「夏の土用」にすえる「お灸」のことを
「土用灸」(どようきゅう)と言います。
「夏の土用」の時期は、
二十四節気「小暑」の後13日から
「立秋」までの最も暑い時に当たります。
そのため、「土用灸」は
夏バテに効果があると言われ、
わざわざ「土用」を待って
鍼灸院に出掛ける人もいます。
その一方で、日向地方では
「据えてはならぬ」という言い伝えが
残っています。
焙烙(ほうろく)に艾(もぐさ)を入れて点火し、
頭に載せて、読経し御祈祷を行う
「土用焙烙灸」(どようほうろくきゅう) は
頭痛に効くと言われ、
「夏の土用の丑の日」に
寺院などで行われてきた伝統的な行事です。
頭痛が悪鬼邪気の障りによって
起こると信じられていたことから、
頭痛封じ・暑気退散・中風封じのために
祈ってきたのです。
一説によると、
炎天下で暑さ負けした武田信玄が、
兜の上から灸をすえたところ、
たちどころに全快したと言われています。