史
- 十二直の日取り
- 十二直の吉凶
- 建(たつ)
- 除(のぞく)
- 満(みつ)
- 平(たいら)
- 定(さだん)
- 執(とる)
- 破(やぶる)
- 危(あやう)
- 成(なる)
- 納(おさん)
- 開(ひらく)
- 閉(とづ)
十二直の歴史
元々は、古代Chinaで北斗七星に注目し、
北斗七星の柄杓のような形の
柄の部分(斗柄(とへい))が指し示す方位で、
時刻、日、季節を判別していました。
やがてそれが、十二支が割り当てられた方位と結び付けられ、
日々の吉凶占いに発展したと言われています。
日本でも、
飛鳥時代から「十二直」は暦に取り入れられていたようで、
奈良時代に建てられた、日本で最も古くからある宝物を管理する
「正倉院」に残されている日本最古の暦である
「具注暦」(ぐちゅうれき)にも「十二直」が記載されています。
旧暦時代は多くの人々に親しまれ、
十二直の「直」という字には、
「當たる」(あたる)という意味があり、
吉凶判斷がよく的中する暦注だと信じられてきました。
最近では「六曜」の方を重視する人が多くなり、
以前ほどは使われなくなったとは言われますが、
気にかける人も少なくないようです。
十二直の日取り
「十二直」の日取りは、
節切りで「建」の日が各月ごとに決められています。
この日から、
除・満・平・定・執・破・危・成・納・開・閉を
順番に毎日に当てはめて繰り返します。
但し、二十四節気の節気の日
(大雪、小寒、立春、啓蟄、清明、
立夏、芒種、小暑、立秋、白露、寒露、立冬)だけは、
前日の「十二直」を繰り返す決まりがあります。
節月 | 日 付 | 令和4年 |
11月 | 「大雪」後の最初の「子」の日 | R3 12/18 |
12月 | 「小寒」後の最初の「丑」の日 | R4 1/12 |
1月 | 「立春」後の最初の「寅」の日 | 2/ 6 |
2月 | 「啓蟄」後の最初の「卯」の日 | 3/15 |
3月 | 「清明」後の最初の「辰」の日 | 4/ 9 |
4月 | 「立夏」後の最初の「巳」の日 | 5/16 |
5月 | 「芒種」後の最初の「午」の日 | 6/10 |
6月 | 「小暑」後の最初の「未」の日 | 7/17 |
7月 | 「立秋」後の最初の「申」の日 | 8/11 |
8月 | 「白露」後の最初の「酉」の日 | 9/17 |
9月 | 「寒露」後の最初の「戌」の日 | 10/12 |
10月 | 「立冬」後の最初の「亥」の日 | 11/18 |
十二直の吉凶
暦によって多少の解釈の違いはありますが、
十二直の文字がおおよその内容を表しているとされます。
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この日は大吉にて万によし、
但し土をうごかし船のりは悪し |
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・万物を建て生じる日。
・この日は「建(たつ)」の意味から最吉日になります。
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吉事
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神仏の祭祀、婚礼、開店、新規事業、
移転、柱立て、棟上げ、旅行は大吉
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凶事
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屋敷内の動土、蔵開きは凶
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何事にもわるき、事をよける日なり、
物を捨てるに大いによし |
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・障害を取り除く日。
・この日は「除(のぞく)」の意味から
不浄を払い、百凶を除き去ります。
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吉事
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医師にかかり始め、薬の飲み始め、
種まき、井戸掘りは吉
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凶事
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婚礼、屋敷内の動土は凶
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神祭り、家造り、移転、婚礼、開店、
たねまき土をうごかす等よし |
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・全てが満たされる日。
・この日は「満(みつ)」が意味するので、
万象万物全て満たされる良日とされます。
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吉事
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建築、移転、新規事業の開始を始め、
婚礼その他の祝い事、
種まき、動土など、全て吉
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凶事
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屋敷内の動土、蔵開きは凶
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よしあし共に平かなり、
すべて相談事には大いによし |
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・物事が平らかになる日。
・この日は文字通り「平(たいら)」を意味するように、
物事の平穏平等のために地固めを行う吉日となります。
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吉事
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地固め、柱立て、旅行、婚礼、
その他の祝い事に用いれば
円満の結果が得られる
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凶事
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池や溝、穴などを掘るのは凶
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この日はたねまき、婚礼、井戸掘等
万事さだめる事には大いによし |
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・善悪が定まる日。
・この日は「定(さだん)」の文字が意味するように、
善悪定まってとどまる日とされています。
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吉事
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建築、柱立て、棟上げ、移転、
婚礼、開店、開業、種まきに吉
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凶事
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訴訟、旅行、樹木の植え替えは凶
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この日は五穀の取入れ、物の買入れ、
すべて手に入れる事によし |
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・執り行う日。
・この日の「執(とる)」は執行に派生し、
万物の活動育成を促す日とされます。
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吉事
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神仏の祭祀、婚礼その他の祝い事、
造作、種まきに吉の日
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凶事
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金銭の出し入れ、財産整理には凶
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この日はやくそく、相談、
その他のとり決め等によろしからず |
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・物事を突破する日。
・この日の「破(やぶる)」は、
物事を「衝破する」という意味があることから、 人を説得する事や訴訟などは 好結果を見る日とされてます。
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吉事
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訴訟、談判事などでは好結果をみる
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凶事
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婚礼、神仏の祭祀、
その他祝い事には忌むべき凶の日
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万事に危惧を含む意味があり、
何事も控えめに慎む方が良い |
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・物事を危惧する日。
・万事に危惧を含む意味があり、
何事も控えめに慎む方が良いとされる日です。
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吉事
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凶事
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万事に危惧を含む日なので、
所持控えめに慎むべき。
特に、旅行、登山、船出は大凶で、
止めるべき日。
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この日は金談、その他開店、披露、
柱立等に用いてさわりなし |
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・物事が成就する日。
・この日は物事が成就するとされています。
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吉事
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建築、開店、種まきなど、
新規に事を始めるのには吉
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凶事
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訴訟、談判事などには凶
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この日はおさむという日
故、収穫、その他諸事に用いて さわりなし |
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・物事を納め入れる日。
・別名「天倉(てんそう)」とも言い、
「収納」を意味がある日ですので、
万物を納め入れるのに良い日。
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吉事
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万物を納め入れるのに良い日。
五穀の収納、商品購入は吉
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凶事
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見合い、婚礼などには凶
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この日は入学、開業、諸事前途の望み
とぐるによし、進んで大吉 |
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・開き通じる日。
・この日の「開(ひらく)」は、険を開き通じる意があり、
神使天険を開通する日とされています。
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吉事
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神使天険を開通する日で、
建築、移転、婚礼、開店など全て吉
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凶事
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葬送の儀などの不浄事は凶
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この日は閉ずという日
故、開店、その他万事に悪日なり、 墓石立に吉 |
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・閉じ込める日。
・別名「嘆星(たんせい)」とも言い、
「物事が閉じる」という意味があります。
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吉事
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諸事閉止する意を含む
金銭の収納、建墓、トイレ造りは吉
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凶事
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柱立て、棟上げ、開店、婚礼などは凶
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