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月の朔望と潮の干満の関係

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月の満ち欠け「朔望」は、
「干潮」や「満潮」などの
「潮の満ち引き(潮汐)」とも
密接な関係があります。
 
 

「満潮」「干潮」のメカニズム

「潮の満ち引き(潮汐)」は、
地球上での場所による月の引力の大きさ
「潮汐力」)によって海水が盛り上がる現象
です。
潮が満ちた状態を「満潮」
潮が引いた状態を「干潮」と言います。
 
月と地球の距離は、
太陽と地球の距離に比べ近いため、
月の方が潮汐により大きな影響を及ぼします。
太陽の潮汐に及ぼす影響は月の半分くらいに
なります。
 

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月と地球はそれぞれ
「引力」で引き合っていますが、
同時に、月と地球との相互運動による
「遠心力」が働いているため、
両者の距離は常に一定に保たれています。
 
しかし、月に面した地表では
月への距離が重心よりも近いために
「引力」の方が大きくなって
月の方へ引き寄せようとする力が働きます。
一方、その反対側の地表では、
それと同等の「遠心力」が働くため、
月に面した海水が「引力」によって
上昇して「満潮」になると、
その裏側の海水も「遠心力」により
「満潮」になるのです。
 
そして当然、両方の中間に当たる部分では、
海水が満潮部分に持って行かれて
「干潮」になるという仕組みです。
 
地球は1日に1回自転するので、
多くの場所では1日に2回、
「満潮」と「干潮」を迎えることになります。
 
また、月の公転時間と地球の自転時間が
ズレているため、
「満潮」と「干潮」の時刻は
毎日約50分ずつ遅れていきます。
更に、「満潮時」と「干潮時」の
潮位やそれらの差も、毎日変化しています。
 
上げ3分、下げ7分
漁師の間では、潮と漁に関する様々な言葉が
伝承されています。
その中の「上げ3分、下げ7分」は、
魚が活発に動いてよく釣れる潮時のことを
言います。
「干潮」から潮が満ち始める「3分間」と、
「満潮」から潮が引き始める「7分間」くらいを指します。
地方によっては、この時間帯を
「潮がねじれる」と言うそうです。
 

「大潮」と「小潮」

実際に海面に働くのは、月と太陽それぞれの
起潮力を足し合わせたものとなります。
このことを念頭に置いて考えてみると、
「満潮」と「干潮」だけでなく、
潮の満ち引きの大きさの変化についても
説明がつきます。
 
「新月」と「満月」の頃は、
月と太陽の引力が合力となって、
干満の差が「最大」になります。
これを「大潮」(おおしお)と言います。
そしてその中間に当たる
「上弦」と「下弦」の半月の頃は、
太陽と月の引力が打ち消し合い、
干満の差は「最小」になります。
これが「小潮」(こしお)です。
 
「大潮」と「小潮」は、新月から次の新月までの間にほぼ2回ずつ現れます。
 
海の生き物と潮の関係
海の生き物の中には、新月か満月の満潮時に
産卵するものが多いそうです。
この時期はほぼ「大潮」に当たり、
潮の満ち引きが激しい時です。
海水の移動も激しいので、
サンゴなどは卵がより遠くに運ばれ、
自分達のエリアが増えることを期待している
とも言えます。
潮のリズムをよく知り、
共生している海の生き物ならではの行動と
言えるでしょう。
 

潮汐の情報

昔、海で働く人達は、
当然それを知っていたので、
月を見て潮を読み、
漁や仕事に生かしたのでしょう。
ですから、月齢と同じように、
昔の暦には潮汐の情報は載っていました。
 
現在は、気象庁が検潮所や津波観測計を用いて
潮位が常時観測されています。
そして観測したデータは、
「潮汐観測資料」として公開されています。
 
検潮所は日本全国に
海上保安庁水路部管轄のものが28点、
気象庁管轄のものが71点あり、
この他にも国土地理院や港湾局が管轄しているものがあります。
 

潮名のまとめ

潮には5つの種類があります。
そして5種類の潮が1か月に2回巡ってきます。
 
大潮
潮の干満の差が大きな状態で
新月や満月の前後数日間で、
旧暦の1日または15日頃。
 
中潮
「大潮」と「小潮」の間の期間で、
旧暦の3日〜6日、12日〜13日、18日〜21日頃。
 
小潮
潮の干満の差が小さい状態で
「上弦」や「下弦」の前後数日間で、
旧暦の8日または23日頃。
 
長潮
「上弦」や「下弦」を1〜2日過ぎた頃で、
干満差が一段と小さくなり、
「満潮」や「干潮」の変化が
緩やかで長く続くように見える
「小潮」末期頃を言います。
旧暦の10日と25日頃。
 
若潮(潮変わり)
「長潮」の翌日の潮を言います。
ここから再び「大潮」に向かって
潮の干満差が次第に大きくなる
スタートの地点です。
このように潮が再び大きくなる状態を
「潮が返る」と言い、
「若潮」または「潮変わり」と呼びます。