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鉄道の日

 
明治5(1872)年10月14日、
新橋(汐留駅)から横浜(現・桜木町駅)間に
日本で最初の鉄道が開通したことを受けて、
それから122年後の平成6(1994)年に、
鉄道の誕生と発展を記念して、
毎年10月14日を「鉄道の日」と定めました。
 
 
鉄道の建設が決定したのは、
明治政府成立の翌年、明治2(1869)年11月。
当時の日本には、鉄道建設技術がなかったため、
英国の協力のもとで進められました。
 
まずは「東京」と貿易港「横浜」を結ぶ
路線を建設することになり、
明治3(1870)年3月、
英国人技師エドモンド・モレルの監督の下、
六郷(多摩川)を境に「東京方」と「横浜方」に分けて着手しました。
 
 
「横浜方」の工事は順調に進み、
明治4(1871)年8月には一部で線路敷設が完了し、
着工から1年半弱で、英国から輸入した
蒸気機関車で試運転を開始しました。
政府高官も試乗して、9月3日には木戸孝允、
9月21日には大久保利通が横浜から川崎まで
乗車したという記録があります。
 
明治5(1872)年2月には、線路敷設は品川まで完了。
5月7日より品川-横浜間で仮開業を開始し、
翌月には1週間1万人もの乗客を運んだそうです。
 
一方、新橋-品川間の工事が遅れていました。
海上に線路を敷設するために
品川付近の八ツ山や御殿山の土砂で埋め立て、
江戸城の石垣などを流用して
「高輪築堤」(たかなわちくてい)を築くためです。
 
 
そして、明治5(1872)年10月14日「正式開業日」を
迎えました。
この日は新橋駅で式典が催され、
明治天皇と建設関係者を乗せた「お召し列車」が
横浜まで往復運転しました。
太陽暦を採用したのは明治5年12月。
鉄道開業時点では「旧暦」が用いられていたため
明治5年10月14日は旧暦では「明治5年9月12日」になります。
実は、当初の開業予定日は、「9月9日」でした。
9月9日は「重陽の節句」なので、
縁起の良いと考えられたためでした。
ところがこの日は悪天候のために9月12日に
延期されたのでした。
更に、開業50周年となる大正11(1922)年に
「太陽暦に換算した10月14日を鉄道記念日」と
定めるとの通達が出されました。

営業運行が始まったのは翌10月15日からです。
正式開業時の列車本数は1日9往復で、
全線所要時間は53分、表定速度は32.8km/h
だったそうです。
 
そして開業時の全区間の運賃は、
上等:1円12銭5厘、中等:75銭、下等:37銭5厘。
下等運賃でも米が5升半(約10kg)が買えるほど
高額なものでした。
 
 
昨年、令和4(2022)年は、日本初の鉄道が
開業してから150年の節目を迎える年でした。
 
そして今年、令和5(2023)年は、
「鉄道の日」が制定されて30周年です。