うまずたゆまず

コツコツと

七十二候「紅花栄」

「べにばなさかう」
 読みます。
 
 
 
紅花が盛んに咲く頃を表した候ですが、
実際に咲き始めるのは
もう少し後の6月末頃からになります。
 
 
「紅花」の原産はエジプトと言われ、
日本にはシルクロードを通って
飛鳥時代(4~5世紀頃)に伝わりました。
奈良県斑鳩町にある6世紀後半に作られた
「藤ノ木古墳」(ふじのきこふん)の棺からは、
真っ赤な布に包まれた遺体と紅花の花粉が
見つかっており、染料以外にも用いられた
形跡があったことが知られています。
その後近畿地方を中心に、全国に広まって
いきました。
 
特に江戸時代においては、
土も肥えて水はけもよい最上川流域の
山形県最上地方は紅花の一大産地となり、
京都や大阪で大変重宝されました。
 
なお、この地で作られる
「最上紅花」(もがみべにばな)は、
徳島県で生産される「阿波の藍玉」と並んで
「江戸時代の二大染料」として
知られるようになりました。
 

 - 最上川地方 -
 山形市、米沢市、酒田市、天童市、
 山辺町、中山町、河北町、白鷹町
 
 
松尾芭蕉も『奥の細道』の「尾花沢」の中で
紅花を句題に発句しています。
 
まゆはきを おもかげにして 紅粉の花
芭蕉  

 辺り一面に咲き誇るベニバナを見ると、
 ※ 眉掃き を(使う女性の姿)が浮かび
 上がってくるよ

-  眉掃き(まゆはき)-
 白粉をつけた後で眉を払うのに使った
 小さな刷毛のこと
 
 
昭和57(1982)年には、山形県の県花に認定。
山形県民に広く親しまれています。

 
平成31(2019)年2月には、
日本農業遺産」に認定されています。
 
令和2年7月22日、山形県紅花振興協議会は
「世界農業遺産」への認定申請に係る承認について申請しました。
 
 

 
 
「紅花」は染料としてだけでなく、
種から採った「紅花油(サフラワー油)」、花を乾燥させて「漢方薬」、
また観賞用として「切り花」など、
私達の身の回りの様々なものに利用されて
います。
 
 
 
紅花の花を乾燥させた「漢方薬」には
「リノール酸」や「ビタミンE」、
種から採れる油には
「リノール酸」や「オレイン酸」などが
含まれています。
 
特に注目すべきは、
「リノール酸」という「不飽和脂肪酸」です。
「不飽和脂肪酸」には、血中の悪玉コレステロールを減少させる働きがあり、
動脈硬化や心臓病、高血圧といった
生活習慣病の予防・解消に効果があると
されています。
 
「オレイン酸」には、胃酸の分泌量を調節
することで腸内環境を整え、便秘を解消する効果が期待出来ます。
 
 
但し、あくまでも油分なので、
摂り過ぎは肥満に繋がる可能性があるので、
必要な量だけをとるようにすることが
大切です。 
 

 

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