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ラジオ体操の日

 
「ラジオ体操」は、昭和3(1928)年11月1日に、昭和天皇の「即位の礼」の
記念事業の一環として放送が開始されました。
 
 

ラジオ体操の日

「ラジオ体操の日」は、
かんぽ生命保険」が平成30(2018)年に
ラジオ体操制定90周年を記念して制定しました。
 

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ラジオ体操は
「いつでも、どこでも、だれでも」
気軽に取り組める体操として、
かんぽ生命保険」の前身である
「逓信省簡易保険局」によって提唱、開発され、
現在に至るまで幅広い世代に親しまれています。
 
日付は、昭和3(1928)年11月1日の朝7時に、
東京中央放送局から初めての放送が行われた
ことに因んでいます。
 
「ラジオ体操」の初代担当アナウンサーは
「ラジオ体操」のために採用された
江木理一(えぎ りいち)さんでした。
「全国の皆さーん、おはようございます。
 さあ、きょうも元気で、
 体操を始めていただきましょう」という
独特の号令が国民に大人気となりました。
 
そして「ラジオ体操」の実際の振り付けは、
郵便局員が全国に周知しました。
 

「ラジオ体操」の効果

 
「ラジオ体操」は、
国民の体力向上と健康の保持や増進を
目的とした一般向けの体操です。
 
「ラジオ体操」は、
「有酸素運動」と「ストレッチ」の要素を
兼ね備えた運動法です。
5分程度の体操ですが、
一つ一つの動きを丁寧に行うことで
心拍数が上昇し、汗ばんでくるくらいの
速足と同程度の運動量になります。
 
毎朝6時半にラジオで放送されることから、
起床時間などの生活リズムが整います。
また心身がスッキリ目覚めることで
自律神経も整い、代謝もアップします。
 
習慣的に続けていくことで、
ダイエットやむくみ解消、肩こりや腰痛の改善効果なども期待出来ます。
高齢者は筋力低下を防止する効果だけでなく、
音楽に合わせた正確な動きを心掛けることで、認知症予防も期待出来ます。
 
ラジオ体操を継続的に実践している人を対象に
全国規模の調査・研究を行った結果によると、
「体内年齢」「血管年齢」「呼吸機能(肺年齢)」
「骨密度」など、健康状態を示す数値が
良好であることが明らかになっています。
 
ラジオ体操5つの健康効果
1. 全身運動による
 基礎代謝 UP・血管年齢の若返り
2. 新陳代謝の向上による
 脂肪燃焼効果・体力年齢の若返り
3. 血行促進による
 首・肩のこり、腰痛の予防・解消
4. 屈伸運動や跳躍運動による
 骨粗しょう症の予防
5. 目標を設定することによる
 活動量の向上
 
 
「ラジオ体操」の効果を得るには、
漫然と流れるように行うのではなく、
動かしていたり伸ばしたりしている
筋肉を意識して、リズムに乗って
大きく伸びやかに動かすことで、
効果を更に引き出すことが出来ます。
 
呼吸を止めてしまうと筋肉が十分に伸びず、
ストレッチ効果を十分に得られないので、
前屈や後屈、体側を伸ばす動きなどの時は
特に、呼吸を止めないよう注意しましょう。
 
ラジオ体操で意識すること
1. 指先までしっかりと伸ばす。
2. 呼吸しながら行う。
3. 動かしている筋に集中して行う。
 
反動をつけて伸ばしたり、曲げたりすると
筋や関節を痛めることがあります。
無理をせず、心地良い程度の動きで
実施しましょう。
 
ラジオ体操を行うときの注意点
1. 体調が悪い時には無理をしない。
2. 無理をせず、
 心地良い程度の動きで実施する。
3. バランスに不安がある人は
 座って行う。
 

「ラジオ体操」の歴史

日本に「ラジオ体操」の導入を推進したのは、逓信省簡易保険局の
猪熊貞治さんと進藤誠一さんです。
 
大正12(1923)年5月、猪熊さんは
欧米に簡易保険事業調査に出張した際、
米保険会社「メトロポリタン生命」が
体操をラジオ放送に流す計画を知り、
画期的な試みだと思ったことから、
帰国後に『逓信協会雑誌』に
「ラジオ放送による健康体操の実施」を
提案しました。
 
「メトロポリタン生命(現:メットライフ生命)」は健康増進・衛生思想の啓蒙を図る目的で
ピアノ伴奏に合わせた健康体操を考案し、
1925年3月31日からラジオ放送を始めました。
これを「メトロポリタン・ヘルス・エクササイズ」
と称して普及に努め、最盛期には、約400万人に
及ぶ人がこの体操に興じたとされます。
 
 
昭和2(1927)年8月、簡易保険局の会議で
「ラジオ体操」の実施が決定され、
旧逓信省の簡易保険局が「ラジオ体操」を考案し、
日本放送協会(現・NHK)や文部省、
生命保険会社協会に協力を依頼して、
協議が進められました。
昭和3(1928)年9月12日には、
運動と伴奏曲が披露され、
9月18日に名称を「国民保健体操」と決め、
11月1日の「天皇陛下ご即位の大礼」を記念し、
放送を開始しました。
 
創設当時は、国民の健康増進のためとはいえ、その趣旨はなかなか理解されなかったことから、
「ラジオ体操」を全国に広めるための
様々な取り組みが行われました。
 
体操をしながら眺める「体操掛軸」や「体操人形」を作成したり(う~ん、効果あるの?)、
また「国民体操宣伝隊」が編成され、
全国各地を廻るキャンペーンも行われました。
 
 
「健康星取表」というカードが無料配布され、
体操をした後に星を付けるとともに、
1銭の貯金をするという取組みも行われました。
「ラジオ体操」をすると、
健康とお金が手に入るという訳です。
 
 
昭和7(1932)年には、
より高度な運動を取り入れた
「第2ラヂオ体操」の放送を始めると同時に
「夏休み全国ラジオ体操の会」も
開始されました。
 
更に体操の指導者育成も積極的に行われ、
全国各地でラジオ体操指導者講習会が開かれ、
修了者には「指導者章」が授与されました。
昭和13(1938)年には
約11000人が指導者として認定され、
各地で「ラヂオ体操の会」が発足。
昭和14年には全国統一組織
「全国ラヂオ体操の会」が結成されました。
現在の「全国ラジオ体操連盟」の前身です。
 

www.radio-exercises.org

 
昭和16(1941)年4月1日には
文部省の用語用字統一に倣って
「ラヂオ」を「ラジオ」に改められ、
こうして「ラジオ体操」は、
目覚ましい勢いで家庭、職場にと
全国津々浦々に至るまで普及していきました。
 
戦争が終わると、当然のごとく
「ラジオ体操」は再開されたものの、
GHQ(連合国最高司令官総司令部)は
軍国主義的であるとして、
中止すべしとの命令を出しました。
 
しかし国民は、誰もが行える気軽な運動として、
「ラジオ体操」の復活を望んだことから、
「ラジオ体操」の関係者らが、
GHQの将校達を説得したり、
目前で体操を披露するなどした結果、
「ラジオ体操」は再開されることになりました。
 
この時、改めて「新ラジオ体操 第1~3」を制定して放送しましたが、動作が複雑な上に難しく、
ほとんど国民に浸透しなかったため、
放送開始から1年半で中止になってしまいます。なお、その後「ラジオ体操 第3」は
作られることがなかったため、
「幻のラジオ体操」と呼ばれることもあります。
 
昭和26(1951)年、
「老若男女を問わず、誰でもできること」を目的に
3代目となる「ラジオ体操第一」が作られます。
作ったのは、茨城県出身の遠山喜一郎さんです。
音楽はクラシック音楽家の服部正さんが
手掛けました。
 
遠山さんは、昭和11(1936)年に開催された
ベルリン五輪に日本代表選手として出場し、
戦時中は土浦海軍航空隊予科練で体育教師を
務め、リズム体操を訓練に取り入れました。
戦後は「日本体操協会」の副会長を務め、
日本に一早く「新体操」を紹介して、
その普及と発展に尽力した人物としても
知られています。
 
遠山さんが作成に当たって重点を置いたのは、
動きの「つなぎ」とリズムの「流れ」です。
「一度動き出したら、音楽に乗って最後まで
 やりきれるものでなくてはならない」
というのが遠山さんの体操理論。
ラジオ体操をたった一人で作り上げました。
 
こうして、昭和26(1951)年5月、
遂に「ラジオ体操」の放送が開始されました。
親しみやすい音楽と分かりやすい運動を
取り入れた、新しい「ラジオ体操」は、
瞬く間に人気を取り戻します。
 
翌年の昭和27(1952)年には、
職場での運動を想定し、「体を鍛え、
筋力を強化すること」にポイントを置いた
「ラジオ体操第二」が誕生します。
 
昭和37(1962)年には、
全国1000万人で同時刻に体操を行なう
「第一回1000万人ラジオ体操祭」が
行なわれると大反響を呼び、
以降現在に至るまで毎年開催される
国民的なイベントへと成長しました。
 

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更に「国際高齢者年」であった
平成11(1999)年には、
「みんなの体操」を制定しました。
「みんなの体操」は、
ユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、
年齢・性別・障害の有無に関わりなく
全ての世代の人々を対象に、
誰もが楽しく安心して出来ることを考慮し、
予防の観点も踏まえ現状の健康を維持すること、
体操を行うことに満足感が得られることを
目的としています。
 
 
現在、全国には約2万人のラジオ体操会があり、
愛好者は全国で約3000万人にも及ぶと
言われるまでに発展しています。
 
 
ラジオ体操第1
初 代 昭和03(1928)年11月 旧ラジオ体操
二代目 昭和21(1946)年04月 新ラジオ体操
三代目 昭和26(1951)年05月 現在のラジオ体操
 
ラジオ体操第1
初 代 昭和07(1932)年07月 旧ラジオ体操
二代目 昭和21(1946)年04月 新ラジオ体操
三代目 昭和27(1952)年6月 現在のラジオ体操