須佐之男命と大山津見神の娘・神大市比売(かむおおいちひめ)の間に生まれた
豊年を神格化した神で、
転じて食物や穀物の豊穣・収穫を意味する神様です。
五穀豊穣の神
大年神は、須佐之男命を父に、
大山津見の娘である
神大市比売命(かむおおいちひめ)を母として生まれた神様で、
兄弟神の「宇迦之御魂神」(うかのみたまのかみ)と共に
「穀物の守護神」とされています。
神話の中では目立ちませんが、古代祭祀では重要な役割を担いました。
漢字の「年」は、元来、穀物が熟すること、稔ることを意味します。
穀物のうち、稲は実りに1年もかかることから、
「年」は歳月の意味も持つようになったからです。
古代朝廷では、毎年2月4日に「祈年祭」が行われました。
この場合の「年」も穀物の実りを意味し、
この祭祀では、都の神祇官にて祝詞が奏上されて
その年一年の豊穣が祈願され、
全国から参集した神社の神官に対して幣帛(へいはく)が与えられました。
当初は「稲種」が配られていたのではないかとする説もあります。
幣帛(へいはく)とは
神の供物のこと。
『延喜式』には、絁(あしぎぬ、粗製の絹布)、五色薄絁(いついろのうすぎぬ)、倭文(しどり)、木綿(ゆう)、麻、靫(ゆぎ)、鍬(すき)、酒、鰒(あわび)、堅魚(かつお)・・・その他が見えます。玉串も幣帛の一種。
現行では、宮中から勅祭への幣帛は青黄赤白黒の五色の絁を柳筥(やないばこ)に納め、神社本庁から全国神社の例祭への幣帛は金銭を幣帛料として紙に包み、大角(だいかく)に載せて奉献され、神葬祭などには紅白の絹を串に挟み幣帛として奉献。
年神様(歳神様・歳徳神様)
大年神(おおとしのかみ)とよく似た神に、
正月に祀られる「年神(歳神・歳徳神)」があり、
民間新穀の世界では、
この神は正月に各戸に訪れて
新年と作物の豊かな実りをもたらしてくれるとされています。
大年神の御子神
大年神は実に多くの神々をもうけました。
いずれも国土造営、農耕・生産に関わる神々です。
こうした一族が大国主神を全面的に支えたので、
出雲国はますます豊饒な国となり、盤石の基盤が整っていったとされています。
- 大国御魂神 (おおくにたま)
- 韓神 (から)
- 曾富理神 (そほり)
- 白日神 (しらひ)
- 聖神 (ひじり)
- 大香山戸臣神 (おおかぐやまとみ)
- 御年神 (みとし)
- 奥津日子神(おきつひこ)・奥津比売神(おきつひめ)
- 庭津日神 (にわつひ)
- 大土神 (おおつち)
- 若山咋神 (わかやまぐい)
- 若年神 (わかとし)
- 弥豆麻岐神 (みずまき)
- 夏高津日神 (なつたかつひ)
- 妹若沙那売神 (いもわかさなめ)
- 久久年神 (くくとし)
神格
- 農業の神
- 穀物の神
ご利益(神徳)
- 五穀豊穣
- 諸産業隆昌
- 家内安全
- 家運繁栄
お祀りする神社
- 大歳御祖神社 (静岡県静岡市)
- 大歳神社 (山口県下関市)
- 下谷神社 (東京都台東区)
- 大穴持神社 (鹿児島県霧島市)
- 大歳祖神神社 (静岡県高山市)
- 飛騨一宮水無神社(岐阜県高山市)