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きゅうり封じ

 

「きゅうり封じ」とは、
梅雨が明け、本格的な暑さが始まる
「土用丑の日」に行われる
無病息災を願って
「きゅうり」に病を封じ込める
厄除けの伝統行事で、
「きゅうり加持 (きうり加持) 」とも言います。
 
 

きゅうり封じ

「きゅうり」封じとは
「きゅうり封じ」は、
年に1回、夏の真っ盛りの、
体力や免疫力が低下しやすい
「土用の丑の日」に、
人の立ち姿に似ている胡瓜 (きゅうり)
その人の身代わりになってもらって、
病根、願いを邪魔する邪気を封じ込めために
祈祷や儀式を行って、
人々の苦しみや病気を取り除くという
ものです。
 
「きゅうり封じ」のやり方
参拝者は、まず、名前や病名などを紙に記し、
その紙を胡瓜 (きゅうり) に巻き付けます。
住職や神職から
厄病除けの加持祈祷を受けた後、
体の悪い部分をその胡瓜 (きゅうり) で撫で、
家に持ち帰ってから土に埋めるか、
神社境内内の胡瓜塚などに納めて、
病気平癒を祈願します。
 
土の中できゅうりが腐っていくにつれて
病も災いも消滅するとか、
大部分が水分でできている胡瓜 (きゅうり)
体の悪いところを撫でると、
その水分に悪い部分が溶け出すとも
言われています。
 
「きゅうり封じ」の起源
この「きゅうり封じ」は、
弘法大師・空海が始めたとされる
真言密教の秘法で、不動明王を本尊として、
きゅうりに病気や災厄を封じ込めることで、
無病息災を祈願するものです。
 
この秘法は、空海が、
今から約1200年前に唐から持ち帰ったとか
聖徳太子の御廟の参籠中に感得されたとか
言われている他、
修行で疲弊した空海が、
健康を回復するために薬師如来の前で
キュウリに病魔・悪鬼を封じ込め、
病を癒し自らの生命力を増進させ
無病息災を得られたという故事に由来する
という説もあります。
 

夏の厄病除けに利用されてきた
「胡瓜」

ところで、この夏野菜の「胡瓜」(きゅうり) は、
夏の「疫病除け」に関連する行事や風習で
登場することがよくあります。
 
「祇園祭」と胡瓜断ち
「祇園祭」の期間中は、胡瓜を食べない
「胡瓜断ち」という風習があります。
八坂神社の御神紋
「五瓜に唐花」(ごかにからはな) が、
胡瓜を輪切りにした時の断面の模様に
似ているところから、
「御神紋とそっくりな胡瓜を
 口にするなんて、恐れ多い」と、
昔から氏子の人達は
「祇園祭」が行われるひと月の間、
胡瓜を食することを封じる慣わしがあるの
です。
 
「博多祇園山笠」と胡瓜断ち
「博多祇園山笠」でも、山笠期間中は
胡瓜を食べない「胡瓜断ち」の風習があります。
胡瓜を輪切りにした時の切り口が、
山笠の祭神・祗園神(スサオノミコト)の
御神紋「木瓜」(ぼけ) の花に似ている所から
「御神紋を口に入れることは
 畏れ多くも憚れる」と氏子が食べることを
遠慮したことことからと言われています。
一説によると、京都の祇園社に織田信長が、
織田家の家紋「織田木瓜」(おだもっこう)
つけて寄進したという話を、博多っ子が
「木瓜」を「きゅうり」と読んでしまい、
櫛田の紋と結びつけてしまったのではないか
という説もあります。
 
それから700年以上経った現在でも、
山笠を舁く (かつぐ) 人々は、
7月1日から7月15日の間は
料理に入っている胡瓜は摘まみ出しますし、
小学校の給食献立表には
「キュウリ」の文字はありません。
 
三つ葉葵
江戸時代には、胡瓜の切り口が
徳川家の家紋「三つ葉葵」に似ているため、
武士の間で食べることを遠慮されたという説も
あります。
 
夏の無病息災
一部の地域では、
「お盆」や「夏越の祓」の際に、
きゅうりを供えて、
無病息災を祈願する風習があります。
 
水の子
「水の子」は、「餓鬼」へのお供えの一つで、
胡瓜や茄子を賽の目に切って、
洗ったお米を混ぜたものを
蓮の葉の上に盛り付けて、
水を張った器に浮かべたものです。

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夏バテ対策に胡瓜

胡瓜のほどんどは水分で、
「カリウム」を多く含んでいることから、
夏バテ対策に効果的な野菜です。
「夏バテ」というのは、
カリウムが汗とともに失われて起こる
「低カリウム血症」が原因なことが多いとも
言われています。
 
「カリウム」は、体内の余分な
ナトリウムの排泄も促すため、
血圧を下げる作用の他、
血液をアルカリ性にする働きもあります。
むくみ改善、疲労回復効果なども期待出来ます。
 
また、体を冷やす効果もあるため、
夏に積極的に摂りたい食材です。

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縁起物の胡瓜

胡瓜 (きゅうり) は、「九つの利」、
「九(きゅう)利(り)」の語呂合わせから、
9つの良いことがあるという意味で
縁起が良いとされることもあります。
例えば、節分に食べる「恵方巻き」に
採用される7種類の具材の一つでもあります。