うまずたゆまず

コツコツと

9月27日は「信州 火山防災の日」

 
平成26(2014)年9月28日、
長野県と岐阜県の県境にある
「御嶽山」(おんたけさん) の突然の噴火により、
死者58名、行方不明者5名、負傷者61名という
戦後最悪の火山災害がもたらされました。
 
 

御嶽山(おんたけさん)

木曽御嶽山
 
「御嶽山」(おんたけさん) は、
長野県木曽町・王滝村、
岐阜県下呂市・高山市にまたがる、
標高3067mの成層火山で、
日本百名山」の一座です。
 
 
広い山頂部には、
最高峰の「剣ヶ峰」(けんがみね)の他に、
「摩利支天山」(まりしてんやま)、「継子岳」(ままこだけ)、「継母岳」(ままははだけ) があり、
頂上付近には、「一ノ池」から「五ノ池」までの
5つの高山火口湖があり、
特に、コバルトブルーに輝く「二ノ池」は
日本で最も高い場所にある高山火口湖です。
 
 
国内には「御嶽山」が複数ありますが、
その中では一番高く、
他の御嶽山や御岳山と区別するため、
長野の木曽地域に因んで
「木曽御嶽山」と呼ばれることもあります。
 
日本有数の霊峰
 
「御嶽山」はまた、富士山・立山・白山と並び、
日本有数の霊峰としても知られています。
その歴史は深く、大宝2(702)年に剣ヶ峰に
御嶽神社(おんたけじんじゃ) が創建されたと
伝わります。
開山から長らくは、厳しい修行を経た者だけが
入峰を許されていましたが、
江戸時代になると庶民の入山も認められ、
御嶽山への登拝が全国的に普及しました。
 

ontakejinja.jp

 
御嶽山の火山活動
 
御嶽山の火山活動は約75万年前から開始され、
ほぼ2万年前に終了していたことから、
長らく「死火山」と思われていましたが、
昭和54(1979)年に水蒸気爆発を起こしたことから
「活火山」と認定され、
以降も噴煙を噴き上げたことから、
再び火山活動が始まったとされています。
そして「活火山」「死火山」「休火山」という
区別をなくすきっかけになりました。
 
また、昭和59(1984)年9月14日には
マグニチュード6.8の長野県西部地震が発生。
御嶽山山麓の住民に甚大な被害をもたらし、
平成26(2014)年に発生した噴火は、
戦後最悪の火山災害となりました。
 
平成26(2014)年の噴火
 
平成26(2014)年9月27日午前11時52分、
山頂南西の地獄谷付近で水蒸気爆発が発生し、
1㎞程度の範囲に大きな噴石が飛散し、
死者58名、行方不明者5名、負傷者61名という
戦後最悪の火山災害となりました。
 
また最初の噴火では火砕流も発生し、
火口南西側の地獄谷を約3km程度流下、
火口北西側の尺ナンゾ谷にも流れ下ったことが
分かりました。
 
なお、死亡が確認された57人のほとんどは、
噴石が直撃したことによる「損傷死」でした。
 

信州 火山防災の日


www.youtube.com

 
平成26(2014)年9月27日に起きた
御嶽山の噴火災害を風化させることなく、
火山防災に係る意識の向上と防災対策の推進に継続的に取り組み、
併せて火山及び周辺地域の魅力発信による
地域振興にに寄与するため、
長野県は毎年9月27日を「信州 火山防災の日」、毎年8月26日から9月27日までの1か月間を
「信州 火山防災月間」としました。
 
 
長野県は、全国でも有数の火山県であり、
県内には活火山が6つあり、
そのうち4つが「常時観測火山」です。
県外に火口 (噴火口) を有する火山も含めると
「常時観測火山」は7つにも上ります。
「常時観測火山」とは
 日本には111の活火山があり、
 そのうち50火山の火山活動を
 24時間体制で常時観測・監視しています。
<長野県内にある常時観測火山>
 ・浅間山 (軽井沢町・御代田町・群馬県)
 ・焼岳  (松本市・岐阜県)
 ・乗鞍岳 (松本市・岐阜県)
 ・御嶽山 (木曽町・王滝村・岐阜県)
<県外に火口を有する常時観測火山>
 ・新潟焼山 (新潟県)
 ・草津白根山(群馬県)
 ・弥陀ヶ原 (富山県)
 

火山防災の日

 
今年、令和6(2024)年から、
8月26日が「火山防災の日」になりました。
 
「火山防災の日」とは
 
令和5(2023)年に
「活動火山対策特別措置法」の一部が改正され、
国民の間に広く活動火山対策についての
関心と理解を深めるようにするため、
8月26日が「火山防災の日」とされました。
 
この日は、明治44(1911)年に
日本で最初の火山観測所が浅間山に設置され、
観測が始まった日である8月26日が
由来となっています。
 
活動火山対策特別措置法
 
「活動火山対策特別措置法」
(略称「活火山法」)とは、
火山の噴火などで
大きな被害を受ける恐れがある地域について、
被害を防止・軽減するための基本方針を策定し、
警戒避難体制・避難施設・防災営農施設の整備や
降灰除去事業の実施等の特別措置を
講じることを定めた法律です。
 
 
昭和47(1972)年に発生した
鹿児島県の桜島南岳の噴火による
大量の降灰や噴石による被害を契機に
制定されました。
前述の平成26(2014)年の「御嶽山噴火」を受け、
平成27(2015)年7月8日に法改正され、
登山者は、火山の噴火等が起こった際に
円滑、迅速に避難できるように、
必要な手段を講じるように
努めなければならないことと、
火山周辺の一部の施設については、
避難確保計画の作成等が義務づけられました。
 
 
更に令和5(2023)年6月14日の法改正で、
国に「火山調査研究推進本部」を設置して、
火山の観測や調査の計画の策定や研究を
一元的に進めることなど盛り込まれた他、
国民の間に広く活動火山対策についての関心と理解を深めるため、「火山防災の日」が
制定されました。
 

火山災害から身を守るためには

 
1. 各市町村で作った「火山防災マップ」を見て
 「噴火警戒レベル」に対応する危険な場所を
 確認しておきましょう。
「噴火警戒レベル」
火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲」と防災機関や住民等の「とるべき防災対応」をレベル1からレベル5の5段階に区分したもので、
気象庁から発表されます。
 
 
2. 予め、避難する場所やそこまでの道順を
 確認しておきましょう。
 
 また、火山が噴火した場合、事前に
 準備をしておきましょう。
1.ヘルメット
 ヘルメットは滑落や落石によるダメージを
 軽減し、噴石から頭部を守るために必要です。
2.濡れタオル
 濡れタオルを口に当てることで、火山ガスや
 火山灰の侵入を抑えることが出来ます。
3.懐中電灯
 噴煙で太陽の光が遮られ、外は真っ暗になる
 ため、懐中電灯やヘッドランプの準備が
 必要です。
4.リュックサック
 噴石対策にリュックサックが活躍します。
 いざという時は盾としても効果があります。
 
 
3. 気象庁の発表する「噴火警報」などの情報や
 「噴火警戒レベル」に注意しましょう。
 
 気象庁では、噴火災害軽減のため、
 全国111の活火山を対象として、
 観測・監視・評価の結果に基づいて、
 噴火警報・予報を発表しています。
火山が噴火すると、それに伴い、いくつもの
危険な現象が起こることもあります。
1.溶岩の流出
 溶岩が通るとその高い温度によって
 建物や道路、田畑等は全て焼失します。
2.噴石
 噴石は噴火によって火口から吹き飛ばされた
 岩石などの噴出物のことで、火口から
 数㎞離れた場所まで飛ばされることもあり、
 広い範囲で被害を与えます。
3.火砕流
 火砕流は高温の火山灰や岩石、火山ガス、
 空気、水蒸気が一体となって山を流れ下りる
 ものです。
 その速さは時速数十㎞~数百㎞で、
 その流れの先にいた場合、避けることは
 不可能だと言われています。
4.土石流
 土石流は岩石や土砂、倒された樹木、火山灰
 などが水と一緒になって流れ下りるもので、
 時速数十㎞の速さで進み、かなり離れた所
 まで流れていくため危険です。
 雨や雪解け水などに誘発されることも
 多いため、火山活動が収まってきていても、
 大雨の際は発生の可能性が高くなります。
5.空振
 噴火の衝撃が大気を伝って届くもので、
 窓ガラスの振動などの現象が見られます。
 更に強い空振では、山頂に面した方向の
 窓ガラスを中心に、破損するなどの被害が
 発生することがあります。
 
 
4. 噴火のおそれがある場合には、
 危険な地域では事前の避難が必要です。
 地元の市町村の指示があった場合には、
 それに従いましょう。
 
 また、火山に登山される場合は
 以下の点を注意して下さい。
🌋活火山へ登山する際は、
  事前に「避難小屋」等の場所を確認。
🌋登山中に噴火した場合は
  逃げることが出来れば風上側へ。
  周辺の避難小屋か、岩陰に逃げて下さい。
🌋周辺に何もない場合は、
  出来るだけ身を低くし、頭を抱え、
  火山灰に巻き込まれる状態となったら、
  衣類などで鼻や口を覆い、
  火山灰を吸い込まないようにして下さい。
🌋視界が良くなったら、
  谷地形は火山ガスが溜まりやすいため、
  谷に留まることは避け、近くの避難小屋など
  安全な場所へ避難して下さい。