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鞍馬竹伐り会式(くらまたけきりえしき)

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京都市左京区鞍馬本町にある
鞍馬弘教の総本山の寺院「鞍馬寺」では、
毎年6月20日に、京都市登録無形民俗文化財の
「鞍馬山竹伐り会式」(たけきりえしき)
行われています。
 
 

鞍馬寺

 
京都の北部、「鞍馬山」の中腹にある
「鞍馬弘教」の総本山「鞍馬寺」(くらまでら)
古えから親しみと畏敬の念を込めて、
京の人に「くらまさん」と称されてきました。
 
古神道や密教の山岳修行の場として知られ、
標高569mの鞍馬山全体が神聖な場所とされて
います。

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起源
 
「鞍馬寺」は、宝亀元(770)年、
唐招提寺の鑑真和上 (がんじんわじょう) の高弟・
鑑禎上人 (がんちょうしょうにん)
山城国の北方に霊地があるという夢のお告げを
受けたことから、その地を目指すも
どこか判らずに微睡んでいると、
また夢に高僧が現れて、
明日の日の出に奇跡を起こすと告げられます。
そこで夜が明け、御来光の中から現れた
鞍を負った白馬の後を追います。
すると白馬は忽然と消え、
そこには「毘沙門天」が立っていました。
鑑禎上人は「毘沙門天」を祀って草庵を結んだのが始まりです。
 
 
延暦15(796)年、藤原伊勢人 (ふじわらのいせんど)
「千手観音」を祀る堂塔を建立し、
「鞍馬寺」となりました。
 
また天狗の本拠地として知られる鞍馬山は、
源義経が幼少期を過ごし、天狗から兵法を
学んだことでも知られています。
 
 
パワースポット
また「鞍馬寺」は、
京都最強のパワースポットとしても
知られています。
650万年前に「護法魔王尊(天狗の総帥)」が
金星から舞い降りた土地として知られており、
数々の言い伝えがあります。
 
 
鞍馬寺の本殿である金堂には、
「毘沙門天王」 「千手観音菩薩」 「護法魔王尊」の
三尊が祀られています。
普段は拝観することは出来ず、60年に1度、
丙寅 (ひのえとら) の年に開扉されます。
「毘沙門天」は太陽の精霊、
「千手観音」は月輪の精霊、
「護法魔王尊」は大地の精霊とされ、
宇宙のエネルギーであるとされます。
自然のエネルギーを体全体を包むことで
悪い運気が追い出されるため、心身ともに
清らかにしてくれるとされています。
更に「護法魔王尊」(ごほうまおうそん)
負のパワーを吸い取ってくれので、
悪いことが続く時などにお参りすると良いと
されています。
 
 
その三尊を祀る本殿金堂の前の
「金剛床」の中央にある「六芒星」は、
鞍馬寺で最も強いパワースポットと
言われています。
両手を広げて空を仰ぎその中心に立つと、
宇宙と一体化して願いが叶うんだとか。
この強力なパワースポットを求めて、
列ができていることもあるそうです。
但し六芒星の中央に書かれた三角は
三尊を表すとされているので、
絶対踏んではいけないので注意して下さい。
 
他に、650万年前に「護法魔王尊」が
金星から降り立ったとされる「魔王殿」も
強力なパワースポットと言われています。
 
自然
寺に至る険しい参道は、清少納言が
「遠きて近きもの、くらまのつづらをりといふ道」
と詠んだことでも知られる
「鞍馬の九十九折」(くらまのつづらおり) です。
 
ハイキングコースとしても人気で、
春には桜、秋には紅葉が楽しめる
自然豊かな場所です。
 
 
でもちょっと体力に自信がない‥‥という方も全長207mの日本一短いケーブルカー
「鞍馬山鋼索鉄道」(くらまやまこうさくてつどう) があるので大丈夫です!
この「鞍馬山ケーブルカー」は、
足の弱い方や年配の方でも
楽に参拝出来るように建設されたもので
営利目的ではないため、運賃はいりません!
(でも、お礼として堂舎維持のため
 200円の寄進をすることになっています。)
 
 
源義経の幼名に因んで
「牛若号」と名付けられた車両が、
「山門駅」と終点の「多宝塔駅」との間を
往復しています。
「鞍馬寺」が運営しているので、
乗務員も作務衣姿で対応してくれます。

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また「鞍馬寺」から「貴船神社」までの2時間、
距離にすると約1.5㎞の道のりも
人気のハイキングコースにもなっています。
 
鞍馬寺」も「貴船神社」も自然豊かで、
川があるため涼しく、
夏でも比較的過ごしやすい場所となっています。
なお徒歩の他にも、
電車とバスを乗り継ぐ方法もあります。
電車とバスを利用した場合は、
約20分でアクセス出来ます。
 
なお「貴船神社」は水の神を祀る
水神の総本山として名高いだけでなく、
縁結び以外にも様々な御利益がある
パワースポットとして有名です。

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七仲間
鞍馬村は半僧半俗的な要素があり、
古くから「七仲間」と称する
代々受け継がれている住民組織を構成して、
「鞍馬山の竹伐り会」「鞍馬の火祭」などの
行事を執行してきました。
「七仲間」
大惣 (おおぞう)、名主 (みょうしゅ)、
宿直 (しゅくじき)、僧達 (そうだち)、
大工衆 (だいくしゅう)、太夫 (たゆう)、
脇 (わき)の7つのグループから構成されて
います。
 

鞍馬竹伐り会式
(くらまたけきりえしき)


京都鞍馬の「鞍馬寺」で毎年6月20日に行われる「鞍馬山竹伐り会式」(たけきりえしき) は、
「山伏の験競べ」(げんくらべ) 的要素と
「年占」(としうら) 的な要素を併せ持つ
1000年以上の歴史を持つ伝統行事です。
山伏の験競べ(げんくらべ)
僧・修験者が左右に分かれて、
修行して得た法力を競い合うこと。
中にはその勝敗を
農作や漁獲の豊凶占いと結びつけたものも。
 
起源
平安時代前期の9世紀末、
宇多天皇の御代の初夏のある日のこと、
鞍馬寺の中興の祖・峯延上人 (ぶえんしょうにん) が護摩の行をしていると、北の峯から
「舌長きこと3尺ばかり,さながら火炎のごとし」と表現された雄の大蛇が現れて、
上人に襲い掛かって来ました。
 
ところが上人が真言を一心に唱えたところ、
たちまち大蛇は倒れて死んでしまったので、
それを切り捨てました。
更にもう1匹、今度は雌の大蛇が現れましたが、雌の大蛇は鞍馬の「香水」(こうずい)
守護することを誓ったので許され、
「閼伽井護法善神」(あかいごほうぜんじん) として
祀られました。
仏教における「香水」(こうずい) とは、
寺院や仏壇で仏前に供えられたり、
仏具・道場・身体などを清めるために注ぎかける香りのする水のことです。
単なる水ではなく、樒 (しきみ) などの植物を
挿すことで香りが付与されています。
香りは仏教において、仏の食べ物とされ、
故人を極楽浄土へ導くという意味も持ちます。
 閼伽井護法善神社 (あかいごほうぜんじんじゃ) 
 鞍馬寺の本殿金堂の右隣にあり、
 峯延上人が退治した2匹の雄雌の大蛇が
 閼伽井護法善神として祀られています。
 
そして江戸時代の中頃になると、
東方「近江座」と西方「丹波座」に分かれて、
竹を切り落とす速さを競って、
その勝敗によりそれぞれの地域の
その年の豊作・凶作を占う行事にもなりました。
 
僧兵
 
「鞍馬竹伐り会式」(くらまたけきりえしき) は、
「七仲間」と称される鞍馬の住民組織のうち
「大惣法師仲間」(おおぞうほうしなかま) の8名が、
五条袈裟 (ごじょうげさ) を頭に巻きつけた
僧兵の姿をして、2人1組、2組づつ、
「近江座」と「丹波座」に分かれて、
大蛇に見立てた長さ4m、太さ10㎝程の青竹を
伐る速さを競い合って1年間の豊作を占い、
水への感謝を捧げ、破邪顕正が祈願されます。
 
七度半の使い(しちどはんのつかい)
午後2時、牛若丸の装束をした二人の稚児が、
導師や「近江座」と「丹波座」の両座の間を
行き来して挨拶をする「七度半の使い」から
始まります。
 
竹ならし
その後、勝負に使う双方の竹の条件を
同じにするために長さを揃えるために
「竹ならし」が行われます。
 
法要と舞楽
 
続いて「法要」、続いて「南天招福の舞」と
呼ばれる舞楽が披露されます。
南天は「難を転ずる」を表し、
竹を伐る法師も腰に南天の葉を挟んでいます。
災難を吉事に転ずる意味と
大蛇退治の毒を消すという意味を持っています。
 
そして舞楽が終わると
いよいよ「竹伐り会式」が始まります。
 
竹伐り
本殿に、雄の大蛇に見立てた太い「雄竹」と
雌の大蛇に見立てた根付きの細い「雌竹」の
2種類の竹が4本用意されると、
法螺貝の合図とともに、
弁慶被りの僧兵姿となった荒法師が登場し、
本殿に向かって右に「近江座」、
左に「丹波座」に分かれます。
僧兵の腰には南天の葉を着けていますが、
これは、大蛇の毒消しの意味と、
「難を転じる」に通じるところからの
しきたりだそうです。
 
2人組の僧兵達は、1人が青竹を支え、
1人が山刀 (やまがたな) で一気に振り下ろし、
4m程の雄の大蛇に見立てた根のない太い
「雄竹」を4つに伐っていきます。
カンカンカンと音が響き渡って、
勢いよく竹を伐り放ち、
早く伐り終えた者が掛け声を挙げて
本殿から駆け下りていきます。
ここまで僅か30秒から1分程の出来事です。
早く伐り終えた座の土地が豊作になると
言われています。
 
なお雌の大蛇に見立てられた
根付きの細い「雌竹」は伐らずに、
儀式の後、再び山に植え直されます。
 
そして、切られた青竹の屑は、
「魔除け」とするため参集した人々に拾われ、
あっという間になくなってしまいます。