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「盂蘭盆会」(うらぼんえ)という言葉の由来②「ウルヴァン(死者の霊魂)」説

 
「盂蘭盆会」(うらぼん) という言葉については、紀元前5世紀頃に成立した「仏教」よりも
更にその起源が古い、古代イランの宗教の
「ゾロアスター教」に由来を持つ言葉
「ウルヴァン(死者の霊魂)」を起源とする
説もあります。
 
「お盆」が「盂蘭盆会」(うらぼんえ) の略である
ことはよく知られていることですが、
これは「盂蘭盆経」という経典に基づいて、
「盂蘭盆」に当るサンスクリット語が「ullambana (ウランバーナ) 」であり、
この言葉は 「倒懸=逆さ吊り」 を意味することも
また知られています。
 
ただ根拠が不確かだとして、
かつてインド哲学者の岩本裕さんが
『仏教説話研究4地獄めぐりの文学』の中で、
古代イランのゾロアスター教の
「urvan(ウルヴァン)」説を展開しています。
 
西暦1世紀から後の数世紀における
このような文化交流のあとを考察するとき、 外来語として梵語およびその俗語ないしは
中央アジアの諸言語では理解されない
「盂蘭盆」の言語は、イランの言語で
「霊魂」を意味する「ウルヴァン urvan」
(ソグド語 rw'n, 'rw'n)であったと考えられる。
「ウルヴァン」 とは既にゾロアスター教以前の
宗教において弘く「霊魂」の意味する語で
あるが、特に「死者の霊魂」を意味し、
死後の審判を受けるものとされた。
ある人の「ウルヴァン」は死後に
その「フラヴァシ(fravaśi)」と合一すると
信ぜられた。
「フラヴァシ」は元来「守護」を意味し、
敬虔な信者の霊的な原質を表す術語である。
また、時に「守護神」としても表象される。
 
 
 
「ゾロアスター教」は、紀元前7~6世紀頃に
「原イラン多神教」の祭司であった
ザラスシュトラ・スピターマによって
古代ペルシア(現在のイラン)で創設された
世界最古の宗教の1つです。
光明神 (善神) であるアフラ=マズダを最高神とし
その象徴として「火」を崇拝するので
「拝火教」とも言われています。
 
紀元3世紀頃には
「ササン朝ペルシア」の国教とされ、
教義や祭祀も整備されていき、
6世紀にはゾロアスター教の聖典
『アヴェスター』も編纂されました。
 
 
7世紀に「イスラム教」がイランに進出したで
衰退し、ほぼ消滅してしまいました。
一部の信徒はインドに逃れ、
「パールスィー」と呼ばれて、
現在も「ゾロアスター教」の信仰を続けて
います。
 
 
またシルクロードの交易で活躍した
イラン系ソグドの商人らは西暦1世紀頃には
Chinaに進出しており、
5世紀頃(南北朝、北魏の時期)には
現在の甘粛省凉州に多くのソグド人が居留し、
唐代には「ゾロアスター教」は
「祆教」(けんきょう) として栄えました。
唐代・玄宗皇帝に使えて叛乱を起こした
安禄山は突厥とソグドの混血です。
  
 
そしてChinaの「中元節」における
祖霊供養の祭祀と結びつけられ、
日本のお盆の行事に繋がったとされています。
 
また「ゾロアスター教」において、
「URVAN(ウルヴァン)」の祭祀は、
死者の霊の鎮魂を願うと同時に
農作物の豊作を祝う収穫祭としも
位置づけられていました。
 
なお、「祆教」は
9世紀には唐の武宗によって弾圧されて、
勢力を失ってしまいました。