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桜の11種の「基本野生種」

 

バラ科サクラ属サクラ亜属に
分類される落葉広葉樹です。
 
日本には現在、600種類以上、
分類方法の違いなどもあることから、
正確には数え切れないほどあると言われますが
そんなたくさんの桜も、元を辿れば
11種の「基本野生種」から生まれています。
 
 

山桜(やまざくら)

 
🌸 開花時期:3~4月
🌸 花の色 :淡いピンク
🌸 咲き方 :一重咲き
 
山地に咲く桜を総称して
「ヤマザクラ」と呼ぶこともありますが、
歴とした品種です。
古来より日本人に馴染みのある桜で、
「染井吉野」以前は花見と言えばこの桜で、
奈良県の「吉野の桜」も
本来この「山桜」を指します。
ちょうど「染井吉野」が終わった頃に
見頃を迎えます。
 
 
「山桜」はバラ科サクラ属の落葉高木で、
大きいものだと30mにも伸びます。
個体差が大きく、花の色も白っぽいものから
ピンクまでバリエーション豊か。
葉と花が同時に展開しますが、
若葉のうちは葉が赤っぽいのが特徴です。
 

大山桜(おおやまざくら)

 
🌸 開花時期:4~5月
🌸 花の色 :ピンク、濃いピンク
🌸 咲き方 :一重咲き
 
花の直径が3~5cm程と
「山桜」より大きいことが名前の由来です。
7~15m程度の高さに育ち、
枝の範囲も7~15m程度にまで成長します。
葉と花は同時に展開し、
若葉が赤いのが「山桜」と共通の特徴です。
 
 
寒冷地を好む桜で、北海道・東北では
4月下旬からGW頃に見頃を迎え、
「二十間道路桜並木」(北海道)、
「世界一の桜並木」(青森県)などの
名所があります。
 

丁字桜(ちょうじざくら)

 
🌸 開花時期:3~4月
🌸 花の色 :白
🌸 咲き方 :一重咲き
 
「丁子桜」(ちょうじざくら) は、
太くて長めの筒状の萼 (がく) を持ち
白からやや薄紅色の
小さな花びらを咲かせる様子が
横から見ると「丁字」のように見えることから
名付けられた桜です。。
 
山地を好んで分布し、
谷川の近くのような岩石の多い部分や、
石灰岩地にも生息しています。
 

豆桜(まめざくら)

 
🌸 開花時期:3~5月
🌸 花の色 :淡紅
🌸 咲き方 :一重咲き
 
「豆桜」(まめざくら) は、
その花の直径が桜の品種の中でも
最も小ぶりであることに由来しています。
花の時期は3月下旬~5月上旬で、
花弁は五枚一重で、白から薄紅色の花を
下に向けて咲かせます。
多数の園芸品種があります。
 
富士山近辺やその山麓、
箱根近辺などに自生していることから、
「富士桜」とか「箱根桜」とも言います。
 

霞桜(かすみざくら)

 
🌸 開花時期:4~5月
🌸 花の色 :白
🌸 咲き方 :一重咲き
 
「霞桜」(かすみざくら) は、4、5月頃、
山桜が咲いた後の2、3週間後、若葉と同時に、紅を帯びた白色の5弁花を咲かせます。
点々と花を咲かせる様子が、
霞がかかっているように見えるため、
「霞桜」(かすみざくら) という名前がついたと
言われています。
 

大島桜(おおしまざくら)

 
🌸 開花時期:3~4月
🌸 花の色 :白
🌸 咲き方 :一重咲き
 
「大島桜」(おおしまざくら)
名前の「オオシマ」は、
伊豆半島の沖に浮かぶ伊豆大島が由来です。
伊豆大島北東部の山中にある本種の株は、
昭和27(1952)年に、
「特別天然記念物」に指定されています。
 
 
花期は3月から4月にかけてで、
葉の成長とともに
茎の先端から数個の花をつけます。
 
花が白く、大輪で、桜の中では芳香が強めで、
八重咲きになったものもあります。
美点が多いことから、
染井吉野や江戸彼岸桜、河津桜など
多くの品種のもとになってきました。
 
 
その香りを生かして、「桜餅」の葉っぱには
この「大島桜」の葉を塩漬けにしたものが
使われています。
 
 
なお、白い花が枯れる頃につける
小ぶりの実は食用ではないので
口にしないよう注意しましょう。
 

江戸彼岸(えどひがん)

 
🌸 開花時期:3~4月
🌸 花の色 :淡いピンク
🌸 咲き方 :一重咲き
 
「江戸彼岸桜」(えどひがんざくら) は、
本州から九州と広範囲に渡って自生する
桜です。
 
早咲きの傾向があり、
春のお彼岸を迎える頃に花をつけることから
「江戸彼岸」といった名前がつけられました。
 
 
樹高はおおよそ15m~25m。
花は薄紅色や白などが多く、
5枚で一重の花びらがつきます。
 
 
桜の中では特に長生きする品種で、
樹齢1800年の「山高神代桜」(山梨県北杜市)、
樹齢1500年の「根尾谷淡墨桜」(岐阜県本巣市)、
樹齢1000年の「樽見の大桜」(兵庫県養父市) 、
樹齢300年の「石割桜」(岩手県盛岡市) など、
各地に天然記念物に指定された「一本桜」が
あります。
 

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多くの花を咲かせる特性から
多くの品種の交配種であり、
染井吉野の片親としても有名な品種です。
 

高嶺桜(たかねざくら)

🌸 開花時期:5~7月
🌸 花の色 :薄赤から白色
🌸 咲き方 :一重咲き
 
「高嶺桜」(たかねざくら) は、
標高の高い山地に自生する桜で、
別名「峰桜」(みねざくら) とも呼ばれます。
開花時期はどの品種よりも遅いです。
樹高はそれほど大きくならず、
5~10m程が一般的です。
 

深山桜(みまやざくら)

🌸 開花時期:4月下旬
🌸 花の色 :白
🌸 咲き方 :一重咲き
 
「深山桜」(みやまざくら) は、高山や寒冷地方に
自生することが名前の由来とされています。
 
樹高は5~10mと低木で、
花を付けていない頃に見かけても、
桜の木だと判断しにくい特徴があります。
 
花柄が長く伸びて総状花序に近くなること、
宿存する大型の苞 (ほう) を持つことなど、
花の形状が一般的な桜とは異なる他、
白い花といった見た目もあり、
「辛夷」(こぶし) と勘違いする人も
少なくありません。
 

寒緋桜(かんひざくら)

 
🌸 開花時期:1~2月
🌸 花の色 :紫がかった濃いピンク
🌸 咲き方 :一重咲き
 
「寒緋桜」(かんひざくら) は、
おおよそ1月から2月上旬にかけて開花する
早咲き桜で、沖縄県で「桜」と言えば
この「寒緋桜」を指します。
また1月から2月上旬は旧暦の正月頃に当たり、
「元日桜」(がんじつざくら) とも呼ばれます。
 
 
釣り鐘状で、鮮やかな濃いピンク色の花を
下向きに咲かせるのが特徴です。
 
 

熊野桜(くまのざくら)

 
🌸 開花時期:3月
🌸 花の色 :薄紅色から白
🌸 咲き方 :一重咲き
 
「熊野桜」(くまのざくら) は、
平成30(2018)年に桜の新種と判断された
紀伊半島南部が原産の日本の固有種の桜です。
 
 
一般的な山桜より早く咲き、
咲く前は紅色が濃く、咲くと白っぽく、
咲き終わりに紅が濃くなるなど変化があるので
何度も観賞が楽しめます。