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納涼床・川床

都の夏の風物詩のひとつ「納涼床」。
川のせせらぎや風で涼を取りながら、
食事を楽しむという、
暑い京都の夏ならではの伝統的な文化です。
 
「鴨川納涼床」「貴船の川床」
「高尾の川床」「しょうざん渓涼床」があり、
それぞれ違った風情を楽しむことが出来ます。
 
 

納涼床・川床とは?

 
蒸し暑い京都の夏を涼しく過ごすために、
毎年5月1日(床開き)から9月末日まで、
川沿いの料理店が
川面の上に桟敷を張り出したり、
屋外の川のよく見える場所に作った座敷で、
涼みながらお料理やお茶を楽しむことが
出来ます。
 
その歴史は、
安土桃山時代にまで遡ると言われ、
現在まで、「京都の夏の風物詩」として
親しまれてきました。
 
エリアによって「床」の呼び方が違う
 
「鴨川納涼床」「貴船の川床」
「高尾の川床」「しょうざん渓涼床」
それぞれのエリアによって
「床」の呼び方が違います。
 
四条辺りの「鴨川」では納涼床(ゆか)、
京都の奥座敷「貴船川」では川床(どこ)、
京都市中心から1時間程離れた
「高雄の清滝川付近」でも川床(どこ)、
洛北・鷹ヶ峯の「しょうざんリゾート京都」の
しょうざん渓涼床」は床(ゆか)と
呼ぶのが一般的です。
 
時期
基本的に5月〜9月です。
5月と6月と9月は、お手頃価格の昼のランチも
川床でいただけるというお店も多いので、
初心者や軽く雰囲気を味わいたい方は
ランチがおススメです!
6〜8月は夜のみ営業である場合が多いです。
 
お店によって営業スケジュールは異なります
から、予めチェックしておきましょう。
 
雨が降ったら?
屋外の「納涼床・川床」を利用する時に
まず気になるのは、
雨が降ったらどうなるのかということ。
雨の時はお店の中に席の用意があり 、
食事途中で雨が降っても店内に避難出来るので
安心して大丈夫です。
 
その他注意しておいた方がいいこと

「納涼床・川床」のお店はどこも人気のため、
予め予約が必要 です。
 
最近では靴を脱がずに過ごせる
テーブルのお店も多いのですが、
まだ畳のお店もあるので、
靴下持参したり、ストッキング履いておいた
ほうが良さそうです。
 
川沿いの席なので、
お店では蚊取り線香などを用意していますが、
予め「虫除けスプレー」をしておくなどの
対策をとっておくことをおススメします。
 
京都の夏は暑いですから、
団扇を用意しているお店もありますが、
暑さ対策もしていた方がいいでしょう。
 
一方、5・6月や9・10月は
夜は冷えるため、上に羽織るものは必須です。
なるべくどんな天気でも対応出来るようにしておきましょう。

「納涼床」の歴史

「納涼床・川床」の歴史は、
400年の歴史があると言われています。
戦国の世が終わり、
豊臣秀吉によって天下統一がなされた頃、
鴨川の浅瀬や中洲には、
折り畳みの腰掛「床几」(しょうぎ)を並べて、
夕涼みを楽しむようになったと言われて
います。
 
 
寛文年間(1661-73)、石垣や堤が整備されると、
先斗町・宮川町などの花街が出来たり、
芝居小屋や約400軒の茶屋が出来ました。
 
 
鴨川納涼床」が年中行事として、
最初に文献に登場するのは寛永2(1662)年。
当時のガイドブック『案内者』には、賑々しく繰り出す人々の様子が描かれています。
「祇園祭」の神輿洗いの時は、
神輿が鴨川で禊をするのに合わせて
人々が集まり、目早い茶屋が大繁盛しました。
 
鴨川納涼床」の様子は、
円山応挙の「華洛四季遊楽図」「都名所図会」「都林泉名勝図会」に盛期の様子が描かれ、
京の夏を彩る年中行事として
全国的にも知られるようになりました。
 


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明治時代になって、
7、8月に床を出すのが定着した他、
屋形から、現在のような、
床を張り出す形になりました。
 
大正時代になると、京都随一の避暑地として
知られる「貴船」でも川床が始まりました。
茶屋が貴船川に床几を出したところ、
客が川に足をつけて涼めるようにしたことに
由来するそうです。
 
更に、紅葉の景勝地として名高い「高雄」や、
広大な日本庭園を縫うように流れる
「鷹ヶ峯」の溪涼床(けいりょうゆか)で、
天然のクーラーが効いて、
地形を巧みに利用した夏座敷を楽しむことが
出来ます。
 
 
鴨川納涼床(のうりょうゆか)
・場所:鴨川、二条から五条の間の西岸、
    料亭・旅館・中華料理店・レストラン・
    カフェ・バーなど87店   
・日程:2023年5月1日[月]~9月30日[土]予定
 
三条、四条の繁華街を鴨川と並行して流れる
全長2㎞あまりの人工水路「禊川」(みそそぎがわ)の上に出ます。
 
 
大正2(1913)年、鴨川には、
三橋(丸太町橋・四条大橋・七条大橋)が
完成しますが、この架橋に伴い、
中洲の除去や護岸の整備が行なわれ、
川床が出せなくなりそうになったため、
先斗町など地元の人々が床を出せる
水辺を造って欲しいと陳情した結果、
大正6(1917)年にみそそぎ川の原形が
開削されました。
 
 
昭和10(1935)年の鴨川大洪水を契機に、
この水路も再整備されて、
現在の流路の「みそそぎ川」が完成、
「みそそぎ川」の名も付けられたそうです。
 
 
「みそそぎ川」という河川名についての由来は定かでありませんが、元々、鴨川が禊(みそぎ)の場だったことから、禊の川ということで付けられたのではと推測されています。
 
更に平成6(1994)年に護岸の改修が行なわれ、
現在の姿になりました。
 
 
みそそぎ川は、
二条大橋を過ぎると階段状の急流となって、
川床部分に流れ落ち、五条まで川床の下を流れ
五条で再び鴨川に戻っています。
 
 
二条大橋から丸太町橋にかけて、
みそそぎ川と鴨川の間には、
桜並木などが植栽された遊歩道があり、
四季折々で鴨川散策を楽しむことが出来ます。  近年では、6月上旬に二条大橋上流付近で、
ゲンジボタルの生息も確認されていて、
調査・保護活動も行なわれています。
 

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貴船の川床(きふねのかわどこ)
・場所:貴船川沿い
    (叡山電鉄「貴船口」→京都バス「貴船」)
・日程:2023年5月1日[月]~9月30日[土]予定
 
京の奥座敷、「貴船の川床」は、
叡山電鉄が開通して交通が便利になったのをきっかけにお店が増えたようです。
大正時代、行商の途中に立ち寄った人々に、
床机を出して茶や食事などを提供したことが
始まりと言われています。
 

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木々が生い茂る自然豊かな貴船は、
市内中心部よりも気温が低く、
真夏ではその差がマイナス10度程も違うと
言われています。
 
 
貴船の川床は、
川の真上に桟敷が出ているところが多く、
その高さは水面より数十㎝。
手を伸ばせば届きそうなところで、
清流貴船川のせせらぎを間近にして
アユやアマゴなど川魚料理を楽しむことが
出来ます。
 
高尾の川床(たかおのかわどこ)
・場所:もみぢ家別館 /高雄観光ホテル/錦水亭
・日程:2023年4月1日[土]~11月30日[木]予定
 
京都の市街地から西の方に位置する「高雄」は
夏は京都市の中心部より気温が
3度から5度涼しいと言われ、
古くから夏の別天地として知られています。
 
「高雄の川床」は、
清滝川の清流を眼下に望む川沿いに
桟敷が設けられ、
屋根がついているため
日差しが強い日も雨の日も安心して
川床を楽しむことが出来るのが特徴です。
 
また、他の地域より一早く4月から
「花の床」がスタートし、
生き生きとした新緑に囲まれ、
青もみじを愛でながら食事を楽しむことが
出来ます。
 
更に、秋にかけても紅葉も楽しめる川床
「紅葉の床」もあり、
見事を迎えた高雄の紅葉を眺めながら
川床を楽しむことが出来るのも魅力的です。
 
しょうざん渓涼床(しょうざんけいりょうゆか)
・日程:2023年04月22日(土)~10月1日(日)予定
 
洛北・鷹ヶ峯にある
広大な日本庭園の中を流れる
紙屋川に張り出した床(ゆか)で、
京料理を楽しむことが出来ます。
 

www.shozan.co.jp