「かいこおきてくわをはむ」
と読みます。
卵から孵化した「蚕」(かいこ)が盛んに
「桑の葉」を食べ始める頃となりました。
旧暦4月(新暦の4月下旬から6月旬頃)は、
蚕の成長に欠かせない
「桑の葉」を摘む頃でもあったため、
「木葉採月」(このはとりづき)という
別名もあります。
「催青」(さいせい)
蚕の卵を予定日に揃って孵化させるため、
温度・湿度・光線などを調節した
環境(催青室)に保護することを
「催青」(さいせい)と言います。
10日程すると孵化します。
蚕は孵化した時には頭が黒く、
小さな体が蟻のように見えることから
「蟻蚕」(ぎさん)とか「毛蚕」(けご)と
呼ばれます。
蚕起きて桑を食む
「蟻蚕(毛蚕)」は
桑を食べて成長し、
4週間程の間に4回休眠すると
体重が一万倍程にも成長します。
食べるのを止めるて繭を作る
四眠後数日すると、体が透き通って
そのうち桑を食べるのを止めます。
このような繭を作り始める状態の蚕を
「熟蚕」(じゅくさん)と呼びます。
この「熟蚕」(じゅくさん)を手で拾って
「蚕簿」(まぶし)に入れることを
「上蔟」(じょうぞく・あがり)と言います。
「上蔟」は藁や松葉や小枝で作りましたが、
今はボール紙製の回転蔟が使用されています。
「熟蚕」には、高い方へ移動して繭を作る
性質があり、移動した上の方が重くなります。
すると回転蔟が回転して上下が反対になり、
これが何回か回転を繰り返されることで、
蔟に均等に繭が作られます。
5齢にまで成長した蚕は糸を吐き、
自らを包む「繭」(まゆ)を作ります。
この繭から美しい絹糸が生まれます。
桑
「桑」(くわ)は、東部アジア原産の
クワ科の落葉高木です。
古代より日本各地に分布しますが、
明治時代以降、蚕から作る絹が
輸出品として貴重であったため、
その飼料として各地の畑に栽培されました。
なお「クワ」という名前は
「食葉」(くうは)あるいは「蚕葉」(こは)が
転訛したもので、蚕の食う葉という意味です。
「桑の葉」は、年に6回も収穫出来る
強い生命力に富み、
蚕が食する唯一の食べ物として
日本の戦前の絹産業を支えた他、
古くから「桑の葉茶」として
愛飲されてきました。
また「桑」は雷除けの木ともされ、
雷鳴の時に「桑原、桑原」と唱える風習も
あります。
これは、雷が桑の木を嫌ったからと
言われています。
ただ他にも、
「桑原」は菅原道真の所領地の名前で、
道真配流後、この桑原yあ、には
一度も雷が落ちなかったという言い伝えから、
落雷を防ぐ呪文になったという説と、
養蚕による収入が多かった農家では、
大事な桑畑が雷で荒らされないように、
どうぞお察し下さいという意味という説も
あります。