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七十二候「黄鶯睍睆」

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「うぐいすなく」と読みます。
 
「黄鶯」(こうおう)は、
スズメ目コウライウグイス科で
学名を「Oriolus chinensis」と言います。
 
一方「鶯」(うぐいす)は、スズメ目ヒタキ科で
学名を「Cettia diphone」と言いますから、
「黄鶯」(こうおう)と「鶯」(うぐいす)は別種です。
 
 
「黄鶯」(こうおう)は、
Chinaを始めとする東南アジアに棲息しする
「高麗鶯」(こうらいうぐいす)という
鮮やかな黄色の羽を持つ小鳥です。
 
日本の、いわゆる鶯色をした「鶯」より大型で、
鳴き声も全く異なり、
「ホーホケキョ」ではありません。
日本では、一般に見掛けられることはなく、
希に「迷鳥」として飛来することがある程度
です。
 
<迷鳥>
本来はその地域に生息も渡来もしない鳥で、
渡りのコースから外れたり、台風で飛ばされたりして、迷い込んで現れるもの。
 
 
「高麗鶯」は、Chinaでは「黄鳥」(こうちょう)
「鵹黄」(りこう)、「金衣公子」(きんいこうし)
などとも呼ばれ、皇帝の色である
「黄色」であることから尊ばれてきました。
 
七十二侯「黄鶯睍睆」は「宝暦暦」(1754年)では「黄鳥睍睆」でした。
「睍睆」とは鳴き声の良いという意味で、
「春を告げる鳴き声の良い黄鳥」でした。
ただ日本では見掛けない「黄色い鳥」では
どんな鳥なのかピンときませんから、
後に「鳥」の部分を
別名「春告鳥」「報春鳥」と呼ばれる
「鶯」に置き換えられたという訳なんです。
 
 
「鶯」は「ホーホケキョ」という
美しい鳴き声から、オオルリ、コマドリと
ともに「日本三鳴鳥」に数えられています。
 
「ホーホケキョ」と鳴くのは雄のみで、
気象庁では鶯のさえずりを初めて聞いた日を
ウグイスの初鳴日」として、
梅や桜の開花とともに観測しています。
 
・九州地方~沖縄県:2月前半~3月初め頃
・四国~中国地方 :2月後半~3月初め頃
・関西地方    :2月前半~3月後半頃
・中部地方    :3月初め~3月前半頃
・関東地方    :2月後半~3月初め頃
・東北地方    :3月初め~5月初め頃
・北海道     :4月後半~5月初め頃
 

www.jma-net.go.jp

 
 
「留鳥」(りゅうちょう、とどめどり)または
「漂鳥」(ひょうちょう)として全国に分布し、
北海道や本州北部に生息しています。
(冬季に暖かい地方に移動します。)
 
留鳥(りゅうちょう、とどめどり)
 季節による移動をせず、
 一年中ほぼ一定の地域に住む鳥。
 
漂鳥(ひょうちょう)
 暑さ・寒さを避けるため、
 夏は山地・冬は平地と言うように
 繁殖地と越冬地を区別して
 日本国内を季節移動する鳥。
 「渡り鳥」との違いは、
 渡り鳥がシベリアから日本というように
 日本国外から日本へと
 比較的長距離を移動するのに対して、
 「漂鳥」は山地から平地に移動するなど、
 日本国内の比較的近距離を移動するのみで
 あるため、同じ種類でも生息地によっては
 「留鳥」となる場合もあります
 (例えばウグイス)。
 
 
 
鶯というと、「うぐいす餅」のような
鶯色をしていると思いがちですが、
実際の鶯の羽色は、
緑色というよりも「暗緑茶色」です。
 

鶯色
(うぐいすいろ)
 
鶯と同じくらいの大きさで、
羽色が緑色をした「メジロ」という鳥が
しばしばウグイスと誤認されています。
「メジロ」は花の蜜を好み、
梅や椿の花の咲く頃に姿を見せるので、
鶯かと思いきや、実際はメジロだった・・・、ことの方が多いのです。
 

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