「お花見」の起源を遡れば、
「田の神信仰」に結び付くと言われます。
「桜(さくら)」の語源には諸説ありますが、
「さ」は田の神様を意味し、
「くら」は田の神様が座る場所を指す古語で、
このふたつが組み合わさって
「さくら」となったというものです。
田の神様は冬になると「山の神」となり、
春になると里に降りてきて
「桜」の木に宿ります。
そして稲の種蒔きの準備をする頃になると
その合図に桜の花を咲かせると信じられて
いました。
人々は「桜」の花が咲くと、
田の神様を迎えるために
「桜」の木の下で
料理や酒を用意してもてなし、
今年の豊作と無病息災を祈願。
「桜」の咲き具合によって、
その年の米出来高を占ったり、
「厄除け」をしていたとも言われています。
そして一緒に料理や酒をいただくことが、
今に続く「お花見」の由来になったのだ
そうです。
田植が始まると、
田の神様は田んぼに移って農事を見守ります。
そして無事に田植えが終わるのを見届けると、
また山に帰って行くのですが、
人々は今度は「早苗饗」(さなぶり)という
田植え終了の祝宴を開いて、
山にのぼる神を見送ったのでした。
自然への深い畏敬と稲作を基盤とした社会が
紡いできた、日本らしい農耕儀礼なのです。