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秋の日は釣瓶落とし

 
「秋の日は釣瓶落とし」
(あきのひはつるべおとし)とは、
秋の日は、井戸の釣瓶が落ちるように
早く沈み、暮れてしまう。
秋の日暮れが早いということを表す
ことわざです。
 
 

「秋の日はつるべ落とし」とは

 
秋の深まりとともに、日の暮れるのも
どんどん早くなっていきます。
そんな、あっという間に落日する様子を、
深い井戸に「釣瓶」が真っ直ぐ落ちていく様に
例えた言葉が「秋の日は釣瓶落とし」です。
 
「釣瓶」(つるべ)とは
井戸水を汲み上げるための桶などのことです。
桶は縄や竿に括り付けられ、
井戸の上部に備え付けられた滑車によって
上下する仕組みになっていて、手を離すと桶はあっという間に深い井戸の底に落ちていきます。
 

薄明(はくめい)

 
秋は、日没の時刻が早くなるばかりでなく、
日が没してから暗くなるまでの時間も短くなり、
まだ明るいと思っていたのに、
もう真っ暗と思うことも
しばしばあるのではないでしょうか。
釣瓶が落ちる速さについていけない感じすら
します。
 
これは太陽が地平線下に没しても、
なお地上に明るさが残る
「薄明」(はくめい)の時間が短くなるためです。
 
 
「薄明」(はくめい)とは、
太陽が地平線の下にあり直接は見えないものの
空が薄明るい時間帯のことです。
「日暮れ」「黄昏」とも呼ばれ、
英語では「twilight(トワイライト)」と言います。
 
「薄明」(はくめい)は、大気中の塵による
光の散乱により発生します。
秋は春のように黄砂もなく、
地表も冷えて湿っているので、
空気の対流現象が盛んでなく埃も立ちにくく、
また大陸から乾燥した高気圧がやってくるので、
水蒸気も少ないため、
「薄明」の時間が短くなるのです。
薄明継続時間が一番長い6月は、
日が沈んでから約2時間かけて
ゆっくりと暗くなっていきます。
一方9月や10月は、
日没後わずか1時間25分で夜を迎えます。
この約20分〜30分の差が
急に暗くなったという感覚を助長させるのかも
しれません。