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冬の雷(ふゆのらい)

 
 

冬の雷(ふゆのらい)

 
「冬の雷」(ふゆのらい)とは
「冬の雷」(ふゆのらい) とは、
その名の通り、冬に鳴る雷のことです。
雷は夏の7、8月に最も多く鳴りますが、
実は冬でも雷は発生します。
「冬の雷(冬季雷)」は
夏のような激しさはないものの、
重々しく少し鳴っては止む音は不気味で、
何かの前兆のようにも聞こえます。
 
「冬の雷(冬季雷)」が
発生する仕組み
冬型の気圧配置に伴って、
シベリア大陸からの冷たく乾いた季節風が、
本州沿岸を流れる真冬でも10度以上という
暖流(対馬海流)との温度差によって
大気が不安定になり
水蒸気を多く含む雷雲が
300m~500mの低空に発生します
(夏の雷雲は上空3千m~5千mに発生)。
 
その後、この雷雲は前線や上昇気流によって
日本海沿岸から山間部に広範囲に広がり、
雪と共に落雷が発生します。
 
「冬の雷(冬季雷)」の
発生地域
夏に多い雷が冬に発生するのは
世界的にも珍しい現象であるとされており、
日本では秋田県から鳥取県に至る
日本海沿岸、更に沿岸部だけでなく、
20~30km離れた内陸部まで広い範囲で
多く発生します。
その中でも新潟県から福井県にかけての
日本海沿岸地域は激雷地区です。
 
なお日本の日本海沿岸以外では、
ノルウェーの西岸、北米五大湖東岸のみと、
世界的にみても非常に珍しい気象現象です。
 
「冬の雷(冬季雷)」は
1970年代以降になってから注目
 
「冬の雷」は、1970年代以降になり、
北陸に原子力発電所が次々に建設され、
送電のために建てた鉄塔に
落雷が相次いだことから
注目されるようになったそうです。
 
更に1990年代になり、風力発電施設が
日本海側に建設されるようになると、
プロペラはプラスチック製ですが、
ひと冬で一つの風車に多ければ30〜50回、
平均で10回程度の落雷があるそうで、
120〜130mもある大きなプロペラも
ものともないそうです。
 
 
但し、冬は寒くて外に出る人が少ないため、「冬の雷」による人的被害は
ほとんどないようです。
 
「冬の雷(冬季雷)」の特徴
・上向き放電
「夏の雷」が下向きに放電するのに対し、
「冬の雷」は建物の先端など、
高い構造物から空に向かって放電を始めます。
 
・非常に大きなエネルギー
「冬の雷」は放電時間が長いため、
電気エネルギーが非常に大きく、
「夏の雷」のエネルギーに比べて
100倍以上に達することもあります。
 
・一発雷
「夏の雷」は何度も放電を繰り返しますが、
「冬の雷」は一発雷と呼ばれ、
しばらく鳴っては止んでしまいます。
 
・予測が難しい
「夏の雷」は午後から夕方にかけてと
ある程度発生しやすい時間帯は
決まっていますが、
日本海側で発生する「冬の雷」は、
昼夜問わず常に発雷する可能性があります。
 
更に、多数の積乱雲の中のどこかの雲が
一発だけ雷を落とすといったような感じで
発生するため、予測が難しいです。
 

寒雷(かんらい)

寒中に鳴る雷のことを
「寒雷」(かんらい)と言います。
 

雪起し(ゆきおこし)

 
雪国で雪が降る前になる雷を、
雪国の人々はこれを雪の前兆とみて、
「雪起し」(ゆきおこし) と呼びます。
 
それまで晴れていた空が
急に暗くなったかと思うと、
地響きのような重い音がして
激しい雷光と雷鳴の後、
季節風が強く吹き、雪が降り出します。
 

鰤起し(ぶりおこし)

 
石川県は、年間の雷発生日数が42.4日と
全国1位だそうです。
 
北陸では11月の終わり頃の初冬になると
猛烈な風が吹き荒れ
雷が激しく鳴り響く日があり、
このような天候のことを石川や富山では
「鰤起し」(ぶりおこし) と呼びます。
 
 
この頃に北海道の方から南下して来た鰤 (ぶり)
この雷に驚いて北陸沿岸に接近して、
鰤漁が盛んになるので、
漁師が網を「起こす」というのと、
寝ている鰤を「起こす」という意味をかけて
そう呼ぶそうです。
 
 
「鰤起し」は、
漁師には鰤漁の始まりの合図であり、
鰤の豊漁の吉兆とするものです。