うまずたゆまず

コツコツと

「十五夜」の別名


1年で最も美しいとされる「十五夜」を
古来から、様々な呼び名で呼んできました。
 
 

今日の月(きょうのつき)

十五夜の月のこと。
一年の中でまさにこの夜の月という意味。
 

三五夜(さんごや)

「三五夜」(さんごや) とは、三×五=十五の
言葉遊びです。
 
唐の詩人・白楽天(白居易)が、
遠方の地に左遷された親友の元稹(げんしん)
思って詠んだ漢詩、
「三五夜中 (やちゅう) の新月の色
 二千里の外 (ほか) の故人の心」
- 意訳 -
遠く二千里の彼方にいる君(元稹)は、
「自分が見ているのと同じこの月を
 どんな思いで見ているのだろうか」
から来ています。
 
また『平家物語』には、
「三五夜の中の新月白くさえ」という
一文があります。
「十五夜の夜中に昇り始めた月は
 白く冴えている」という意味です。
 

満月

全面が隈なく輝く、まん丸い月のこと。
月は太陽の光を反射して輝くので、
月は夕方東の空より上り、真夜中に南中し、
明け方には西の空に沈みます。
つまり夜通し照り輝いている月です。
なお「満月」になると急に明るくなりますが、
これは「弦月」の明るさの12倍だそうです。
 

望月(もちづき)

満月を「望」とも言います。
この「望」は、「月」の字が書かれるように
「月」が満ちることですが、元々は
「遠くて見難いものを見ようとすること」
「まだかまだかと、
 得難いものを求めようとすること」
を表す漢字です。
それが転じて、
「何の不足もなく満ちた様」や
「非の打ちどころない美しさ」を
形容する言葉となりましった。
 

最中の月(もなかのつき)

「最中」は真ん中、中心という意味で、
「最中の月」はちょうど
「十五夜」の満月のことです。
和菓子の「最中」はこの月をイメージして、
まん丸く作られました。
 
『最中』という名前の起源は、
今から約1200年前の平安時代まで遡ります。
三十六歌仙の一人、源順(みなもとのしたごう)
宮中の月見の宴で出された白い丸餅の菓子が
「中秋の名月」に似ていたことから、
次のような和歌を詠みました。
水の面に 照る月なみを かぞふれば
今宵ぞ秋の 最中 (もなか) なりける

池の水面に映る月が美しいと感じるのは、
「最中の月」だから
『拾遺和歌集』より
 
それから約1,000年後の江戸時代。
江戸吉原の煎餅屋「竹村伊勢」が
現在の「最中」の起源とも呼べる菓子に
上句に因んだ名前「最中の月」をつけて
売り出しました。
この「最中の月」は、もち米粉から出来た
煎餅に砂糖をまぶしたもので、
現在の皮で餡を挟んだものではありません
でした。
 
その後「最中の月」に餡を挟んだ
「最中饅頭」が様々な和菓子屋で売り出され
これが略され「最中」として定着したと
言われています。
 

天満月(あまみつつき)

空いっぱいに光り輝く満月のことです。
 

名月(めいげつ)

「十五夜の月」または
「旧暦9月13日の夜の月」(十三夜) のこと。
十五夜の月を「初名月」、
陰暦の九月十三日を「後の月」とも言います。
 
一年中でこの月が最も澄んで美しいとされ、
秋もたけなわ、虫の声も庭の花も草の露も、
揃って陰影に富んだ趣を月に添えてくれます。
 

明月(めいげつ)

曇りなく澄み渡った満月のこと、
または「名月」の意味でも用いられています。
Chinaでは満月の頃の月は
全て「明月」と称するそうです。
 

良夜(りょうや)

主に「十五夜」、
更には「十三夜」にも用いられます。
秋の月が皓々 (こうこう) と照る美しい夜のこと。
月光が鮮やかに中天にあり、
清明なる夜を楽しむのである。
「良宵」とか「佳宵」とも言います。
 
北宋の文人で、唐宋八大家と呼ばれた
蘇東坡(そとうば)は、
『後赤壁賦』(ごせきへきのふ)の中で、
「月白く風清し。この良夜を如何せん」
と詠んでいるように、
「良夜」とは、元々月があまねく光り、
清明な夜のことを言います。
 
また、兼好法師は『徒然草』の中で、
「八月十五日、九月十三日は
 婁宿 (ろうしゅく) なり。
 この宿、清明なる故に、
 月を翫ぶ (もてあそぶ) に良夜 (りょうや) とす」
と記していますが、これは、
「(旧暦)八月十五日、九月十三日は婁宿である。
 この婁宿という星座は清く明るいために、
 (それに当たる日は) 月を賞味するのに
 良い夜である。」という意味です。
「婁宿」(ろうしゅく・たたらぼし) は、
古代Chinaの天文学において、黄道に沿って
天球を二十八に区分して星座の位置を明らかにした「二十八宿」の一つです。
 

皓月(こうげつ)

「皓」は白く光る様を言いますので、
白光を放っている月、
明るく照り輝く月という意味です。
 

郎月(ろうげつ)

明るく澄み渡った月、「明月」のこと。
旧暦8月15日の十五夜の月のこと。
 

佳月(かげつ)

見惚れるような月のこと。
特に陰暦八月十五日の名月を言います。
 

素月(そげつ)

「素」とは、元々出来たばかりの
絹糸の美しい白さを言います。
「素月」はその絹糸のように
白く美しい光の月のこと。
特に陰暦八月十五日の名月を言います。
 

十五夜の夜のこと

月夕(げっせき)
月の明るい夜のこと。
特に陰暦八月十五日の夜を言います。
 
可惜夜(あたらよ)
夜が明けるのが惜しいと思うような
素晴らしい夜のことを言います。
 

芋名月(いもめいげつ)

陰暦8月15日の夜の月「十五夜」のこと。
月に団子、ススキなどの他、
里芋の子芋を皮付きで茹でた
「衣被」(きぬかつぎ)を供えるところから、
このように呼ばれるようになりました。
 
「お月見」は、豊作を祝う行事でもあります。
主に東北の各地では、秋の収穫を祝って、
里芋の入った鍋料理を頂く
芋煮会」が行われています。

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