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七夕飾り

江戸時代になり、七夕行事が「五節句」の一つとなると、
七夕は庶民の間にも広まり、全国的に行われるようになりました。
 
人々は野菜や果物を供えて、詩歌や習い事の上達を願いました。
そして、短冊に色々な願い事を書いて笹竹に吊るし、
星に祈るお祭りと変わっていきました。
 
 

七夕飾り

七夕といえば、欠かせないのが「七夕飾り」です。
七夕飾りには様々なものがあり、
それぞれに大切な意味が込められています。
その「七夕飾り」を飾る期間や、その意味、
七夕の笹の処分の仕方などについてご紹介します。
 

七夕飾りを飾る期間

七夕飾りは、前日に飾り当日に片付ける
「一夜飾り」が古来の習わしです。
七夕が7月7日がなら6日に飾り付けをし、
どんなにキレイな飾りでも長く飾って楽しむことはせずに、
七夕が済んだら、その日のうちに片付けてしまいます。
その昔は、役目を終えた七夕飾りを川や海に流すことで、
飾りに移った穢れを浄化させる「みそぎ」をしていました。
 
しかし今は、七夕は「みそぎ」ではなく、
夏の楽しいイベントの一つとして認知されています。
 
本来の方法を知ることは大切ですが、
必ずしも「一夜飾り」に固執する必要はないのかもしれません。
早目に飾りを作ったり短冊を書いたりして、
ゆっくりと当日に備えることも多いです。
 

処分の方法

七夕飾りを楽しんだ後は、片付けが待っています。
「せっかく作ったのにもったいない」と
感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、
そもそも七夕には「みそぎ」の意味がありますので、
1度飾った七夕飾りを来年も使うのはおススメ出来ません。
 
子供のお願い事を書いた「短冊」は保管しておくとか、
あるいは写真に撮っておいてはいかがでしょうか?
年齢が上がるにつれて子供の願いの内容も変化するため、
成長記録にもなります。
そして、写真などに収めたら、全て処分してしまいましょう。 
 
昔は、笹飾りを川や海に流していましたが、
現在は、住んでいる自治体の規定に沿って、
「ゴミ」として処分するのが主流です。
地域で七夕祭りを行っているならば、
そこに持ち込むと処分してもらえる所もあるようです。
(聞いてみて下さい)
 
ただ、願い事が詰まった七夕飾りを
ゴミとして処分することには
 
神社によっては、お札やお守りと同じように
「お焚き上げ」をしてくれるところもあります。
中には、郵送で受け付けている神社もあるようです。
「お焚き上げ」とは、
魂や念が入っているものなどを火で燃やし浄めることです。
また、短冊など願いが込められたものは、
燃やすことで天に願いが届けられるとも言われています。
 
「ゴミ」として処分する場合は、
少し配慮して、飾りを白い紙に包むなどするのがベターです。
 
 

七夕飾りの意味と種類

笹竹(ささだけ)

 
笹の葉は先が尖っているのが特徴で、
昔から魔物(邪気)を払う葉とされてきました。
邪気を払うことで、願い事を叶いやすくする目的があります。
 
また、天に真っ直ぐ伸びる笹竹に「短冊」を結ぶのは、
「願い事が真っ直ぐ天に届きますように」という意味を込めてのことです。
また、グングン成長する筍の姿から、竹は生命力の象徴ともされます。
 
七夕の行事において、天と地を繋ぐ柱と言う意味合いで、
「笹竹」は、地面から真っ直ぐに立てます。
 
七五三縄(しめなわ)

 
真っ直ぐに立てた二本の笹竹は、「七五三縄」で繋ぎます。
これには、禊の儀式でもある七夕の節句においては
「ここは浄められた聖域です」と言う結界の意味があります。
 その七五三縄で囲むようにして、
初夏に採れた麦や野菜などの収穫物を供えます。
つまり、神様を招く依り代の役割が、笹竹と七五三縄にはあります。
 
 

短冊

 
七夕は江戸時代に、願い事を書いた短冊を笹に吊るすなど、
庶民が楽しむ行事へと広がったようです。
6日の夜に短冊を飾り、7日に川や海に流します。
元々の「乞巧奠」(きっこうでん)は技芸にまつわる行事だったので、
願い事は歌や裁縫、染折りなど技の上達にまつわるものでした。
 
梶の葉

古代Chinaの「乞巧奠」(きっこうでん)の行事が、
日本古来の習わしと合わさり、「七夕の節句」となりました。
その「乞巧奠」(きっこうでん)から伝わったのが、
梶の葉に歌を書くと歌や字が上達すると言うなら習わしです。
広々と広がる梶の葉は、
昔、神様に食べ物を供えるための器とされたことから、
神事の葉となったそうです。
まだ紙が貴重だった時代、梶の仲間の楮(こうぞ)は紙の材料として
大切にされました。
 
里芋の葉の夜露

里芋の葉のすぼみには、玉のような夜露が溜まっています。
それは自然の受け皿に授けられた「天の水」なので、
梶の葉に歌を詠む時は、その天の水で墨をすると良いとされました。
奈良や平安の宮中では、男女の恋の始まりは、歌のやり取りだったので、
歌や字が上手であることは素敵なお付き合いに繋がる意味を持ちました。
 
五色の短冊
ところで、童謡「たなばたさま」の2番は、
♫ 五色の短冊、私が書いた・・・とあるように、
願い事を書く七夕の短冊は通常、五色があります。
 
この5つの色には意味があります。
古代Chinaでは、木・火・土・金・水の五つの要素によって
自然現象や社会現象が変化するという学説「陰陽五行説」があり、
「五色の短冊」にはこれに因んだ
「青・赤・黄・白・黒」の色が定められています。
短冊としては、黒は後に紫に代わり、青は緑が使われることもあります。
 
[五行色体表]
五行
五季 土用
五臓
五腑 小腸 大腸 膀胱
五竅
五志 悲・憂 恐・驚
五色
五悪 熱・火 湿
五刻
五味
 
 
また五色は人間の五徳を表しており、それぞれの次のような意味があります。
  1. (緑):仁 (徳を積むこと)
  2.    :礼 (父母や祖先を敬うこと)
  3.    :信 (友達を大切にすること)
  4.    :義 (約束を守ること)
  5.    :智 (学問に励むこと)
 
平安時代の貴族の女性達は、
針に五色の糸を通して、裁縫が上手になるようにと祈りました。
 
 
折り鶴
「折り鶴」は長寿のシンボルで、折り鶴を1000羽折ることで、
病気が治り、長生き出来ると言われています。
折り方を教わることから、
習い事が上手になるようにという願いが込められているという説もあります。
 
織姫と彦星
2人のようにずっと仲良く、永遠の愛が続きますようにという
ロマンチックな願いが込められています。
 
星飾り
願い事が星まで届くようにという意味が込められた飾りです。
晴れて星が輝き、織姫と彦星が無事に会えることを願うという説もあります。
 
菱飾り
菱飾りは天の川をイメージしています。
菱飾りを飾らずに、輪飾りで天の川を表現することもあります。
 
輪飾り
「輪つなぎ」と呼ばれることもあります。
キレイな色で繋げた輪飾りは、
みんなの夢が繋がりますようにという祈りを込めて作ります。
折り紙を細く切って繋げるだけなので、子供と一緒に作りやすいでしょう。
 
吹き流し
「吹き流し」は、お裁縫や芸事の上達を願う飾りです。
魔除けの意味を込めて飾る風習も残っており、
鯉のぼりなどでも使われています。
紙風船やくす玉に5色の色テープを貼り付け、
織姫にお供えした織り糸に見立てています。
 
神衣・紙衣(かみこ)
紙で作った人形や着物を飾ったものが神衣・紙衣(かみこ)です。
着るものに困らないことを祈るとともに、
災いや穢れの身代わりになってもらう意味が込められています。
 
提灯(ちょうちん)
提灯は、周りを明るくしてくれる道具です。
みんなの心を明るく照らしてくれるように、
明るい未来への願いが込められています。
 
屑かご
整理整頓や節約、倹約の心を身につけることを祈った飾り物です。
屑かごの中には、飾り物を作る際に出た紙屑を少し詰めて飾るのが
ポイントです。
 
お財布・巾着(きんちゃく)
金運上昇を願った飾りです。
折り紙をお財布や巾着型に折って飾ります。
お財布は作り方が簡単なので、小さな子供にもおススメです。
 
網飾り・投網
魚を獲る網のことで、大漁・豊漁祈願のための飾り物です。
 
貝飾り
魚や貝がたくさん獲れて、食べ物に困らないようにという
豊漁を願う飾り物です。
 
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