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御田植祭(おたうえまつり)

 

「御田植祭」(おたうえまつり)は、
多くの寺社や皇室の領田で行われる
豊作を祈念する行事です。
田植えや地域の芸能などが行われます。
 
 

御田植祭(おたうえまつり)

例年、田植えの時期になると、
日本の各地にある社寺の斎田では
「御田植祭」(おたうえまつり)と呼ばれる
お祭りが開かれます。
田植え唄や楽器の演奏に合わせて
「早乙女」(さおとめ)が実際に早苗を植え、
その年の五穀豊穣を祈ります。
 
 
現在の日本でも一般的な水田稲作は、
約3000年前(紀元前10世紀)に
九州北部に最初に伝わったと考えられています。
それから約300年後には近畿地方まで、
更に約600年後には本州の北端まで広がり、
「瑞穂の国」(みずほのくに)
日本の美称として使われるようになり、
人々は米作りを中心に暮らしてきました。
 
 
そして全国各地域では「五穀豊穣」を願い、
春は田の神様を迎えてその年の豊作を祈り、
秋には収穫を神様に感謝するというように、
一年を通じて様々な行事や祭りを行ってきた
のです。
 
田植はそれ自体が一種の祭儀であると同時に、
重労働である田植を
少しでも楽しみながら出来るようにと、
田遊び・田楽・能などの芸能が発達しました。
 

日本三大御田植祭

「御田植祭」(おたうえまつり)の中でも有名なのは、
香取神宮の「香取神宮御田植祭」、
大阪住吉大社の「御田植神事」、
神宮別宮の伊雑宮の「磯部の御神田」で、
「日本三大御田植祭」と呼ばれています。
 
香取神宮の御田植祭
(すみよしたいしゃ おたうえしんじ)


www.youtube.com

千葉県香取郡にある香取神宮
春の「御田植祭」は、
例年4月第1土曜日と翌日の日曜日に行われる
重要な祭礼です。
通称「かとりまち」と呼ばれていて、
史料によれば、明徳2(1391)年には
既に行われていたそうです。
 
御田植祭の1日目は「耕田式」で、
拝殿前にて鎌・鍬・鋤・牛を使って
田植え前の田んぼを耕す風景を模した儀式と、
8人の稚児による田舞や早乙女手代による
植初め行事が奏されます。
 
2日目は「田植式」で、
稚児や神職などが
参道から御神田へと向かい、
早乙女手代が田植え歌を唄いながら
苗を植える姿を見ることが出来ます。
 

www.city.katori.lg.jp

 
住吉大社 御田植神事
(すみよしたいしゃ おたうえしんじ)


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大阪市の「住吉大社」で、
毎年6月14日に行われる「御田植神事」は、
古より厳格に伝承されている神聖な行事です。
神功皇后が御田を作らせたのが始まりで、
鎌倉時代より受け継がれ、現在も当時のまま
形を変えずに厳格に守られている
国指定重要無形民俗文化財です。
 
田や植え付けする苗に宿る
穀物の力を増やすために、
田植え唄を歌いや舞を演じ、
とても華やかで盛大に行なわれます。
 
全国各地で行われている御田植神事の中でも
最も大規模で格式ある一つとされています。
 

www.sumiyoshitaisha.net

 
伊雑宮 磯部の御神田
(いざわのみや いそべのおみた)


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三重県志摩市磯部町にある
伊雑宮(いざわのみや)の御神田で、
毎年6月に行われる田植神事が
磯部の御神田(いそべのおみた)です。
古代より受け継がれている神事であり、
国指定重要無形民俗文化財です。
 
大きな団扇のついた忌竹を奪い合う「竹取神事」、
古式ゆかしい装束に身を包んだ太鼓打ちや
簓摺(ささらすり)らによる田楽が響き渡る中、
白い着物に赤い襷掛けをした早乙女達によって
厳かに行われる「御田植神事」、
そして一の鳥居に向けての「踊込み」と、
農事ではありながらも絢爛たる時代絵巻が
繰り広げられます。

bunka.nii.ac.jp

 
伊勢神宮の御田祭
(いせじんぐうのおみた)


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5月上旬に、三重県伊勢市楠部町家田(やた)にある
伊勢皇大神宮(内宮)の神田での御田植えは、
「神田御田植初」(しんでんおたうえはじめ)とも呼ばれ、
「神嘗祭」を始め、
伊勢神宮の諸祭典で使用される御料米の早苗を
地元の神宮神田御田植祭保存会の奉仕により、古式ゆかしく神田に植えられます。

www.city.ise.mie.jp

 

花田植え(はなたうえ)

田植時に歌を掛け合い、楽器を囃したてながら
早乙女達が苗を植え、豊作を祈願する
広島県の他、中国山地の伝統行事です。
 
 
特に毎年6月の第一日曜日に、
北広島町壬生で行われる「壬生の花田植」は
平成23(2011)年11月、
ユネスコの無形文化遺産保護条約の
「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に
記載されました。
 

www.pref.hiroshima.lg.jp