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新紙幣発行

令和6(2024)年7月3日、日本銀行は20年ぶりに
一万円、五千円、千円の3券種が改刷されます。
お札の絵柄、デザインを変えることを
「改刷」(かいさつ)と言います。
だいたい20年毎に変わっています。
 
 

紙幣「改刷」の目的

 
明治18(1885)年、日本銀行が第1号のお札
(旧拾円券/大黒札)を発行してから、
53種類のお札が発行されています。
細かい仕様変更などを除いて、
大きな改刷は過去に13回ありました。
各時代の経済状況などの必要に応じて
「改刷」が行われてきました。
 
 
今回、紙幣を「改刷」する目的は、
「偽造対策の強化」と
誰にとっても使いやすくする
「ユニバーサルデザインの向上」です。
 
「改刷」は、「偽造防止」のために、
これまでも大体20年程の間隔で
定期的に行われてきました。
今回は、 見る角度によって肖像の向きが変わる
「3D(3次元)ホログラム」や
模様を更に細かくした「高精細すき入れ」
などの新技術が取り入れられています。
 

また「ユニバーサルデザイン」を向上して、
年齢や国籍、障害の有無に関わらず、
誰もが使いやすいように、
識別マークの形状及び配置を変更した他、
額面のアラビア数字をこれまでの紙幣より、
表面では2倍から3倍、裏面では5倍程
大きくしています。
 
デザインは一新されますが、
新紙幣の大きさは、これまでの一万円、
五千円、千円の大きさと同じだそうです。
国立印刷局では、目の不自由な方のために
スマートフォンアプリのお札識別アプリ
言う(いう)吉(きち)くん」を無料配信して
います。
 

www.npb.go.jp

 

新紙幣を手に入れる方法

三井住友銀行では7月3日、
三菱UFJ銀行みずほ銀行では7月4日から、
その他の金融機関も7月4日から
新紙幣が到着後、準備が整い次第、
取扱いが開始される予定になっていますが、
支店により異なります。
 
新紙幣は、通常、口座を持つ銀行で、
両替機または窓口を利用することで
手に入れることが出来ます。
新紙幣を指定しない両替は、
新紙幣・旧紙幣が混在します。
また各銀行、各支店により
新札への両替枚数が限定される他、
同じ金種への両替は手数料無料でも、
別の金種に両替する場合は手数料が発生する
など対応が異なるため、
事前にホームページで確認が必要になります。
 
 
ATMでの両替は出来ず、
ATMでの払い戻しにおいては、
新紙幣・旧紙幣が混在して出て来る場合が
あるようです。
 

新紙幣への対応

企業の間では新紙幣に対応するため、
これまで精算機などのシステムを
更新する作業が進められてきました。
 
 
決済システムを製造するメーカーなど
80社余りが加盟する
「日本自動販売システム機械工業会」によると、
新紙幣が発行される3日時点では、
金融機関のATMは9割以上、
鉄道・バスの券売機、
大手コンビニやスーパーのレジでも
8割から9割で更新などが完了する
見通しだそうです。
一方で、飲食店の食券の自販機は5割、
全国にある221万台余の飲料の自動販売機は
更新が追いつかず、新紙幣が使えないものある
と指摘しています。
 
 
当分は、新紙幣と旧紙幣が混在することになる
ようですね。
 
因みに、前回紙幣の改刷が行われた、
平成16(2004)年は、
日本国内に流通する紙幣約71兆円の6割近くが、
1年で新紙幣に入れ替わったそうです。
 

旧紙幣はいつまで使えるのか?

キャッシュレスが進む現代ですが、
国内決済の6割はいまだに現金が占めるなど、
日本人の現金への信頼はとても深いです。
現在の流通量は約121兆円あるそうですが、
その半分の約60兆円が「タンス預金」として
眠っているとの試算もあります。
 
 
今、タンス預金をしている人の中には
「旧札のままだと使えなくなるのでは?」と
不安に感じていたり、
「旧札が使えなくなる前に貯金しておきたい」
と思ったりする人がいるかもしれません。
 
「新」紙幣が登場しても、
「旧」紙幣がすぐに使えなくなると
いうことはありません。
それは「日本銀行法」により、
日本銀行が発行する銀行券は、
「特別な法令」が発令されない限り、
法貨として無制限に通用すると
規定されているからです。
新紙幣と従来の紙幣の
混合での使用も全く問題はありません。
 
 
ですから、
「これまでの日本銀行券が使えなくなる」等
と騙った振り込め詐欺などの詐欺行為には、
ご注意下さい。
 
 
また一度にお金を預けた場合、
金額によっては
税務署から連絡がくる可能性もあります。
税務署から誰かから「贈与」された金額を
貯金したと判断された場合、
「贈与税」の対象になる可能性もあります。
また「相続財産」だと
疑われることもあるかもしれません。
自分で貯めたお金であることを
客観的に証明できれば良いのですが、
出来ない場合はトラブルになりかねないため
注意が必要です。
 
 
ところで「旧」紙幣が使えなくなる
「特別な法令」の発令とは何でしょうか?
この特別な措置は、これまで過去に
3回発動されたことがあり、その結果、
それまでに発行された53種類の銀行券のうち
31種類については通用力が失われ、
現在は銀行券として使えません。
残りの22種類の紙幣は、今でも、
発行終了や非発行のものを含めて
「無制限に通用可能」です
(日本銀行法第46条第2項)。
① 昭和2(1927)年
  関東大震災後の焼失兌換券の整理
 
② 昭和21(1946)年
  終戦直後の
  インフレ進行を阻止するための
  いわゆる「新円切り替え」
 
③ 昭和28(1953)年
  1円未満の小額通貨の整理
 

デザインはどう変わるのか?

2024年7月に導入される新紙幣は、
一万円札、五千円札、千円札の3種類が対象で、「改刷」により肖像画が変更されるのは、
渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎です。
 
紙幣の「肖像」の選び方
 
日本銀行では、
明治18(1885)年に第1号のお札を発行してから、
53種類のお札を発行しています。
「肖像」を始めとするお札の様式は、
通貨行政を担当している「財務省」、
発行元の「日本銀行」、
製造元の「国立印刷局」の三者で協議し、
最終的には「日本銀行法」によって
「財務大臣」が決めることになっています。
紙幣の「肖像」の選び方には、
法令等の制約はありませんが、
おおよそ次のような理由で選定されています。
・偽造防止の観点から、
 なるべく精密な写真が入手できること
 
・肖像彫刻の観点からみて、
 品格のある紙幣に相応しい肖像であること
 
・肖像の人物が国民各層に広く知られており
 その業績が広く認められていること
 
ということから、現在のお札の肖像は、
明治以降の人物から選ばれています。
新一万円札:渋沢栄一
渋沢 栄一(しぶさわ えいいち)
「近代日本経済の父」と称され、
設立に関与した企業は500を超えます。
・東京海上保険会社(現:東京海上日動火災保険)
・東京瓦斯会社 (現:東京ガス)
・大阪紡績会社 (現:東洋紡)
・東京株式取引所(現:東京証券取引所)
・抄紙会社   (現:王子ホールディングス)
・東京ホテル  (現:帝国ホテル)
・日本鉄道会社 (現:東日本旅客鉄道)
・東京電灯会社 (現:東京電力HD)など
 
なお1万円札の裏面は、東京駅丸の内駅舎です。
 
 
ところで、渋沢栄一の生誕地、
埼玉県深谷市八基地区では、
新一万円札発行日を迎える
歴史的瞬間をお祝いするために、
カウントダウンイベントが行われます。
【日時】7月2日[火]午後9時~7月3日[水]午前1時
【場所】渋沢栄一記念館、八基公民館
【内容】ステージイベント、夜ふかしトーク、
    カウントダウンセレモニー等
 

www.city.fukaya.saitama.jp

 
新五千円札:津田梅子
新しい五千円札の肖像に選ばれたのは、
生涯を通じて、女性の地位向上と
女子教育に尽力した教育家で、
女子英学塾(今の津田塾大学)を創立し、
塾長となった津田 梅子(つだ うめこ)です。
裏面は、5千円札は藤の花です。
津田塾大学同窓会では、
シンポジウムや同窓会グッズ情報などの
発信をしています。
 

sites.google.com

 
新千円札:北里柴三郎
北里 柴三郎(きたざと しばさぶろう)は、
「近代日本医学の父」として知られ、
伝染病予防や細菌学の発展に大きく貢献し、
大正4(1915)年北里研究所を設立し、
大正6(1917)年には慶応義塾大学医学科創設に
尽力しました。
 
 
裏面は、冨嶽三十六景の「神奈川沖浪裏」が
デザインされます。
 
 


www.youtube.com

 
北里柴三郎の出身地、熊本県では、
肖像が使われた新千円札発行を記念して
小国町にある「北里柴三郎記念館」と
熊本市に本社を置く「メガネの大宝堂」が
共同でデザインしたオリジナル商品
「北里柴三郎コラボメガネ」を
6月20日から販売しています。
メガネは、眼鏡の聖地・福井県の鯖江市で
製作されました。
 
メガネのフレームは、
「オーバル型」「ラウンド型」の2種類。
フレームのカラーは5種類あり、
計300本の限定販売となっています。
 

manabiyanosato.or.jp

www.taihodo.net