河川敷にグループで集まり、
旬の「里芋」を使った鍋料理を作って
みんなで美味しく楽しく味わう
「芋煮会」(いもにかい) の季節となりました。
主に東北地方で行われる秋の行楽の一つです。
「芋煮会」の発祥の地として知られる
山形県東村山郡中山町では、
令和6(2024)年で町の誕生70周年となることから
10月2日を「芋煮会の日」に制定しました。
里芋
山に自生する「山芋」に対し、
里で栽培されることから「里芋」と呼ばれ、
江戸時代に「さつま芋」が渡来するまでは、
「芋」と言えば「里芋」のことでした。
熱帯アジア原産で、
日本には「稲」よりも早く伝来し、
奈良時代には栽培が始まっていたようです。
昔から「お月見」には、
里芋を皮のまま茹でた「衣被」(きぬかつぎ) を
お供えすることから、
「中秋の名月」を別名「芋名月」と言います。
因みに、「月見団子」も
「衣被」(きぬかつぎ) をかたどったものです。
「衣被」(きぬかつぎ) は、女房詞 (にょうぼうことば) で「里芋」のことでした。
また、「里芋」が土の中で
親芋にたくさんの子芋が付く様子から、
子宝・子孫繁栄を表す縁起物として、
お正月のおせち料理にも欠かせない食材です。
このように「里芋」は、
長きに渡り食べられてきただけあって、
煮っころがしや汁物、田楽などなどの料理で
様々な楽しみ方があります。
芋煮
「芋煮」は、「里芋」の収穫期の秋から冬に
よく食べられている郷土料理で、
基本の具材は、里芋、牛肉、蒟蒻、葱ですが、
地域や家庭によって、
味付けや具材の種類に違いがあります。
一般的に、
醤油味で牛肉を使うのが「山形の芋煮」で、
味噌味で豚肉を使うのが「宮城の芋煮」です。
岩手県や秋田県では「いものこ汁」と言い、
醤油や味噌味で、鶏肉を使うのが一般的です。
「岩手のいものこ汁」は醤油ベースのお出汁の
あっさり味で根菜がメイン。
「秋田のいものこ汁」は、
味噌味と醤油味に分かれますが、
糸蒟蒻、きのこ、芹を入れるのが一般的です。
更に最近は、カレーのルウを加えたり、
シメにうどんを投入したりと、
そのバリエーションは更に広がっています。
芋煮会
東北では、家族や友人、職場仲間と
「川原などで里芋を煮て食う」という
秋の習慣があり、
野外に集まって楽しむ他、
運動会や地域行事等と合わせて開催するなど、
年間行事の1つにもなっています。
中でも山形は盛んで、
職場の「芋煮会」、町内・自治会の「芋煮会」、
プライベートの仲間達との「芋煮会」など、
「芋煮会」が頻繁に行われることから、
「芋煮疲れ」の方も現れるほど
山形県民は「芋煮会」が大好きで
大盛り上がりするそうです。
例年、9月から10月の初め頃になると、
大きな鍋と薪、食材などがセットになった
「芋煮会セット」が
スーパーやコンビニの店頭に並び、
街一体が芋煮会ムードになります。
実行委員を決めて、
集合時間・集合場所・予算や内容を検討し、
河川敷の場所取りをしたり、
食材やお酒を買い出しなどの段取りをします。
まるで「お花見」のようです。
芋煮会発祥の地
「中山町」(なかやままち)
「芋煮会」の発祥は古く、江戸時代初期の
1600年代半ばとも言われています。
芋煮会発祥の地・山形県中山町は、
最上川舟運の終点地で、
上方から酒田経由で運ばれてきた
荷物の引取りが行われる場所でした。
当時は舟が到着したことを知らせる
通信手段がなかったため、
舟の船頭達は荷受人が現れるまで
何日も待たされることもあり、
そんな時は、退屈をしのぐために
棒鱈と里芋を材料に、
川岸の松の枝に鍋を掛けて煮て、
その周りを囲んで宴を開いていたそうです。
やがてこの松が
「鍋掛松」(なべかままつ) と呼ばれるようになり、
これが「芋煮会」の始まりなのです。
そして例年9月最終土曜日
(令和6(2024)年年10月13日)には、
芋煮会発祥の地である中山町において、
「元祖芋煮会 in 中山」が開催されています。
10月2日「芋煮会の日」
山形県の郷土料理の芋煮を
河原などで家族や友人知人と鍋を囲んで食べる
「芋煮会」の発祥の地として知られる
山形県東村山郡中山町では、
令和6(2024)年に町の誕生70周年を記念して、
10月2日を「芋煮会の日」を制定しました。
中山町が、
山形名物の「芋煮会」の始まりの
町であることを多くの人に知ってもらい、
町の認知度向上と
観光客、移住者の誘致が目的です。
日付は、10月2日を
「い(1)も(0)に(2)」と読む
語呂合わせから来ています。
山形県山形市
「日本一の芋煮会フェスティバル」
毎年9月に、山形県山形市の
馬見ヶ崎川河川敷で開催される
「日本一の芋煮会フェスティバル」は、
まさに「日本一」を名乗るに相応しい
芋煮会です。
直径6.5mの大鍋に、
大型重機を使って、
約3万食分を超える大量の地元食材を
一気に調理する光景は、
まさに美味しさもスケールも
日本一の「芋煮会」です。
令和6(2024)年は、
9月15日に開催が予定されています。
「日本一の芋煮会フェスティバル」 は、
「日本一大きな鍋で芋煮会をしよう」
という掛け声のもと、平成元(1989)年に、
「初代 大鍋・鍋太郎」(直径5.6mの大鍋) の
誕生とともに、
秋の一大イベントとして始まりました。
令和元(2018)年には、
第30回目のフェスティバル開催を記念して、
クラウドファンディングを実施して、
全国的に協力を募り、
直径6.5mの「三代目 大鍋・鍋太郎」を製作。
2018年9月16日開催の
「第30回 日本一の芋煮会フェスティバル」で、
「8時間で最も多く提供されたスープ|
Most soup served in 8 hours」
12,695人を集計して、
ギネス世界記録を達成しています。