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夏の「土用の丑の日」

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「土用の丑の日」とは、
「土用」の期間中にやってくる「丑」(うし)の日のことです。
 
「土用」の期間中に「丑」の日が2日ある場合は、
それぞれ「一の丑」、「二の丑」と言います。
今年、令和4(2022)年の夏の土用は、
「一の丑」が7月23日 [土]で、「二の丑」が8月4日 [木]になります 。
 

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「土用」とは、
暦の「立春・立夏・立秋・立冬」の直前18日間のことで、
季節の変わり目は体調を崩しやすい時期なので、
体調不良は大病を招きかねないことから、
昔から、土用の期間中は
いつも以上に注意し落ち着いて過ごすことが勧められていました。
 

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特に夏の土用の時期は
梅雨明けと重なり、
また暑さも厳しく、夏バテをしやすい時期なので、
昔から「精の付くもの」を食べる習慣がありました。
(「土用蜆」「土用餅」「土用卵」など)
 
「鰻」(うなぎ)は、ビタミンA、B群、E、Dなどの栄養が豊富。
特にビタミンAは、
100g食べれば成人の一日に必要な摂取量に達する量が含まれています。
 

 
今のように
土用に鰻を食べる習慣が一般化したきっかけは
江戸時代中頃の本草学者で、地質学者、蘭学者、医者、
殖産事業家、戯作者、浄瑠璃作者、俳人、蘭画家、
発明家として知られる平賀源内が、
夏場に鰻が売れないので何とかしたいと近所の鰻屋に相談され、
「本日、土用丑の日」
と書いた張り紙を張り出したところ、
大繁盛したことがきっかけと言う話はよく知られたところだと思います。
 
本来、鰻の旬は秋から冬。
産卵前の脂を蓄えた、味が濃くこってりしている旬の鰻に対して、
夏の鰻は人気がなかったのです。
 

 
ただ、奈良時代には既に
「鰻は精の付くもの」と認識されていたようです。
『万葉集』には、
「石麻呂に われもの申す 夏痩せに
 良しといふものぞ むなぎとりせ」

「痩す痩すも 生けらばあらむを
 はたやはた 鰻を取ると 川に流るな」
という歌があります。
 
これは、大伴家持が吉田連老よしだのむらじのおゆに贈った歌です。
この人は、大変身体が痩せていたので
「石麿」というあだ名をつけられていました。
 
「あなたのように夏痩せした人はウナギを食べるのが一番、
 どうぞウナギ取りに行ってお食べなさい」と、
ちょっとからかい気味に歌を贈った後、
本当に「石麿」さんがウナギ取りに川に行って、
水に流されて溺れて命でも失くしたら大変と心配になって、
更に次のように続けました。
「あなたは痩せに痩せていても生きているのが何より大切です。
 もしウナギ取りにいって川に流されたらそれこそ大変ですよ。」
 

 
 
ところで、近年高騰が続いてるウナギ。
1970年代頃から
ウナギの漁獲量は減少し、個体数も同様に減少し続け、
市場でのウナギの取引量はここ15年で半分以下に減少。
取引価格は3倍以上値上がりしています。
 
平成25(2013)年には、
環境省が「ニホンウナギ」を絶滅危惧種に指定。
その翌年には、国際自然保護連合(IUCN)も
「ニホンウナギ」と「アメリカウナギ」を絶滅危惧種に指定。
「絶滅危惧種IB類」と言われる
「近い将来における野生の絶滅の危険性が高い種」に選定しています。
 
令和2(2019)、3(2020)年は2年連続の豊漁で、安値だったのですが、
今年は一気にうなぎのぼりに高値になっているようです。残念😢
 

 
 
 
ところで、
「土用の丑の日」に食べるものは鰻だけではありません。
「う」の付く食べ物 を食べる習慣もあります。
(だからなぎ」

 
精がつくものと言えば、
「牛肉」や「馬肉」など。


 
 
胃に優しいものと言えば、
「うどん」「瓜」「梅干し」でしょうか。

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