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王子狐の行列

 

王子狐の行列

王子狐の行列とは
江戸時代、東京都北区の王子稲荷では、
大晦日の晩、稲荷神の使いである狐が
東日本各地から王子に集まり、
王子稲荷神社近くの
(えのき) の下で装束を整えてから、
行列になって関東総司の王子稲荷に
初詣をしたと言われています。
 
その王子に残る古い伝承を再現し、
平成5(1993)年から毎年大晦日の夜0時より
装束稲荷から王子稲荷までの道のりを
正装狐に扮した人達の
「狐の行列」が行われています。
 
第32回 王子 狐の行列
令和6(2024)年も12月31日の13:00から始まり、
年を越して令和7(2025)年1月1日の1:30まで続く
予定です。
なおNHKで生中継が予定されています。
午後1時50分頃からです。

kitsune.tokyo-oji.jp

 

「狐火」(きつねび)とは

「狐火」(きつねび)とは、
山野や墓地などで暗夜に
多数の火が現れたり消えたり動いたりする
怪奇現象を言います。
その長さは一里(約4㎞)にも渡り、
数も増えたかと思えば突然消えたり、
火の色は赤またはオレンジとも、
青白い火とも言われていますが、
実際、その正体は分かっていません。
 
古人は狐が火を灯すものと信じ、
「狐火」(きつねび) の他にも、
「狐の提灯」(きつねのちょうちん) あるいは
「鬼火」(おにび) などと呼ばれました。
 

各地に伝わる「狐火」

狐松明(きつねたいまつ)
山形県の出羽や秋田県では、
狐火を「狐松明」(きつねたいまつ) と呼び、
狐の嫁入りのために灯されている松明と言われ、
良いことの起きる前兆とされています。
 
北陸
富山県砺波市では、道のない山腹など、
人の気配のない場所に現れると言われ、
石川県輪島市では逆に人をどこまでも
追いかけて来たという伝承があります。
 
長野県
長野県飯田市では、足で狐火を蹴り上げると
退散させることが出来ると言われました。
 
また、城を建てる場所を探していた主従を、
白い狐が狐火を灯して案内し、
城に相応しい場所を教えたという
伝説もあります。
 
狐火玉(きつねだま)
寛保時代(1741-1744)の雑書
『諸国里人談』(しょこくりじんだん) には、
元禄の初め、上京の人が夜、東川へ漁に出、
加茂の辺りで狐火を網で捕らえたところ、
網には「狐火玉」(きつねだま) がかかっており、
薄白い鶏の卵のような形で昼は光らなかったが、
夜には明く光り蝋燭より明るいので重宝したとあります。
ところがそれを持って漁に出た時に、
どこからか大石が川に落ちたのと同時に
光るものを失ってしまったそうです。
 
宙狐(ちゅうこ)
岡山県・備前地方や鳥取県では、
この怪火を「宙狐」(ちゅうこ) と呼んでいます。
岡山の邑久郡豊原村では、
比較的低空を浮遊する狐火なので、
老いた狐が「宙狐」になると言われました。
 
また同じく邑久郡・玉津村の竜宮島では、
「宙狐」は雨模様の夜に現れ、
時には地面に落ちて周囲を明るく照らし、
やがて跡形もなく消え去ると言われました。
 
行逢神(いきあいがみ)
「行逢神」(いきあいがみ) とは、
人や動物に行きあって、
訳もなく急に寒さを感じ、時には発熱したり
気分が悪くなったりすることを、
行逢神に遭ったと言いますが、
島根県では、「狐火」をその「行逢神」とし、
「狐火」に当たると高熱に冒されるという
伝承があります。
 

名所江戸百景
王子装束ゑの木大晦日の狐火

 
歌川広重『名所江戸百景』の
「王子装束ゑの木 大晦日の狐火」は、
狐火伝承を幻想的に描いた
初代・歌川広重の代表作です。
 
 
東京都北区王子の「王子稲荷」(おうじいなり)は、
関東にある稲荷の総社です。
この稲荷の側に「衣裳榎」とか「装束榎」と
言われる大きな榎 (えのき) があって、
毎年12月の大晦日の夜、
関八州の狐がここに集まって衣装を改めてから
官位を決めるために稲荷社に参詣したと
言われています。
そしてその行列の時に燃える狐火により、
人々は翌年の吉凶を占ったと言われています。
 
残念ながら、現在は碑が残るのみで、
(えのき) はないそうです。
 
 
また、「初午」と「二の午」の日には、
火防 (ひぶせ) の凧の守札が出される他、
境内には「凧市」が立ち、
多くの参拝者で賑わいます。
始まったのは江戸時代で、
江戸に多かった火事を大きくする原因の風を
切って高く上がる凧が火難除けの他、
無病息災、商売繁盛に御利益があるとされます。

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