「年卸」(としおろし) とは、
「年桶おろし」(としおけおろし) とも言い、
1月11日、正月の年神祭りの終わりの日に
「年桶」(としおけ) を神前から卸し、
同時に年神を祀ってあった年棚も片付け、
年神様にご帰還いただいて
「褻」(け) の暮らしに戻る節目の行事です。
主に関西地方で、5日または11日にする所が
多いようです。
ところで「年桶」(としおけ) とは、
お正月を迎えるのに当たって、
新しい年の幸運、無病息災、
家内安全、五穀豊穣などを願って、
年神に供える供物を入れる容器です。
年の瀬の押し迫った
「大晦日」の12月31日に、
この「年桶」を持ち出して、
その桶の中に、米、鏡餠、小餅、
干柿、栗、昆布などを入れたら、
桶に新しい注連飾りを巻き付け
床や神棚にお祀りし、
榊(さかき)、歯朶(しだ)、裏白などを供えました。
そしてこの「年卸」の日に、
「年桶」を神前からおろし、
桶の中から小餅などを取り出して、
お雑煮を作り、年神様にお供えした後、
家族皆で食べました。
そうすれば、その年は丈夫に過ごせると
言われました。
更に「小正月」(1月14日か15日)に行われる
地域の「どんと焼(左義長)」の火で、
桶に入れていた鏡餅を焼いて、
家に持ち帰って「カキモチ」を作りました。
そしてこの「カキモチ」を、
その年の一番初めに雷の鳴った日に
焼いて食べると
年内は落雷など雷の被害を受けないと
言い伝えられました。