「お月見」と言うと、
旧暦八月十五日の「十五夜」が有名ですが、
日本では古来もうひとつ、旧暦九月十三日の「十三夜」もまた
美しい月であると重んじられていました。
令和4年の「十三夜」は10月8日(土曜日)です。
日本独自の風習
「中秋の名月(十五夜)」は
元々唐で行われていた行事が日本に伝来したものですが、
この「十三夜」の月見は日本独特の風習です。
宇多法皇が九月十三日の夜の月を愛で
「無双」と賞したことが始まりとも、
醍醐天皇の頃、延喜19(919)年に開かれた
「観月の宴」が風習化したものとも言われています。
「お月見」というと満月のイメージがありますが、
「十三夜」の月は満月になる前なので少し欠けています。
欠けた月も美しいと称えるところに、
昔の日本人の豊かな感性を感じます。
「十五夜」「十三夜」「十日夜」
「十三夜」は「十五夜」に対して
「後の月」(のちのつき)とも言います。
「十五夜」と「十三夜」の2つを合わせて
「二夜の月」(ふたよのつき)と呼びます。
どちらか一方の月しか見ないことを
「片月見」(かたつきみ)と言います。
「十五夜の月を見たら、
十三夜の月も見ないと縁起が良くない」とも言われ、
昔は「十五夜」と「十三夜」を同じ庭で見る風習があったようです。
「十五夜」の頃は台風や秋雨の時期と重なるため、
「中秋の名月、十年に九年は見えず」という言葉があるくらい
天気には恵まれません。
一方、「十三夜」の頃になると、
「十三夜に曇りなし」と言われるように
「十三夜」の頃には秋晴れが多く、
美しい月を眺めることが出来るかもしれません。
更に、旧暦10月10日のお月見
3日が晴天に恵まれるととても縁起がいいとされています。
令和4年の「十日夜」は11月3日になります。
お供え物
「十三夜」のお供え物は、
「月見団子」、「薄」(すすき)、「栗」や「豆」などです。
「十三夜」の月見団子は13個(または3個)を並べます。
収穫祭
「お月見」の風習が庶民に広まったのは江戸時代です。
陰の象徴である月は「お陰さま」に通じると考えられ、
生きる糧である作物に感謝する
旧暦9月の「収穫祭」の意味も込めて
「お月見」をするようになったそうです。
「十五夜」は収穫した芋を供えることから
「芋名月」と呼ばれています。
一方「十三夜」は、
栗や豆の収穫の時期なので「栗名月」「豆名月」と言います。
新潟県の佐渡や長野県の北安曇郡などでは
「小麦の名月」があります。
これは、秋まきの小麦の豊作を願っての呼び名で、
この晩の月がよく見えれば、
翌年の小麦が豊作になるという言い伝えがあるそうです。
収穫に感謝する行事ですから、
この他にもこの時期の収穫物をいろいろお供えしてもよいでしょう。
この時期は、ケーキ屋さんや和菓子屋さんなどで
栗スイーツが充実する時期なのですから、
月見団子にこだわらず、
月に見立てた丸いどらやきやおまんじゅうなどでも楽しいでしょう。
夕食に旬の栗ごはんや煮豆を味うのもいいかもしれませんね。