12月31日の除夜(大晦日の夜)、
深夜0時を挟む時間帯に、
全国のお寺で鳴らされる百八つの鐘を
「除夜の鐘」と言います。
この鐘の音を聞きながら、
行く年を送り、来る年を迎えます。
人には百八つの煩悩があると言われています。
その煩悩を祓うために、除夜の鐘を撞く回数は
「108回」とされています。
また、月の 「12」、
二十四節気の「24」、
七十二候の 「72」を足すと
「108」つになることから、
一年間を表すとも言われます。
「煩悩」とは、人の心を惑わせたり、
悩ませ苦しめたりする心の働きのことで、
仏教における考え方からきています。
鐘を撞くことで
これらの煩悩を1つ1つ取り除いて、
清らかな心で正月を迎えようと言う訳です。
108回のうち107回目迄は前年のうちに撞いて、
最後の1回は新年になってから撞く
(深夜0時に最後の一回を撞く)のが
正式な撞き方だそうです。
百八つの煩悩を全てキレイに祓って、
新しい年を迎えるということのようです。
きちんと24時に終了するという寺院では、
鐘の撞き始めを早めに設定し、
22:40頃から開始されるそうです。
「日本三大梵鐘」
「日本三大梵鐘」とは、
あくまで選者不明の通説ですが、
歴史ある名鐘のうち、大きさも日本屈指
というものの中から選ばれた
「知恩院」「東大寺」「方広寺」の
3つの梵鐘です。
因みに日本一巨大な鐘は、熊本県玉名市にある
「蓮華院誕生寺奥之院 」の梵鐘ですが、
重さでは知恩院や方広寺の鐘が勝っています。
知恩院の鐘
<鋳造年>寛永13(1636)年
<大きさ>
・総高:3.3m(1丈8寸)
・口径:2.8m(9尺2寸)
・厚さ:30cm(9寸5分)
・重量:70t (1万8000貫)
大晦日の夜、TVで必ずといいほど中継される
知恩院の「大鐘楼」は、国の重要文化財で、
親綱1人・子綱16人の17人がかりで108回撞かれる
ダイナミックな鐘撞きになります。
一般の参詣者は見学のみ可能です。
東大寺の鐘
<鋳造年>天平勝宝4(752)年
(その後修理が行なわれている)
<大きさ>
・総高:3.86m
・口径:2.71m
・重量:26.3t
東大寺は「奈良太郎」とも呼ばれる名鐘は、
大仏開眼と同年の天平勝宝4年鋳造と言われ、
平重衡の南都焼討で焼失しましたが、
鐘を吊るした鐘楼は
鎌倉時代の承元年間(1207〜1210年)に
栄西禅師により再建されました。
なお、1月1日の午前0時から、
先着順に8名程度の組になって計800名余りの
方が順に大鐘を撞くことが出来るようです。
よくご確認下さい。
方広寺の鐘
<鋳造年>慶長19(1614)年
<大きさ>
・総高:4.12m
・口径:2.227m
・厚さ:27cm
・重量:82.7t
豊臣秀吉が奈良の東大寺に倣って
大仏(盧舎那仏)を安置するための寺として
造営しましたが、建立翌年の慶長伏見地震で
あえなく倒壊。
豊臣秀頼が慶長4(1599)年、
大仏復興を命じ再建に乗り出しますが、
「国家安康」「君臣豊楽」の銘が
「家康の名を二分して国安らかに、
豊臣を君として子孫繁栄を楽しむ」と
林羅山の指摘により徳川家康の怒りを買い、
大坂冬の陣、夏の陣の幕開けとなる
重大な事件「方広寺鐘銘事件」に発展しました。
これにより豊臣氏は滅亡しましたが、
その梵鐘は今もこの寺に残されており、
国の重要文化財に指定されています。
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