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コツコツと

引摺り餅(ひきずりもち)

 
「餅搗き」(もちつき)は、
一般的に12月25~28日に行うのが
一般的とされています。
 
江戸時代、
農村では自分達で餅搗きをしましたが、
都会ではそういう訳にはいきません。
 
ですが暮れも押し迫ってくると、
江戸の町には「餅つき屋」なる職人が
数多く出現しました。
 
表通りに面している商家では、
出入りの鳶や左官職人達に頼んで、
店先で景気づけに搗いてもらいました。
こうやって職人がやって来て搗いた餅を
「引摺り」(ひきずり) 「引摺り餅」(ひきずりもち)
言います。
 
人通りの多い埃っぽい大通りで、
大きな釜や蒸籠まで路上に置いて
店先での派手な餅搗きを行うことは、
粋で格好良いこととされていて、
一種のステイタスだったようです。
 
 
「引摺り (餅)」を搗いてもらう場合、
もち米だけは搗いてもらう側が用意しておき、
道具は、気っ風がいい二人組みが、
一人は杵を担ぎ、もう一人は臼を担いで
来ました。
中には、数人が組んで、
大八車に餅搗き用の道具一式を積み込んで
注文を出した家へ道具を持って行くという、
大掛かりなものもありました。
 
二人で呼吸を合わせて餅を搗くのは、
決して簡単な仕事ではありません。
更にスポンサーがいて、
人前で美しく搗かなくてはいけないのですから
大変な作業でしたが、
ご祝儀を弾んでもらったことから、
大変良いバイトだったようです。

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