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釜蓋朔日(かまぶたついたち)

七月朔日ついたちは「地獄の釜の蓋が開いて精霊が出てくる日」ということで、
釜蓋朔日かまぶたついたち」「釜蓋あき」「釜の口あけ」などと言い、
地獄に閉じこめられている精霊が蓋の開いた釜の口から飛び出します。
 

 
地獄からの道のりは遠く、そこから13日間かけて帰って来ます。
御先祖様がお盆に間に合うためには、七月朔日ついたちでなければならないのです。
この日からお盆が始まる(=「盆入り」)とする地域が全国的に見られます。
 

 
この日、茄子畑や芋畑などに行って大地に耳を当てると、
地獄の釜の蓋が開く音がするとか、亡霊の叫び声が聞こえるとか、
御先祖様はこの日を待ちかねたように飛び出す音が聞こえるため、
急いで盆の準備に取り掛からなければなりません。
 

 
御先祖様をお迎えるために、
墓までの道などを予め掃除し、草を刈って、
御先祖様の通り道を作ります。
これを「盆路作りぼんみちつくり」「朔日路ついたちみち」「刈り路作りかりみちづくり」などと言います。
それから12月の「煤払い」と同じように、
盆煤掃きぼんすすはき」と言って墓の掃除をする習わしもあります。
 

 
新盆の家では、霊が道に迷わないように
家の場所が遠くからでも見えるように
釜蓋朔日かまぶたついたちに「高灯籠」を立てて、これを盆の月一杯掲げ続けます。
高く立てれば立てるほどよいと言われていて、
10m以上もある棹を立てて提灯を吊るします。
 

 
栃木県の那須地方には、
旧暦の七月朔日ついたち(8月1日)に釜の蓋が開いたことを喜び、
釜の蓋まんじゅう」という名の炭酸まんじゅうを作って、
それを笹の葉を敷いてお供えし、その後みんなで食べる風習があります。
 

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炭酸まんじゅうを13個お供えして、
御先祖様が1日1個腹ごしらえに食べる為、
お迎えする人は食べてはいけないとか、
御先祖様が迷子にならないように
お墓から家までの道のりに炭酸まんじゅうをいくつかお供えするとか、
人や家庭によって言い伝えは様々のようです。
 
なお、「釜蓋朔日かまぶたついたち」は「お盆の月の始まりの日」なので、
お盆行事が月遅れで行われている地域では、
この「釜蓋朔日かまぶたついたち」も月遅れの8月1日に行われています。
 

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