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6月1日「麦茶の日」

 

毎年6月1日は「麦茶の日」です。
 
 
「麦秋」(ばくしゅう) という言葉があるように、
6月は麦の穂が実り、
麦茶の原料である大麦の収穫シーズンに
当たります。
また6月1日は「衣替え」でもあり、
まさに夏の風物詩的な趣を持つ飲み物である
「麦茶」の季節の始まりに相応しい日として
昭和61(1986)年、「全国麦茶工業協同組合」は
6月1日を「麦茶の日」に制定しました。

www.mugicya.or.jp

 

「麦茶」とは

「大麦」を焙煎して作られる、
日本人には馴染みの深い「麦茶」は、
香ばしい風味と爽やかな味わいで人気の
暑い夏の定番の飲み物です。
 
 
近年ではペットボトル入りのものが
出回っていますが、
以前はどこの家庭でも大きなやかんで煮出し、
麦茶ポットに入れて冷蔵庫で冷やしていた
ものです。
 

「麦茶」の歴史

日本で、大麦を煎って湯で煮出して飲む風習は
原始農耕の始まった頃からあったと考えられ
ます。
 
平安時代の頃、穀物を炒って粉末状にする
「糒 (ほしい) 加工」が行われるようになると、
「麦」を糒加工した「みづのこ」「はったい」
「炒り粉」「香煎」「麦こがし」をお湯の中に溶かして飲むようになったと言われています。
 
 
10世紀初めの平安期初期に編集された
日本最初の百科事典『和妙類聚抄』の中にも、
「米麦を乾かし、これを炒って粉にし、
 湯水に点じて服す。」との記述があります。
これが「麦茶」の元祖であると考えられます。
当時は「麦湯」(むぎゆ) と呼ばれて、
平安から室町時代には貴族に、
その後は戦国武将にも好んで飲まれるように
なりました。
 
 
天正15(1587)年、豊臣秀吉が
京都の北野天満宮で大茶会を催した時の
様子を記した『北野大茶湯の記』にも、
秀吉が建てた高札7ヶ条のお布令の1条には、
「茶湯執心においては、
 また若党、町人、百姓以下によらず、
 釜一つ、釣瓶一つ、呑物一つ、茶なきものは、
 こがしにても苦しからず候間、
 堤げ来たり仕るべく候事」とあり、
高価な煎茶が普及していなかったこともあり、
庶民の飲み物として安価な「麦こがし」が、
お茶代わりに飲まれていたことが窺えます。
 
江戸も元禄文化の頃になると、
町人文化が開花し、
庶民も暮らしを楽しむようになります。
街筋に「麦こがし売り」が出現し、
「麦こがし」を飲食させたり、
産品として販売するなどして、
大いに繁盛しました。
 
更に時代を経て、文化・文政の頃になると、
「麦湯」と書かれた行燈を掲げる屋台も現れ、
暑苦しい時には、涼風を求める客で賑わい、人々は縁台に座って麦湯を楽しみ、
憩いの一時を過ごしました。
因みに、麦湯店の店員さんは
若くて粋な女性だったようで、
それもあってか店は大いに繁盛したと
伝えられています。
明治時代になると、一般家庭で
大麦を炒って麦湯を作るようになり、
家庭の飲み物へと姿を変え、
湯冷ましのような感覚で水代わりに飲んだり、
時には砂糖を溶かして味の変化を楽しみながら
飲んでいたと言います。
 
 
昭和30年代に冷蔵庫とともに
冷やした麦茶が普及し、
冷やして飲む習慣が生まれました。
「麦茶」という商品も売られ始め、
昭和40年代には日本全国で「麦茶」の名称が
一般的に浸透してきました。
 
 
昭和40(1965)年)には、水出しタイプとして
初のティーバッグ麦茶が発売されました。
 
 
1980年代には、缶やペットボトル入りの麦茶、
その後も、濃縮液タイプの麦茶も
発売されました。
 

麦茶の効果・効能

麦茶の効果・効能には
以下のようなポイントがあります。
 
 
ほてった身体を冷やします
熱中症で体温が上がった時や、
夏バテで水分が不足した時に効果的です。
 
ノンカフェイン
カフェインが含まれていないため、
赤ちゃんからお年寄りまで
安心して飲むことが出来ます。
 
抗酸化作用
麦茶に含まれる「Pクマル酸」には、
身体が酸化して錆び付かないように
活性酸素を消滅する働きがあります。
がん、脳卒中、心筋梗塞などの予防にも
繋がります。
 
胃の粘膜保護
胃の粘膜を守り、糖尿病の合併症や
胃潰瘍の予防、炎症を抑える作用が
あります。
 
血行を良くする
焙煎時に発生する香ばしい香りの元
「ピラジン」には、
血行を良くする作用があり、
肩こり・冷え性の改善にも役立ちます。
「ギャバ(GABA)」も含まれており、
高血圧予防にも。
 
むくみと便秘予防
利尿効果があるので、むくみを予防出来ます。
ミネラルや食物繊維が豊富なので、
便秘にも効果的です。
 
美肌効果
皮膚の代謝を良くするビタミンB群が
豊富に含まれています。
 
虫歯予防
虫歯の原因である「ミュータンス菌」を抑制し
バクテリアの定着を予防する効果があります。
 

麦茶の原料

「麦茶」に歴史的によく使われる
麦の種類としては、
「六条大麦」「二条大麦」「はだか麦」
「はと麦」です。
 
六条大麦
 
一般的に「麦茶」の原料として使われるのが
六条大麦から作られたものです。
たんぱく質を豊富に含む一方で、
でんぷん質が少なめなので、
たんぱく質をしっかり摂りたいとか、
「麦茶」ならではの香ばしい味わいや
苦めが好きという方にオススメです。
 
二条大麦
 
「二条麦茶」は、でんぷん質が豊富で、
タンパク質が少なめなので
「六条大麦」と比べるとお茶にした時に
甘みを感じやすい「麦茶」になります。
苦いのは苦手なので甘めの方がよいという方、
糖尿病などでたんぱく質の摂取を控えた方に
オススメです。
 
はだか麦
 
「はだか麦」で淹れた「麦茶」は、
外皮を含んでいない分、色が薄めで、
味は苦みが少なくまろやかな甘みを感じられ
ます。
 
はと麦
 
「はと麦」は、麦という名がついていますが、
実はイネ科の植物です。
暑い日などに、スッキリ爽快な飲み心地を
楽しみたいという場合には、
「はと麦茶」がピッタリです。
 

麦茶を飲む際の注意点

体に良いと言われる「麦茶」ですが、
注意すべき点がいくつかあります。
 
中でも最も注意を払わなければならないのが、
初めて「麦茶」を飲む赤ちゃんに対してです。
 
「麦茶」は、赤ちゃんの水分補給に
適した飲み物として知られていますが、
初めて飲ませる際には、
「大麦アレルギー」の可能性を考慮して、
少しずつ様子を見ながら与えなければ
いけません。
 
大麦アレルギー
麦茶には大麦の成分が多く含まれているため、
大麦アレルギーの人が麦茶を飲むと、
アレルギー症状が現れることがあります。
 
小麦アレルギー
「大麦」には、小麦のタンパク質複合体の
「グルテン」は含まれていませんが、
「グルテン」に似た物質は含まれています。
そのため、重度の「小麦アレルギー」を持つ
人の中には、「大麦」でもアレルギーを起こす
場合があります。
 
ナトリウム欠乏
夏場に大量に汗をかきながら
「麦茶」をガブ飲みすると
「ナトリウム欠乏」に陥る可能性があります。
 
発汗で体内の「ナトリウム」が
失われることに加え、
麦茶に含まれる「カリウム」が
尿中の「ナトリウム」排泄を促進するため
です。
「麦茶」を多く飲む際は、
塩を少し入れるなどして、
リスクを抑えるようにしましょう。
 
保存性の低さ
「麦茶」には、大麦に含まれる
でんぷんやタンパク質が溶け出しているため
市販のお水や水道水よりも、
雑菌が繁殖しやすく、腐敗しやすいです。