うまずたゆまず

コツコツと

七十二候「乃東生」

「なつかれくさしょうず」と読みます。
 

 
「乃東」(だいとう)とは、
「夏枯草」(かごそう、なつかれくさ)
「靫草」(うつぼぐさ)の古名です。
 
「靫草」(うつぼぐさ)は、
冬の冬至の頃に芽を出し、
5月〜7月頃に紫色の花を咲かせ、
夏至の頃に花穂(かすい)が黒ずみ、
まるで枯れたように見えます。
他の植物が夏の日差しを浴び青々と繁っていく中
ひっそりと枯れていく・・・。
昔の人はその様子に注目し、
七十二候にその名前を残しました。
 
なお、夏至の初候に「乃東が枯れる頃」という意味を持つ
乃東枯」というものがあり、この2つが対になっています。
 
夏至の頃に、
「靫草」(うつぼぐさ)の黒ずんだ花穂を採り乾燥させると、
生薬「夏枯草」(かごそう)になります。
日本薬局方にも、
「本品はウツボグサの花穂である」と記載されています。
 
「夏枯草」(かごそう)は、煎じて飲むと利尿薬になり、
腎炎や膀胱炎などに効果があるそうです。
またこの煎液には、口内炎や扁桃炎などに効果があり、
うがい薬にもなります。
当帰・玄参・芍薬などと配合した「夏枯草散」は、
眼の痛みに用いられてきたようです。
抗がん作用、ヒトエイズウイルス(HIV)増殖抑制効果の報告もあります。
 
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「靫草」(うつぼぐさ)には
「夏枯草」(かごそう)以外にも名前があります。
花穂が松傘(まつがさ)や虚無僧(こむそう)の笠に似ていることから
「松傘草」、「虚無僧草」、
「郭公」(カッコウ)が鳴く頃から咲き始める花という意味で、
「郭公花」、「郭公草」とも呼ばれています。
 

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