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コツコツと

角館の火振りかまくら

 
江戸時代の趣を今も残す
武家屋敷が軒を連ねる秋田屈指の名所
秋田県仙北市の角館では、
毎年2月13日、14日、旧暦「小正月」の行事
「角館の火振りかまくら」が
主会場を始めとし角館町内各所で開催されます。
 
 
「かまくら」と言っても、
同じ秋田県内にある横手市で開催される
「横手のかまくら」とは全く異なるお祭りで、
ドーム型の「雪洞」はありません。
 
「角館の火振りかまくら」は、
雪で作った「竈」(かまど)
薪を入れて燃やすことから始まり、
高さ5m位の長木に稲藁などを巻き付けて
雪に立てた「天筆」(てんぴつ) に火をつけ、
正月の松飾りやお札、門松などを焚き上げ、
一年の無病息災を祈願します。
 
 
そしてここからが見所!
1m程の縄「ふり縄」を付けた「炭俵」に
雪で作った「竈」(かまど) で起こした
お焚き上げの火を付け、
縄の先端を持って自分の身体の周囲を
円形を描くようにグルグルと振り回します。
そうすることで火の粉で身体を清め、
田んぼの厄を払い、
無病息災や家内安全を祈ります。
 
雪景色に赤く浮かぶ火の輪と
会場に作られた高さ5m程の「天筆」が揺らめく風景は、幻想的な世界を作り出します。
雪の中に華麗な火の輪が踊る幻想的な祭りで、次々と出来る火の輪が
冬の夜のメルヘンの世界へ誘います。
 
「炭俵」の材料は大量の「スゲ」です。
2mを超えるスゲを刈り取り、
家の壁に並べて乾燥させます。
家々の壁にたくさんのスゲが並ぶ風景は
この地域の冬の風物詩です。
乾燥させたスゲと、
稲藁を綯って作った細い縄を、
木製の編み機で編んでいきます。
最後に「ふり縄」と呼ばれる、
振り回すための縄を付けて完成です。
 
 
なお「角館の火振りかまくら」は
見るだけでなく
ドンドン参加出来るお祭りです。
26会場のうち9会場では
火振りの体験を行うことが出来ます。
 
化繊の服は万が一引火すると危険なので、
木綿の法被 (はっぴ) を貸してくれます。
 

www.city.semboku.akita.jp

 
 
「角館の火振りかまくら」は、
400年程前、江戸時代の
佐竹北家 (さたけほっけ) 時代から行われてきた
宮中行事の左義長の名残を伝える
仙北市の「市指定無形民俗文化財」に
指定されている伝統行事です。
 
江戸時代の「カマクラ」は、
雪で四角形に作った囲いに
門松や米俵などを入れて火を付け、
それを振り回す
「小正月」の火祭り行事として
豊作を祈願する農民の儀式でした。
火は稲の害虫を焼き払うという意味を
持つそうです。
 
当時は、米俵や製炭用に使う俵に
火をつけていたそうです。
俵に火をつけるのは
雪解けが早くなり、
燃えかすが肥料にもなるという側面も
あったようです。
 
昭和30年代から40年代にかけては、
「炭俵」不足で一時中断されていましたが、
「火振りかまくら」は400年以上、
ほぼ途切れることなく受け継がれてきました。
 

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