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コツコツと

七十二候「山茶始開」

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「つばきはじめてひらく」
と読みます。
 
「山茶」と書いて「つばき」と読ませていますが、
やはり「山茶花」(さざんか)の花が始めて開く頃
のことを言っています。
 

 
昔から「山茶花」(さざんか)と「椿」(つばき)
どちらもツバキ科ツバキ属に属する植物で、
同属の「山茶花」と「椿」はよく混同されて
きました。
冬枯れの景色の中で、
大輪の「山茶花」の花はより一層目立ちながら、
美しく咲き誇ります。
 

 
「山茶花」は、晩秋から初冬にかけて
花をつける日本原産の植物です。
江戸時代に長崎の出島から欧州に伝わり、
和名がそのまま学名(Camellia sasanqua)に
なりました。
 
「椿」が『古事記』に収載されるほど
昔から親しまれてきたのに対して、
「山茶花」が庭園樹として植栽されるように
なったのは、室町時代と推定されています。
ただ、江戸幕府の11代将軍・徳川家斉が
「山茶花」の花を特に好んだことから、
「山茶花」の栽培が盛んになっていきました。
 
園芸品種は多様性に富むので、
見分けにくいのですが、
一般に以下のような見分け方があります。
 
🌸山茶花は花びらが個々に散る。
  椿の花は丸ごと落ちる。
 
🌸山茶花の雄しべは花糸がくっつかない。
  椿の花糸は下半分くらいがくっついて
  いる。
 
🌸山茶花の花はほぼ完全に平開する。
  椿の花は完全には平開しない
 (カップ状になっている)。
 
🌸山茶花は葉柄に毛が生える。
  椿の葉柄には毛がない。
 
🌸山茶花は晩秋~初冬にかけて咲く。
  椿は晩冬~春にかけて咲く。
 
「椿」が花ごとポトリと落ちる一方、
「山茶花」は花びらがハラリハラリと
散っていくためでしょうか、
花はよく似ていても、
「山茶花」の方が柔らかな印象があります。
 
「山茶花」の全般の花言葉も
「困難に打ち克つ」「ひたむきさ」です。
 

 
花の色による花言葉もあります。
 

:謙譲、あなたが最も美しい
   

・白:愛嬌・あなたは私の愛を退ける
   

ピンク:永遠の愛
   

 
冷たい風の中、
凛として花を告げるのが「椿」なら、
地面を花びらで染めながら、
優しく冬を告げていくのが「山茶花」。
それで、「山茶始開」の「山茶」は
きっと「山茶花」(さざんか)を指しているの
でしょうね。

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