七十二候
「こさめときどきふる」 と読みます。 パラパラと雨が降っては止み、 一雨毎に気温が下がってゆく頃です。 明治時代の『略本暦』では、 「霎」を「こさめ」と読ませていますが、 江戸時代の『宝暦暦』(ほうりゃくれき)などでは、 「しぐれ」となっています。 …
「しもはじめてふる」 と読みます。 秋が一段と深まって、山里などで草木や地面に霜が初めて降りる頃。 晩秋のこの頃、朝晩の冷え込みがぐっと増し、 早朝には草木や地面にうっすらと 氷の結晶が付いていることに気付きます。 霜が降りるようになると、 地面近…
「きりぎりすとにあり」 と読みます。 戸口で秋の虫が鳴き始める頃となりました。 「キリギリス」とありますが、 昔は「蟋蟀 (コオロギ)」のことを 「キリギリス」と呼び、 秋に鳴く虫の総称としていました。 キリギリスは、古くから日本人によって 観賞用に…
「きくのはなひらく」 と読みます。 菊の花が咲き始める頃となりました。 旧暦9月9日(令和5年10月23日)の 「重陽の節句」を迎え、菊で長寿を祈願しました。 www.linderabell.com 「桜」が日本の「春」を代表する花 であるのに対し、 「菊」は日本の「秋」を象徴…
「鴻雁来」(こうがんきたる)とは、 暖かい南へと下っていくツバメと入れ違いに、 雁が北から渡ってくる頃という意味です。 「鴻雁」とは、渡り鳥の「ガン」のことで、 「鴻」は「ひしくい」と読み、大型のガンの ことを言います。 「雁」は小型のガンを指し…
「みずはじめてかる」 と読みます。 この「みずかれる」は、川の水とかが 涸れることを言っているのではありません。 「田の水がなくなり、 色づいた稲穂が頭を垂れる頃」とか、 「稲穂根づく田から水が減り、 収穫の時期になった」ということを 意味していま…
「むしかくれてとをとざす」 と読みます。 「蟄虫坏戸」とは? 「蟄」「坏」「戸」には、 それぞれ次のような意味があります。 ・「蟄」:隠れる・冬ごもりをする ・「坏」:塞ぐ・閉ざす・埋める ・「戸」:片開きの扉 ということから、「蟄虫坏戸」は、 春から…
「かみなりすなわちこえをおさむ」 と読みます。 夏の間に鳴り響いた雷が鳴らなくなる頃。 「春分」の末侯「雷乃発声」と対になっていて、 「春分」の頃から鳴り始めて夏の間鳴り響いた 雷が声を収めるようになります。 ところで「雷」は夏の季語なのですが、 …
「つばめさる」と読みます。 春先にやってきたツバメが子育てを終え、 越冬のために南へ旅立つ頃となりました。 ツバメは夏の風物詩です。 夏の間に家の軒下に巣を作って子を産み育て 気温が低下してエサが少なくなると、 南へ移動し始めます。 陰暦8月は「燕…
「せきれいなく」と読みます。 「鶺鴒が鳴き始める頃」という意味です。 セキレイは、スズメ目セキレイ科の鳥の 総称です。 「チチッチチッ」と 鈴のように高い声を放ちながら、 秋の空を爽やかに飛んでいくセキレイは、 細いくちばしと長い尾が特徴の、 細っ…
「くさのつゆしろし」 と読みます。 草や花の上に降りてきた朝露が、 白く光って見える頃。 この時期は朝晩と昼の寒暖差が大きくなり、 夜の空気が冷やされることで朝に露が 出来ます。 少しずつ秋の気候になってきました。 「露草」は日本全国に幅広く生息…
「こくものすなわちみのる」 と読みます。 稲などの穀物が実り始める頃を表します。 「立春」から「二百十日」が過ぎて、 台風の到来も多い時期です。 無事に収穫が出来ますようにと 各地で「風鎮祭」などが行われます。 「こくもの」とは穀物のこと。 「禾」…
「てんちはじめてさむし」 と読みます。 天地の暑さがようやく収まり、 涼しくなり始める頃になりました。 「粛」は縮む、鎮まるという意味があり、 暑さもようやく峠を越えました。 気象学的な区分では、九月一日からは「秋」。 学校では新学期が始まります。…
「わたのはなしべひらく」 と読みます。 綿を包む「柎」(はなしべ)が開き始める頃という 意味です。 「柎」とは、 音読みでは「ふ」、 訓読みでは「うてな」「つける」「いかだ」と読み、 ここでは、花の「咢」(がく)の意味です。 「咢」(がく)とは花の一番外側で…
「ふかききりまとう」 と読みます。 深い霧が立ち込める頃となりました。 残暑厳しい日が続きますが、 朝夕は少しずつ涼しくなり、 ひんやりとした空気が 季節の移り変わりを教えてくれます。 早朝、水辺や森では、 視界が遮られるほどの霧が立ち込め、 幻想的…
「ひぐらしなく」 と読みます。 「ひぐらしが鳴き始める頃」という意味です。 七十二候の「寒蝉鳴」は、 「寒蝉」を「ひぐらし」と読ませています。 蜩(ひぐらし) 「蜩」(ひぐらし)の声は、 蝉とは思えないほど高く澄んだ声で、 「カナカナ」と聞きなされ…
「すずかぜいたる」 もしくは 「りょうふういたる」 と読みます。 二十四節気の「立秋」が始まり、 いよいよ季節は「秋」スタートです。 真夏の暑い風から、 秋の涼しい風に替わり始める頃となりました。 まぶしく輝いている太陽も 日射しを和らげ、 夕方に鳴く…
「たいうときどきふる」 と読みます。 七十二候「大雨時行」は、「夏」の最後の候で、 集中豪雨や夕立など、時に激しい雨が降る頃 です。 この時季多い 夕立(「ゆうだち」または「ゆだち」)は、 積乱雲によって突然降り出す大雨のこと。 夏の季語になっていて、昼…
「つちうるおうて むしあつし」 と読みます。 「溽」は「じょく」とか「ひょく」と読み、 「蒸し暑い」ということを意味します。 ギラギラ炎えるような太陽の光による 暑さというよりも、 曇り日の湿度の高い蒸し暑さを感じさせます。 身に纏わりつくような、空…
「きりはじめてはなをむすぶ」 と読みます。 七十二候が「大暑」の初候に変わり、 桐の花が実を結び始める頃になりました。 「桐」は、初夏に薄紫色の花を咲かせ、 盛夏を迎える頃、うぶ毛に覆われ柔らかそうな黄色い卵形で茶色の実を付けます。 「花」を結ぶ? …
「たかすなわちわざをならう」 と読みます。 5~6月に孵化したヒナは、 この頃に飛び方や狩りの方法を覚え、 独り立ちに備えます。 「鷹狩り」(たかがり)は、 飼い慣らし訓練した鷹を山野に放って、 野生の鳥・小さい獣を捕らえさせる 間接的な狩猟法で、 紀…
「はすはじめてひらく」 と読みます。 蓮の花が開き始める時候を言います。 蓮の花は夜明けと共に、 泥の中に水を弾いて優雅な花を咲かせ、 昼過ぎには閉じてしまいます。 そして、4日目、花びらは再び閉じることなく散ってしまいます。 「ハスは泥より出でて…
「あつかぜいたる」と読みます。 熱い風が吹き始める頃となりました。 そろそろ梅雨が明ける時期になります。 温風至の「温風」は、この頃に吹く南風を意味しており、この風は「白南風」(しろはえ・しらはえ)と呼ばれています。一方、梅雨の最中に吹く風は「…
「はんげしょうず」 と読みます。 夏の半ばに花を咲かせることから、 「半夏」(はんげ)と言い、 別名は「烏柄杓」(からすびしゃく)。 「半夏生」とは、 「烏柄杓」が生える頃という意味です。 「烏柄杓」は、サトイモ科の多年草です。 仏炎苞(ぶつえんほ…
「あやめはなさく」 と読みます。 あやめの花が美しく咲き始める頃です。 「菖蒲華」の「菖蒲」とは? 「あやめ」「杜若」「花菖蒲」 菖蒲(しょうぶ)[サトイモ科] 菖蒲・文目・綾目(あやめ)[アヤメ科] 杜若(かきつばた)[アヤメ科] 花菖蒲(はなし…
「なつかれくさかるる」と読みます。 「乃東」(だいとう)とは、 「夏枯草」(かごそう、なつかれくさ)とか 「靫草」(うつぼぐさ)の古名です。 「乃東枯」(なつかれくさかるる)とは、 「靫草(夏枯草)」が枯れゆく頃という 意味です。 「靫草」(うつぼ…
「うめのみきばむ」 と読みます。 青々と大きく実った梅の実が、 黄色く色付き熟し始める頃となりました。 梅雨 梅仕事 「梅仕事」とは 青梅には毒がある? 梅の選び方 「梅仕事」で楽しめる保存食 梅干し 梅シロップ(梅ジュース) 梅酒 梅ジャム 青梅甘露…
「くされたるくさほたるとなる」 と読みます。 梅雨を迎え、水辺の湿った草陰から、 「蛍」が幻想的な光を放ちながら 飛び始める頃となりました。 「腐草為螢」とは 「蛍」と日本文化との関わり 奈良時代の「蛍」 平安時代の「蛍」 「蛍狩り」という言葉が生ま…
「かまきりしょうず」 と読みます。 「蟷螂(かまきり)が卵から孵(かえ)る頃」 となりました。 蟷螂は、秋に粘液を泡立てて作った 卵鞘(らんしょう)の中に たくさんの卵を産み付けます。 その卵鞘の中の卵が孵化して 数百匹の小さな蟷螂が次々と現われ始…
「むぎのときいたる」 と読みます。 初冬に蒔かれた麦が熟し、 畑一面にたっぷりと金色の穂が実り始める頃。 収穫時を迎えます。 季節は「梅雨」にさしかかる頃で、 暦の上では「初夏」に当たる時季ですが、 麦にとっては「実りの秋」であることから、 「麦の…