「うぐいすなく」と読みます。
「黄鶯」(こうおう)は、
スズメ目コウライウグイス科で
学名を「Oriolus chinensis」と言います。
一方「鶯」(うぐいす)は、スズメ目ヒタキ科で
学名を「Cettia diphone」と言いますから、
「黄鶯」(こうおう)と「鶯」(うぐいす)は別種です。
「黄鶯」(こうおう)は、
Chinaを始めとする東南アジアに棲息しする
「高麗鶯」(こうらいうぐいす)という
鮮やかな黄色の羽を持つ小鳥です。
日本の、いわゆる鶯色をした「鶯」より大型で、
鳴き声も全く異なり、
「ホーホケキョ」ではありません。
日本では、一般に見掛けられることはなく、
希に「迷鳥」として飛来することがある程度
です。
<迷鳥>
本来はその地域に生息も渡来もしない鳥で、
渡りのコースから外れたり、台風で飛ばされたりして、迷い込んで現れるもの。
「高麗鶯」は、Chinaでは「黄鳥」(こうちょう)、
「鵹黄」(りこう)、「金衣公子」(きんいこうし)
などとも呼ばれ、皇帝の色である
「黄色」であることから尊ばれてきました。
七十二侯「黄鶯睍睆」は「宝暦暦」(1754年)では「黄鳥睍睆」でした。
「睍睆」とは鳴き声の良いという意味で、
「春を告げる鳴き声の良い黄鳥」でした。
ただ日本では見掛けない「黄色い鳥」では
どんな鳥なのかピンときませんから、
後に「鳥」の部分を
別名「春告鳥」「報春鳥」と呼ばれる
「鶯」に置き換えられたという訳なんです。
「鶯」は「ホーホケキョ」という
美しい鳴き声から、オオルリ、コマドリと
ともに「日本三鳴鳥」に数えられています。
「ホーホケキョ」と鳴くのは雄のみで、
気象庁では鶯のさえずりを初めて聞いた日を
「ウグイスの初鳴日」として、
梅や桜の開花とともに観測しています。
・九州地方~沖縄県:2月前半~3月初め頃
・四国~中国地方 :2月後半~3月初め頃
・関西地方 :2月前半~3月後半頃
・中部地方 :3月初め~3月前半頃
・関東地方 :2月後半~3月初め頃
・東北地方 :3月初め~5月初め頃
・北海道 :4月後半~5月初め頃
「留鳥」(りゅうちょう、とどめどり)または
「漂鳥」(ひょうちょう)として全国に分布し、
北海道や本州北部に生息しています。
(冬季に暖かい地方に移動します。)
<留鳥(りゅうちょう、とどめどり)>
季節による移動をせず、
一年中ほぼ一定の地域に住む鳥。
<漂鳥(ひょうちょう)>
暑さ・寒さを避けるため、
夏は山地・冬は平地と言うように
繁殖地と越冬地を区別して
日本国内を季節移動する鳥。
「渡り鳥」との違いは、
渡り鳥がシベリアから日本というように
日本国外から日本へと
比較的長距離を移動するのに対して、
「漂鳥」は山地から平地に移動するなど、
日本国内の比較的近距離を移動するのみで
あるため、同じ種類でも生息地によっては
「留鳥」となる場合もあります
(例えばウグイス)。
鶯というと、「うぐいす餅」のような
鶯色をしていると思いがちですが、
実際の鶯の羽色は、
緑色というよりも「暗緑茶色」です。
鶯色
(うぐいすいろ)
鶯と同じくらいの大きさで、
羽色が緑色をした「メジロ」という鳥が
しばしばウグイスと誤認されています。
「メジロ」は花の蜜を好み、
梅や椿の花の咲く頃に姿を見せるので、
鶯かと思いきや、実際はメジロだった・・・、ことの方が多いのです。