
筍 (たけのこ) は成長するにつれて、
猪や狐などの動物に食べられないように、
何枚も重なって守っていた表面の皮が
下の方から、一枚一枚、
自然と剥がれ落ちていきます。
竹が皮を脱いでいくように見えるので、
「竹の皮脱ぐ」(たけのかわぬぐ) と言います。

日本に生育している代表的な種は、
「孟宗竹」(もうそうちく) 「淡竹」(はちく) ・
「真竹」(まだけ) の3種類です。
これらの竹の新芽である「筍」の出る時期は、
それぞれ「旬」の時期が異なります。
・孟宗竹 :3月初旬~5月中旬
・淡竹・真竹 :4月半ば~5月下旬
・根曲がり竹(姫竹):5月下旬~6月
・寒山竹 :7~8月頃
・四方竹 :10月
初夏、地上に出た「筍」は、
眼を見張る勢いで生長し、それに従い、
下方の節から順に鱗片状の皮を徐々に脱いで
「若竹」(わかたけ) となります。
「竹」と同じイネ科タケ亜科の植物である
「笹」も筍から成長しますが、
「竹」が成長すると筍の皮が剥がれて
ツルツルになるのに対し、
「笹」は成長しても筍の皮は残ったままです。マダケ、ハチクのように皮が成長後、
脱落するものを「竹」、
クマザサ、チマキザサ、ヤダケのように
皮が腐るまで脱落しないものを「笹」と
呼ぶのだそうです。
竹が皮を脱ぐ時期は、
竹の種類によって少し異なりますが、
一般的に「梅雨」の前後、
例年6月中旬から7月上旬の頃になります。
そして皮が全部落ちるのに掛かる時間は
大体30日で、全て落ちる時には
煮ても焼いても食べることの出来ないほど
硬い「竹」になっています。

そしてその昔、先人達はこの竹の皮を拾って、
草履や笠を編んだり、また防腐を防ぐために
食品を包むのに用いられてきました。

剥がそうとするとキレイに取れないため、
自然に剥がれかけているのを取るか、
既に落ちている皮を拾って利用したのです。
淡竹 (はちく) ・孟宗竹 (もうそうちく) なら30〜40㎝、真竹 (まだけ) なら60㎝前後と長めの
竹の皮が採れます。
外来の「孟宗竹」の皮には、
多数の毛が付着しているため
利用されることはあまりありません。
一方古い時代より日本に生育している
「真竹」の皮は、平滑で黒い斑紋があり、
全く毛がなく滑らかで幅広く大きいため、
古くから、竹皮細工の材料や食品を包む
役割として利用されてきました。
竹の皮には「フラボノイド」という
抗菌作用の高い色素成分や、
葉緑素、脂肪酸という抗菌性、脱臭性のある
成分が含まれている上、
蝋質性の物質が含まれていることから
撥水性が高く、その反面、
余分な水分を防ぐ吸湿性も優れています。

例えばおにぎりを包んだ場合、
時間の経過で乾燥しても、
その水分を還元しながら湿度を保つ一方、
皮の気孔から適度に風を通して
防腐効果も作用するので、
しっとり美味しい状態を保ちやすいです。
正に、竹の皮は食材を守るのにピッタリの素材
なのです。
そのため、天然の包装材として
古くから食品の防腐を防ぐための包装材として
重宝していたそうです。
特に江戸時代中期に入ると、
食べ物を包む竹の皮のニーズが一層高まり、
竹の皮を売り歩く商人が誕生し、
漬物やおにぎり、寿司、味噌や菓子まで
竹の皮で包まれるようになりました。
ところが江戸末期になると、
竹が一斉に枯れてしまったことから、
竹皮不足に陥ります。
竹というのは不思議な生き物で、
約60年に1度だけ花を咲かせせた後、
枯れてしまうと言われています。
江戸末期、一斉に竹の花が咲き、
そして枯れてしまったことにより、
深刻な竹皮不足に陥ってしまったのです。
今では色々な素材のものがある事に加えて、
輸入の竹の皮が大量に入っているため、
国産の竹の皮は、余り顧みられることが
なくなってしまっています。
ですが現在も、高級ブランドの和牛などには
国産のものが選ばれ続けています。

竹の皮は包んで持ち運べる以外にも
色んな使い方が出来ます。
水分に強い性質を活かして
蒸し器の下敷きにしたり、
煮物料理の鍋底に敷くと、
沸騰の気泡が直接当たらないため
魚や野菜の煮崩れを防げます。
また料理の盛りつけに使えば、
テーブルに風情を添えることも出来ます。

国産の竹の皮を利用してみませんか?