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コツコツと

七十二候「玄鳥至」

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「つばめきたる」
と読みます。
 
冬の間を南の島で過ごした
夏鳥の燕(つばめ)が数千キロもの旅をして、
日本にやってくる頃です。
 
冬を暖かい東南アジアで過ごしたツバメ達が、
繁殖の為、春になるとはるばる海を渡って
日本にやってきます。
ツバメが飛来してきたら、
本格的な農耕シーズンの始まりです
 
 
 
ツバメは、日本へやって来てしばらくすると、
泥や枯れ草などを運び、
人家やお店の軒下などに巣作りを始めます。
糞などを落としたりするため、
最近ではツバメの巣を迷惑がって、
崩してしまう人も多くなりましたが、
昔から、ツバメが巣をかけた家は
幸福になるという言い伝えがあります。
 
 
かつてはツバメは、
どこからやってくるのか分からず、
海の彼方にある「常世国」(とこよのくに)から
やって来た神の使いであると信じられて
いました。 
 
「常世国」は海の彼方にあるとされる
神仙の国です。
 
「神産巣日神」(かみむすびのかみ)の御子神・
少名毘古那神(すくなひこなのみこと)は、
常世国から天の羅摩船(かがみふね)に乗って
やって来た医薬・酒造・温泉などの神様です。
出雲の大国主命と兄弟の契りを結び、
二柱の神で協力して国造りを行いました。
 
ところが、国造りの途中で、
再び「常世国」へと渡っていったと
されています。
 

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そんな常世国から来た神の使いである
ツバメですから、
幸福をもたらしてくれるという
良いイメージを持たれてきました。
  • ツバメが巣をかけた店は繁盛する
  • 家にツバメが巣をかけると金運が上がる
  • 家にツバメが巣を作った年に子宝に恵まれた
など、古くから様々なジンクスがあります。
 
 
ツバメが巣を掛けると、
その下が糞で汚れてしまうのですが、
それすらも「運が付く」とさえ言われて
喜ばれました。
 
実際、農家などにとってツバメは、
農作物を荒らすことなく、
逆に、ウンカやシロアリなどの
害虫を盛んに食べてくれる
この上ない益鳥であることから、
「ツバメが来ると豊作になる」と言って、
格段に大切にされてきました。
 
また、ツバメは警戒心が強く、
本能的に危険であるか否かを察知し、
騒音などの少ない、比較的安全な場所に
巣を掛けると言われています。
ですから、ツバメが巣を作ったのであれば、
その家は過ごしやすく安全だということになると考えられていたのです。
 
 
 そして9月半ばの「玄鳥去(つばめさる)頃、
ツバメは日照時間の長さを感知して
渡りを開始します。
 

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