「ひぐらしなく」
と読みます。
「ひぐらしが鳴き始める頃」という意味です。
七十二候の「寒蝉鳴」は、
「寒蝉」を「ひぐらし」と読ませています。
蜩(ひぐらし)

「蜩」(ひぐらし)の声は、
蝉とは思えないほど高く澄んだ声で、
「カナカナ」と聞きなされてきました。
「蜩」(ひぐらし)が鳴くのは、
日の出前や日没後の薄暗い時間帯ですが、
気温が下がると
日中でも鳴くようになるそうです。
ヒグラシを、中世の和歌集では
ほんと、げんなりします。
「秋に鳴く虫」と分類しているものもありますが
意外と早い時期から鳴いています。
ただ、どこか懐かしく涼し気で寂しげな
ヒグラシの鳴き声は、
過ぎ行く夏を惜しんでいるかのようで、
いかにも秋らしい声です。
ツクツクボウシ

七十二候の「寒蝉」の正体には諸説あり、
「蜩」(ひぐらし)の他、
「ツクツクボウシ」も候補になっています。
どちらかと言うと、
夏の終わり頃から秋を告げるように鳴くのは、
「ツクツクボウシ」の方です。
「ツクツクボーシ、ツクツクボーシ」と
鳴くので「ツクツクボウシ」。
これを「つくつく法師」と書くこともあるので
「法師蝉」(ほうしぜみ)とも呼ばれます。
室町時代頃以降は「ツクツクボウシ」が
一般的になったようでしたが、
「つくしよし」「つくしこひし」という名前も出、これを「筑紫良し」「筑紫恋し」と解釈して、「筑紫の人が旅先で死んで蝉になった」という伝説も生まれました。
「ツクツクボウシ」も秋が深まっていくにつれその声はだんだん弱くなり、
最後は静かになります。
蝉の声

蝉の声は、季節とともに移り変わります。
◎4月下旬頃
「ゲーキョゲーキョ」→ ハルゼミ
◎6月頃
「チィー」 → ニイニイゼミ
◎7月頃
「カナカナカナ」 → ヒグラシ
◎7月中旬
「ミーンミーン」 → ミンミンゼミ
◎7月中旬
「ジリジリ」 → アブラゼミ
◎7月下旬から8月上旬
「シャンシャンシャン」→ クマゼミ
セミの声を聞いてみませんか?
ほんと、げんなりします。