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七十二候「腐草為蛍」

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「くされたるくさほたるとなる」
と読みます。
 
梅雨を迎え、水辺の湿った草陰から、
「蛍」が幻想的な光を放ちながら
飛び始める頃となりました。
 
 

「腐草為蛍」とは

「腐草為蛍」(くされたるくさ ほたるとなる)とは、
「腐った草が蒸れ、蛍になる」という意味
です。
 
「腐草(朽草)」(くちくさ)とは、
「蛍」(ほたる)の異名です。
 
「蛍」(ほたる)は、
一年近くを幼虫として水の中で過ごし、
土が柔らかくなる雨の日に水から上がり、
土にも潜り込み、そこで蛹(さなぎ)になり、
数週間を土の穴の中で過ごします。
 
そして梅雨の始め頃に羽化し、
その後、暑くなり湿気で蒸れて
腐りかけた草(腐草=朽草)の下で
明かりを灯し始めることから、
「朽ちた草が蛍になる」と表現したのです。
 

世界には約2000種、
そのうち日本には約40種の蛍がいます。
実は陸生の方が圧倒的に多く、
幼虫期を水中で過ごす種はごく僅かです。
水性ホタルの棲息は、湿潤な東南アジアに
集中しているため、水のある環境、
つまり蛍は水田とともに進化してきたと
考えられています。
 
<ゲンジボタル(源氏蛍)>
5月下旬~6月下旬頃成虫になる。
体長12mm~18mm。本州、
九州、四国に生息。
約2~4秒間、黄色に大きく光る。
 
<ヘイケボタル(平家蛍)>
6月下旬~8月頃成虫になる。
体長7mm~10mm。
北海道から九州にかけて生息。
黄色に光る。
 
<ヒメボタル(姫蛍)>
5月下旬~7月下旬頃成虫になる。
体長6mm~9mm。
青森から九州に生息。
水辺ではなく陸に生息し、ゲンジボタルや
ヘイケボタルに比べると光は弱い。
 
蛍の一生は短く、儚い
蛍の生涯は約1年で、そのほとんどは幼虫期。
幼虫期の約10か月間は、水の中で過ごし、
陸に上がって40~50日間は、
(さなぎ)になって土の中で過ごします。
羽化して成虫になったら概ね1~2週間程度で、
オスが飛んで発光しながらラブコールを送り、
それに応えてメスが光れば「婚約成立」で、
オスがメスのもとに飛んでいきます。
そして「結婚」。
「産卵」をした後2~3日で、
その短い生涯を終えます。
 
私達が目にする蛍の乱舞は、
子孫を残すために
必死にパートナーを探す姿だったんですね。
その儚くも、精一杯、命をかけた
恋のときめきが伝わり、
心を奪われてしまうのでしょうか。
 
蛍の光
「蛍」と言えば「光る」と思っていますが、
幼虫の時は発光するものの、
実は、成虫の多くは発光しないのだそうです。
ほとんどの蛍は一生を陸上で過ごし、
昼間に活動するため、
光ではなく匂いを発しているそうです。
 
「蛍狩り」の主役である
「ゲンジボタル」や「ヘイケボタル」のように
長い幼虫期を水中で過ごし、
成虫してから発光する種類は、
珍しいのだそうです。
 
蛍の腹部の後方には発光する器官があって、
そこが光を放っています。
オスは光を発しながら飛び、
メスは葉や草の上などで弱い光を放ちます。
オスとメスが出会って、意気投合すると
強い光を放つそうです。
これで「婚約成立」という訳です。
 
ヒーリング(癒し)効果
水辺や野の暗がりに浮かんでは消える
夏の夜を幻想的に照らし出してくれる
「蛍」の光には、
「1/fの揺らぎ」と呼ばれる
「ヒーリング(癒し)効果」があると
言われています。
 
自然界には、多くの「揺らぎ」が溢れています。
心臓の音、ロウソクの炎の揺れ、波の感覚、
雨音・・・いずれも一定のようでいて、
実は予測出来ない不規則な揺らぎがあり、
それが「1/fの揺らぎ」です。
 
"1/fゆらぎ(エフぶんのいちゆらぎ)とは、
パワー(スペクトル密度)が周波数 f に
反比例するゆらぎのこと。
ただし f は 0 より大きい、有限な範囲をとる
ものとする。
・・・[中略]・・・
自然現象においても見ることができ、
具体例としては人の心拍の間隔、
ろうそくの炎の揺れ方、電車の揺れ、
小川のせせらぐ音、目の動き方、木漏れ日、
蛍の光り方などがある。
・・・[中略]・・・
人間の生体は五感を通して外界から1/fゆらぎを感知すると、生体リズムと共鳴し、自律神経が整えられ、 精神が安定し、 活力が湧くと考えられている。
 

「蛍狩り」の楽しみ方

ストレス社会の現代人は、
積極的に自然の癒しを取り入れたいものです。
特に6月は、「蛍狩り」関連のイベントが多く催されているようですので、
お出掛けになってみてはいかがでしょうか。
 
「蛍狩り」の時期や条件
「蛍狩り」が出来る期間は毎年初夏の季節だけ。
更に、地域や気候、平地か山地など
環境の違いによって変わります。
 
● 飛翔する時期(例年)
 ・西日本:5月中旬~6月
 ・東日本:5月下旬~7月上旬
 
● 飛翔しやすい時間帯
 ・およそ19時~23時
 ・激しく乱舞するピークは
  19時頃から約1時間
 
● 天候条件
 湿気が多く、風の少ない夜に
 よく飛び回ります。
 雨が降る前と後、曇り空や月明かり
 のない新月の頃が狙い目です。
 

weathernews.jp

蛍狩りの名所
[ホタル観賞・蛍まつりなどイベントスポット]
■宮城県東和町
鱒淵川
6月下旬~7月上旬。
ゲンジボタルの群生地として国の天然記念物に指定されています。
 
■栃木県日光市
令和5(2023)年6月3日、7月1日に
「ホタル観賞会」開催
 
■群馬県利根郡みなかみ町
月夜野
6月下旬頃、「ホタル鑑賞の夕べ」があります。
 
■埼玉県秩父郡小鹿野町
6月下旬~7月上旬。
 
■千葉県いすみ市
5月下旬~6月中旬。
ゲンジボタルの生息地「山田地区」。
 
■千葉県君津市
5月下旬~7月上旬まで、
ゲンジボタル、ヘイケボタルが観賞出来ます。
 
■東京都文京区
5月下旬~6月末にかけ「ほたるの夕べ」開催。
 
■東京都清瀬市
自然繁殖の蛍もいますが、6月には保護されている蛍を鑑賞することもできます。
 
■東京都稲城市
6月~7月にかけ、「ほたる鑑賞」イベント開催。
 
■神奈川県横浜市中区
三渓園
5月中旬頃から「蛍の夕べ」開催。
 
■静岡県伊豆市
5月下旬頃から「ほたるの夕べ」開催。
 
■静岡県伊東市
松川湖
6月に「ほたる観賞会」が開催。
 
■長野県辰野町松尾峡
6月中旬に「ほたる祭り」開催。
明治時代から知られる蛍の名所。
 
■長野県池田町
令和5(2023)年6/30~7/2、7/7~9
「花見ほたる祭り」開催。
 
■名古屋市中区
「名古屋城外堀」
5月下旬~6月上旬。
陸に住むヒメボタルを見ることが出来ます。
 
■三重県伊賀市
 
■岐阜県大垣市 金生山明星輪寺
令和5(2023)6月3日、6月10日
 
■滋賀県天野川流域
米原市長岡周辺は
国の特別天然記念物に指定されています。
 
■京都府京都市各地
6月上旬。
「哲学の道」や「祇園白川沿い」など、
名所が点在しています。
 
■奈良県奈良市
東大寺の二月堂裏参道、大湯屋周辺に
ゲンジボタルの群生が観られます。
 
■兵庫県朝来市
 
■兵庫県養父市
祭は毎年6月中旬
 
■岡山県真庭市
6月上旬~下旬。
環境省の「ふるさといきものの里100選」。
 
■広島県竹原市小梨町
「おなし名水」が湧き出るほたるの里。
毎年6月に「ホタルまつり」開催。
 
■鳥取県鳥取市
5月下旬~6月上旬。
国の重要文化財「樗谿神社」(おうちだにじんじゃ)
の境内を流れる樗谿川にゲンジボタル、
ヘイケボタル、ヒメボタルが生息しており、
鳥取市ホタルの里と呼ばれています。
 
■山口県 道の駅・蛍街道西ノ市
令和5(2023)6月7日(水)~24日(土)
 
■愛媛県大洲市柳沢地区
6月1日~15日。
矢落川流域はゲンジボタルの発生地として
愛媛県の天然記念物に指定。
 
■高知県四万十市
5月下旬~6月中旬。
佐田の沈下橋周辺などで観賞出来ます。
 
■大分県佐伯市
5月中旬~6月中旬。
西日本最大級とも言われる蛍狩りスポット。
 
■長崎県新上五島町・相河地区
令和5(2023)5月27日~6月11日
 
■沖縄県島尻郡
4月中旬~5月中旬。
4月下旬に「ホタルまつり」開催。
県指定天然記念物「クメジマホタル」を
鑑賞出来ます。
 
蛍狩りのマナー
幻想的な「蛍」の光を
この先も見続けられるように、
観賞などに行く際には、細心の注意を払って
そっと静かに見守るようお願いします。
 

1.蛍狩りは蛍を愛でるもの。
  触ったり、捕まえたりするのは厳禁!

2.光は厳禁!
  音が出るものもダメ!
  静かに干渉しましょう。

3.生息エリアを汚さない!
  蛍が生息出来る環境を保ちましょう。
  草むらに立ち入ったり、
  川を汚したりしない!

4.ホタルは虫。
  虫除けをする場合は、
  顔など最小限にとどめましょう。
  香りの強い物も持ち込まないように!

5.歩きやすい靴、長袖・長ズボンが基本!
  帽子や手袋、タオルで首回りを覆う等
  肌の露出が少なくするといいでしょう

 

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