「立春」以降、春に入ってから降る雪を
「春の雪(春雪)」と言います。
南岸低気圧
1月下旬から2月上旬の
1年間で最も寒い時期が過ぎ、
2月から3月にかけては
気温が上がっていく時期となりますが、
日本列島の太平洋側を中心に
この時期が最も大雪が降る時期というのは
ご存じでしょうか。
この時期に、日本の南海上を発達しながら
東から北東の方向に進む低気圧を
「南岸低気圧」(なんがんていきあつ)と言います。
因みに低気圧が日本海を通る場合は
「日本海低気圧」と呼ばれ、
暖かい南風が吹いて春一番をもたらします。「南岸低気圧」も「日本海低気圧」も
仕組みは同じですが、通る場所によって
気象状況が大きく異なることから
名前が異なっています。
最も寒い時期は、冬型の気圧配置が続くため、「南岸低気圧」は少ないのですが、
2月から3月にかけては、冬型が崩れてくるため、
「南岸低気圧」が多くなります。
「南岸低気圧」による雪は、気象庁が
「予報の難しい現象」の一つとしています。
低気圧が通過するコースの多少のズレで
「雪」か「雨」かが変わり、
大雪になる可能性もあるからです。
「南岸低気圧」に備えるために大切なことは、
まず「雪」が降ることを前提に行動すること
です。
・積雪や路面凍結による交通障害や事故
・大雪による視程障害
(空気中の雪により景色が見えにくくなる)
・雪道を歩行することによる転倒
水分を多く含んだ湿った雪になりやすいため、
着雪害にも注意が必要です。
・着雪した送電線が断線することによる
停電
・着雪した樹木が折れる被害
また「南岸低気圧」は
発達することが多くあるため、
雪以外でも、寒暖の差が大きくなったり、
暴風・暴風雪・高波などの災害に
警戒が必要な低気圧です。
「南岸低気圧」接近時には
早めに用事を済ませて、
「外出を控える」「運転は控える」などの
対策をしましょう。
春の雪(春雪)
春になって降る雪のことで、
かなり温暖になってから
思いがけず降ることが多いです。
雪片は大きくて、積もらなく消えやすい。
また同じ雪でも、冬とは違って
「春の雪」には明るい感じがあります。
淡雪(あわゆき)
春の雪は解けやすいので
「淡雪」「泡雪」「沫雪」(あわゆき) とも
呼ばれます。
この雪は雪片が大きくなるので、
「綿雪」「かたびら雪」などとも呼ばれます。
冬より地表の温度も高いため、
降ってもたちまち消えてゆくので、
「淡雪」という言葉には
これを惜しむ思いがあります。
斑雪(はだれ)
「はだれ」は「斑」(まだら) と同じ意味で、
斑 (まだら) に積もった春の雪景色のことです。
春の雪は解けやすいのですが、
日差しや地形によりすぐ解ける所と、
降り積もった雪が残った所が出来て、
斑に溶け残ります。
また、はらはらと降る雪を
「はだれ雪」と呼ぶ地方があり、
「斑雪」を「春雪」の降る様子にも使います。
春の霙(はるのみぞれ)
「霙」(みぞれ) とは、
雪と雨が同時に降る現象の事で、
雨から雪、雪から雨に変わる時に
見られます。
なお気象庁では、「みぞれ」が降った際、
「雪」として記録します。
沖縄気象台では、観測開始以降、
沖縄地方で「雪」が2度記録されています。
昭和52(1977)年2月17日の久米島と、
平成28(2016)年1月24日から25日の
久米島や名護で観測されたものですが、
実はこれは「霙」(みぞれ) でした。
終雪(しゅうせつ)
その年の春の最後の雪、降り終いの雪を
「終雪」(しゅうせつ)と言い、
「終雪」となった日のことを
「終雪日」(しゅうせつび)と言います。
気象庁によると、
「この冬最後に降る雪。みぞれでもよい。」
と定義されています。
「終雪」の平年日は、
東京や大阪で3月11日、
札幌では4月19日となっています。
<終雪の平年日>
都市名 | 終雪平年日 |
札幌 | 4月19日 |
青森 | 4月14日 |
盛岡 | 4月16日 |
仙台 | 4月07日 |
秋田 | 4月06日 |
山形 | 4月08日 |
福島 | 4月04日 |
水戸 | 3月14日 |
宇都宮 | 3月22日 |
前橋 | 3月22日 |
熊谷 | 3月09日 |
銚子 | 3月02日 |
東京 | 3月11日 |
横浜 | 3月11日 |
新潟 | 3月30日 |
富山 | 3月29日 |
金沢 | 3月28日 |
福井 | 3月26日 |
甲府 | 3月12日 |
長野 | 4月06日 |
岐阜 | 3月16日 |
静岡 | 2月09日 |
名古屋 | 3月07日 |
津 | 3月15日 |
彦根 | 3月22日 |
京都 | 3月20日 |
大阪 | 3月11日 |
神戸 | 3月15日 |
奈良 | 3月17日 |
和歌山 | 3月04日 |
鳥取 | 3月25日 |
松江 | 3月21日 |
岡山 | 3月10日 |
広島 | 3月11日 |
下関 | 3月03日 |
徳島 | 3月03日 |
高松 | 3月01日 |
松山 | 2月25日 |
高知 | 2月19日 |
福岡 | 3月05日 |
佐賀 | 2月28日 |
長崎 | 2月28日 |
熊本 | 2月23日 |
大分 | 2月27日 |
宮崎 | 2月07日 |
鹿児島 | 2月16日 |
那覇 |
(統計期間:1981~2010年)