うまずたゆまず

コツコツと

春塵、黄塵、黄砂、霾(つちふる)

 
春のもろもろの風に吹かれて舞い上がり、
ふと気が付くと、塵や埃が床やテーブルの上に
うっすらと降り積もっています。
この小さな塵や埃のことを
春塵しゅんじん春の塵はるのちり春埃はるぼこり)」
と言います。
 
塵や埃は年中あるのですが、
春になり雪や霜が解けた頃に、
強い風が吹くと
乾いた地面から塵や埃が舞い立つため、
この塵や埃は春の証(あかし)な訳です。
 
 
 
ところで春は空は晴れていても、
ぼんやりと霞のかかったような色を
しています。
このような状態を
「春霞」(はるかすみ)と呼びます。
 
「春霞」は、植物の成長や春雨などにより、
大気中の水蒸気の量が増えて、
空気中の水分の上昇のために
微細な水滴が空気中に漂うからでもありますが、
この「春塵」も重要な発生要因となっています。
 
大陸から移動性高気圧と温帯低気圧が
交互に進んで来て気圧配置が一定しないので、
強風が吹きやすくなります。
 

 
その強風に伴って、
冬場に乾燥していた地域では、
砂埃が舞い上がりやすくなります。
 
また偏西風に伴って、
大陸からは「黄砂」
最近ではChinaの大気汚染物質PM2.5が
飛来して、埃っぽくなります。
なお空が黄色くなるほどの激しい「春塵」は、
「黄塵」(こうじん)とも言います。
「黄塵」(こうじん)はまた、
世間の煩わしさのことをも指します。
 

 
中国大陸の奥には、
黄土高原、ゴビ砂漠、タクラマカン砂漠などの
広大な黄土地帯や砂漠地帯が広がっています。
この時期、この地帯では、
雪解け後に露出した地面が乾燥し、
まだ十分に植物が生えていないため、
黄土は天高く舞い上がる「砂塵嵐」が
発生しやすくなります。
その様をChinaでは
「黄塵万丈」(こうじんばんじょう)と言います。
 
 
この「黄塵」が偏西風に吹き流されて浮遊し、
空を黄褐色に覆いつつ徐々に落下する現象が
「黄砂」です。
「黄砂」が上空の風に乗って海を越え、
日本列島に降りしきることを
「霾」(つちふる)と言います。
 
「霾」(つちふる)とは、
風が土砂を巻き上げて降らせること、
巻き上げられた土砂で空が曇ることで
更に暗くなった空は
「霾晦」(よなぐもり) と言います。
 
「黄砂」はほぼ年間を通して
日本列島に飛来していますが、
特に 2月頃から増加し始め、
3月と4月がピークで、
5月も度々飛来することがあります。
日本列島の中でも、西日本では大量に降ります。
 
 
「黄砂」は海洋にも降下し、
海洋表層のプランクトンへの
ミネラル分の供給を通して
海洋の生態系にも大きな影響を与えていると
考えられていますが、
洗濯物を干す時に
洗濯物に土埃がついてしまうとか、
車を運転する時に視程が悪いとか、
日常の様々な場面で不都合を生じます。
 
 
また最近は、「PM2.5」という
2.5μm以下の微小粒子状物質が
健康に対する悪影響も心配されています。
「M2.5」は髪の毛の1/30程度の太さと
非常に微細なため、肺の奥深くまで入りやすく、
肺の奥深くまで入りやすく、
喘息や気管支炎などの
呼吸器系疾患のリスクの上昇、
肺がんのリスクの上昇、
循環器系への影響も懸念されています。
 
眼や鼻、皮膚などの
アレルギー症状とも関連があり、
目の痒み、結膜炎、鼻水やクシャミなどを
引き起こすことがあると報告されています。
黄砂の飛来があった日に皮膚症状を示す方は、
金属アレルギ ーの傾向があると
言われています。
 
 
微小粒子状物質(PM2.5)には、
物の燃焼などにより直接排出される「一次生成」と
環境大気中での化学反応により生成された
「二次生成」があります。
 
「一次生成粒子」の発生源
・ボイラーや焼却炉など煤煙を発生する施設、
・コークス炉、鉱物堆積場など粉塵を発生する施設
・自動車、船舶、航空機など
・自然由来のもの(土壌、海洋、火山など)
・越境汚染
・家庭内の喫煙や調理、ストーブなど
 
「二次生成粒子」
 火力発電所、工場・事業所、自動車、船舶、
 航空機、家庭などの燃料燃焼により排出される
 硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)、
 燃料燃焼施設の他に溶剤・塗料の使用時や
 石油取扱施設からの蒸発、
 森林などから排出される揮発性有機化合物(VOC)等のガス状物質が
 大気中で光やオゾンと反応して生成される。
 

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なお6月になると黄砂観測日数はグッと減り、
7月から9月はほとんど観測されなくなります。