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秋から初冬の「下り鰻」(くだりうなぎ)が最も美味い!

 
秋に、産卵のために海に向かって川を下る
大きく成長した天然の鰻 (うなぎ)
「下り鰻」(くだりうなぎ) とか「落鰻」(おちうなぎ)
と言います。
 
 
銀色に光る体色や黒い胸びれが特徴的なので、
「銀うなぎ(銀化うなぎ)」とも呼ばれます。
 
また産卵に備え肉が肥え、
いつもは見えない鱗 (うろこ) が押し出され、
豆の莢 (さや) に似た模様が表皮に現れることから
「サヤガタ鰻」とも呼ばれます。
 
 
ウナギ科ウナギ属に属している魚類の総称を
「鰻(ウナギ)」と言います。
熱帯から温帯にかけて広く分布し、
現在19種類のウナギが発見されています。
しかし食べられるものはたったの
4種類しかありません。
日本で食べられているウナギの殆んどは
「ニホンウナギ(Anguilla japonica)」です。
 
 
我が国で獲れる「ニホンウナギ」は、
マリアナ諸島の西方海域で生まれ、
孵化後に「レプトセファルス」と呼ばれる
柳の葉のような形をした幼生となります。
 
稚魚は黒潮に乗って6カ月程かけて
太平洋岸では利根川以南、
日本海では能登半島以南にまで到達すると、
細長い円筒形の「シラスウナギ」に
姿を変えます。
そこで捕獲されると「養殖ウナギ」に、
そのまま川に上ると「天然ウナギ」になります。
 
早い所は10月、
遅いものでも翌年の5月半ば頃までに
海岸に近づき、川を遡ります。
 ウナギの中には川を遡行しないで
 河口近くの海で生活するものもいて、
 「海ウナギ」と呼ばれています。
 
 
 
ウナギは皮膚呼吸も出来るので、
川筋から離れた更に山深い池にも
分け入っていきます。
あるはずのないことが、
現実に起こることがあることを
「山の芋変じて鰻となる」と言われますが、
ウナギは小さい時は湿った所なら
岩肌でもよく伝って登るところから
来ています。
 
そして川や池沼で3~12年くらい生活しますが、
河川で育つ際は透明だった身体が黄色に
色付くので「黄ウナギ」と呼ばれます。
 
黄ウナギ期はウナギが大きく成長する時期で、
エビや蟹、小さな魚や昆虫など様々な餌を食べて
オスで40㎝以上、メスで50㎝以上の大きさに
成長すると、成熟を開始し、
「銀ウナギ」と呼ばれるようになります。
そして産卵するために、再び川を下って
およそ半年をかけてマリアナへ戻って
行きます。
これがいわゆる「下り鰻(落鰻)」です。
 

 
ウナギは「丑鰻」(うしうなぎ) と言われるように、
旬のように思われていますが、
本当に美味いのは、秋に産卵のために海へ下る
「下り鰻(落鰻・銀化うなぎ)」と
言われています。
産卵に備えて、栄養分を十分に蓄えて、
豊満になっているからです。
 
 
「下り鰻」には、かなり大きな卵
(直径0.33㎜)を持ったものがあり、
海へ下り出すと餌を食べなくなるそうです。
普通、断食と言うと、
内臓や生理作用に色々な変化が現れますが、
「下り鰻」の場合には、
筋肉内の水分は減少する半面、
脂質は多量に蓄積されたままで、
体のスタミナを失わないようになっています。
そのため、脂が乗って
濃厚な旨味を味わえることから、
最も美味い鰻と言われているのです。