令和7(2025)年6月12日(木)に発表された、
気象庁による6月14日から7月13日までの
「1か月予報」によると、
西日本から東日本は「空梅雨」が
予測されています。
空梅雨(からつゆ)とは
梅雨に入っても晴天が続き、
ほとんど雨が降らないか、
雨の日があっても短期間しか続かない場合を
「空梅雨」(からつゆ) と言います。
「照り梅雨」(てりつゆ) とも呼ばれます。
気象庁のホームページには、
「空梅雨とは、梅雨期間に
雨の日が非常に少なく、
降水量も少ない場合をいう」
と載っています。
ただ、ハッキリとした〇%以下等の数値は
記載されていません。
空梅雨となる原因
「梅雨前線」とは
「梅雨前線」(ばいうぜんせん) は、
北からの冷たい「オホーツク海高気圧」と
南からの暖かく湿った「太平洋高気圧」が
ぶつかり合って出来る前線です。
「太平洋高気圧」の早期発達
「太平洋高気圧」が例年より早く発達すると、
「梅雨前線」を北へ押し上げてしまい、
日本列島は高気圧に覆われやすくなります。
その結果、そのまま夏空に突入し、
雨が降りにくくなり、
「空梅雨」になることがあります。
特に青森、秋田、岩手の北東北地方においては
「空梅雨」になる確率がかなり高いです。
年によっては「梅雨入り」発表が
されないこともあります。
「オホーツク海高気圧」が強く発達
「オホーツク海高気圧」が強く発達すると、
冷たく湿った北東風が吹き、
「梅雨前線」が北上しにくくなり、
南下して消えてしまう場合などに
「空梅雨」になることがあります。
この場合、「オホーツク海高気圧」の影響で
冷たい風が吹きやすく、気温が上がりにくい、
いわゆる「やませ」が発生しやすくなり、
「梅雨冷え」(つゆびえ)とか「梅雨寒」(つゆざむ)
と呼ばれる状況になることがあります。
これにより、日照時間が短くなり、
農作物への影響も懸念されます。
「偏西風」の蛇行
日本付近を西から東へ流れる
「偏西風」が大きく蛇行すると、
気圧配置が大きく変化し、
「梅雨前線」の活動にも影響を与え、
「梅雨」の期間や雨量に変化をもたらすことが
あります。
「偏西風」が平年より北に蛇行すると、
「太平洋高気圧」が北に張り出し、
「梅雨前線」を押し上げ、
「空梅雨」になったり、
「梅雨明け」が早まったりする場合があります。
一方「偏西風」が平年より南に蛇行すると、
本来は日本を覆うはずの「太平洋高気圧」が
南に押しやられ、勢力が弱まり、
それによる「梅雨前線」の不活発化が、
「空梅雨」の主な原因となります。
なお「偏西風」が強く吹くと、
「梅雨前線」が刺激され、活発化し、
暖かく湿った空気と
冷たく乾燥した空気の境目で上昇気流が発生し、
積乱雲が発達しやすくなります。
その結果、大雨や洪水などの気象災害が起こる
可能性が高まります。
逆に「偏西風」が弱まると、
「梅雨前線」が停滞しやすくなり、
同じ場所で長時間雨が降り続くことがあり、
河川の氾濫や土砂災害などの被害が発生する
可能性があります
空梅雨の影響
水不足

「梅雨」の雨は、日本の夏を乗り切る
貴重な水資源でもあります。
梅雨の期間は、年間雨量の20~30%に相当する
雨が降ります。
例えば東京では、年間降雨量は約1400㎜、
そのうち梅雨期間の雨量は約300㎜です。
ですから、「空梅雨」で一番困るのは
「水不足」です。

日本の水道水のほとんどは、
ダムに溜めた雨水に頼っています。
「梅雨」の間に雨が降らないと、
夏に使える水が用意出来ません。
水不足になると水道の勢いが弱くなったり、
断水になったりします。

[参考]水資源機構「水源情報」
昔は、恵みの雨を求めて、
神社では「雨乞いのお祈り」が行われました。

農作物などの生育に大きな影響
「空梅雨」は農作物に様々な影響を与えます。
特に「水不足」は、
野菜や米の収穫量減少に繋がり、
価格高騰の原因となる可能性があります。
暑くなる
雨が降らないので、毎日晴天で、
とても暑い日が続きます。
また「梅雨」の時期は
昼の時間が一番長くなるため、長時間、
太陽が照りつけ、夜でも気温が下がらず、
地面や空気を冷やせません。
スズメバチの大量発生

「空梅雨」で雨が少なくて暑い毎日が続くと、
昆虫が大発生しやすくなります。
農作物について悪さをする害虫も増えますが、
街中では、スズメバチの巣が多くなると
言われています。
経済的にはイイことも

「空梅雨」では、天気が良いので、
海や避暑地など行楽地へ出掛ける人が増えます。
また気温が高い日が多くなるため、
性能の良いエアコンへの買い替え需要が増え、
夏服、アイスクリームや清涼飲料水、
ビールなどの夏物消費が盛り上がり、
景気が良くなる場合があります。ます。