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夏バテを防ぐスタミナ食「泥鰌料理」(どじょうりょうり)

「土用の丑の日」と言えば、
「鰻」(うなぎ)の独占市場ですが、
この時季が旬の「泥鰌」(どじょう)
「鰻」(うなぎ)に劣らぬ栄養価の高さで、
古くから各地で夏バテを防ぐスタミナ食として
重宝されてきました。
 
 

「泥鰌料理」は
江戸から続く夏の風物詩

 
夏と言えば、「土用の丑の日」に
「鰻」(うなぎ)を食べるのが一般的ですが、
元々、「夏の土用」に食べるといいと
言われていたのは「う」のつくもの。
夏場に売上が伸びないという
鰻屋からの相談を受けた平賀源内が書いた
「本日土用の丑の日」の張り紙を出したところ、
大繁盛となり、いつのまにか鰻の独占市場になってしまいました。
 

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日本では古くから日常的に食されてきた魚で、
同じように、細長くてニョロニョロしている
「泥鰌」(どじょう)も、実は、
全国各地で夏バテを防ぐ身近な食材として
親しまれてきました。
 
泥鰌(どじょう)とは
 
「泥鰌」(どじょう)は、コイ目ドジョウ科の
水田や湿地に住む小型の淡水魚です。
人々の身近な生き物で、
生かしたまま維持しやすく、
川魚にありがちな臭みもほとんどないため、
北海道から沖縄県まで日本全国各地で
食用として扱われてきました。
これほど広い地域で食用とされてきた魚類は
珍しいそうです。
 
「泥鰌」(どじょう)
縁起の良い食べ物⁈
 
「泥鰌」(どじょう)は食用としてだけではなく、
魚でありながら湿った状態であれば
土中でも生き続ける生命力や、
繁殖力の高さから神事や祭事とも結びつき、
おめでたい魚としてお供えしたり、
「身代わりどじょう」を放つことで
厄払いや供養を行う地域もあります。
 
「泥鰌」(どじょう)の栄養価
 
「泥鰌1匹分の栄養価は 鰻1匹分に匹敵する」
と昔から言われてきました。
 
実際、「泥鰌」(どじょう)は、
「鰻」(うなぎ)よりも脂肪分が少ないものの、
ビタミンやミネラルが豊富に含まれる他、
骨ごと食べることが多いため、
栄養分をそのまま取り入れることが出来る
食材として親しまれてきました。
 
たんぱく質やカルシウムが豊富で、
特にカルシウムは鰻の9倍も含まれています。
鉄分やビタミンD1といったミネラルも多く、
女性には嬉しいコラーゲンやグルコサミンも
摂取することが出来ます。
 
江戸っ子の庶民の味「どじょう汁」
 
江戸時代の頃には、江戸の水田で
泥鰌が大量に捕獲されていたことから、
手頃な値段とあっさりした食味が愛され、
郷土料理として汁や鍋などの
「どじょう」料理が発展しました。
 
 
どんぶり飯に
味噌や七味唐辛子や山椒で味付けした
「泥鰌」の入った汁をかけた「どじょう汁」が
夏バテを防ぐスタミナ食としていたようです。
江戸っ子は暑い盛りに汗だくになって、
つゆだくの「どじょう汁」をサラサラッと
かきこんだようです。
今も泥鰌の老舗として有名な「駒形どぜう」は、
徳川十一代将軍・家斉時代の享和元(1801)年に
創業しました。
その時に売り出されたのが
「どぢやう(どじょう)鍋」です。
 
文化3(1806)年、「駒形どぜう」は
火事で店が焼けてしまったときに
「どぢやう」の4文字では縁起が悪いと、
奇数文字の「どぜう」と変えたところ、
これが評判になり、店は繁盛しました。
江戸末期には他のお店もマネをして、
看板を「どぜう」に書きかえたそうです。
 

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泥鰌料理

東京のどじょう鍋

「泥鰌」日本各地で食べられていますが、
専門の料理店が多数集結するのは東京です。
一口に「どじょう鍋」と言っても、
お店によって調理方法や味付けが違います。
東京で親しまれている3種類の
「どじょう鍋」の特徴を紹介します。
 
丸鍋(まるなべ)
見た目が多少(?)グロテスクなため、
通好みの一品です。
骨が柔らかくなるまで下煮した泥鰌を、
笹がき牛蒡と一緒に濃いめの出汁で煮込み、
仕上げにネギの輪切りをたっぷりのせたもの
です。
 
抜き鍋(ぬきなべ)
泥鰌の骨が苦手な人や泥鰌初心者に
おススメの一品です。
笹がき牛蒡の上に
背開きにして頭と骨を取り除いた泥鰌を
並べて割り下で煮たものです。
お好みで山椒や七味をかけてどうぞ。
 
どじょうの「柳川鍋」
「柳川鍋」は実は江戸で発明された料理です。
「柳川」という種類の土鍋を使ったことが
名前の由来という説があります。
「柳川鍋」は 背開きにして頭と骨を取り除き、
笹がき牛蒡の上に並べて濃いめのタレで煮て、
玉子でとじたものです。
 

金沢の伝統食「唐揚げ」「蒲焼き」

 
石川県金沢市では「どじょう料理」が有名です。
鰻の代わりに、「どじょうの蒲焼き」が
食べられてきました。
近江町市場では特産の加賀野菜などとともに、
串に刺した「どじょう蒲焼き」が売られており、
手軽に食べることが出来ます。
 
どじょうの唐揚げ
片栗粉をまぶして、まるごと揚げたものです。
骨は全く気にならずに、
スナック感覚で食べることが出来ます。
泥鰌の見た目が苦手な人にもおススメです。
 
どじょうの蒲焼き(串焼き)
 
泥鰌を開いて串刺しにし、
甘辛いタレをつけて蒲焼きにしたものです。
脂肪分が少ないため、
鰻の蒲焼きよりもあっさりしています。
 

香川のどじょううどん

 
香川県と言えば「さぬきうどん」が有名ですが、
さぬき市などの土器川 (どきがわ) 流域では
どじょう入りの味噌仕立ての煮込みうどん
「どじょううどん」が名物です。
 

どじょうの甘露煮

照りが出るように、
泥鰌を骨が柔らかくなるまで甘辛く煮たもの
です。
ご飯にもお酒にも合います。
煮詰めてあるので日持ちがします。